「浮きたくない」が口ぐせに。SNS時代に育てたい“空気を読みすぎない力”

家族・人間関係

stock.adobe.com

2026.05.30

臨床心理士・公認心理師のyukoです。「痛い」「スベってる」「空気読めていない」。SNSやYouTubeで、日々他人の失敗を目にしていると、「挑戦して恥をかくくらいならやめよう」という慎重すぎる心が育っていきます。好きなものを大事にし、やりたいことに挑戦できる心を育てる方法を考えます。

広告

失敗したら嫌だからやめておく。

学校帰りの子ども出典:stock.adobe.com

最近小5の長男が少し気にかかる。挑戦の機会があるとき、踏みとどまって「失敗したら嫌だからやめておく」と言うことが多い。クラスで係に立候補する話になったときも、「うまくいかなかったら何か言われるかもしれないしやめる」、友達と動画を作ろうというときも、「黒歴史になりそうだからやめる」。前はもっと勢いで飛び込んでいたのに。

今、SNSやYouTubeには、失敗談、炎上、人間関係のトラブルがあふれています。
子どもたちは、“失敗した人のその後”を見ながら育つ時代といえるでしょう。

そんな中、失敗を恐れて躊躇する子が増えているように感じます。
子どもたちの「挑戦を恐れない心」を育てるために、大人はどう関わっていけばよいのでしょうか。

今の子どもは「失敗して学ぶ前に、失敗を知っている」

今はSNSや動画では、スベった会話や空気を壊した失敗、炎上した投稿が、毎日のように流れてきます。

つまり子どもたちは、「失敗のサンプル」を見ながら育っているといえます。
失敗後の気まずさを知っているからこそ、‟頭では理解しているけど、実際には動けない子”が増えているんですね。

スマホを見る子ども出典:stock.adobe.com

また、世の中の風潮的に「浮く」「目立つ」「痛いと思われる」ことが、ひどく恥ずかしいものとされています。
子どもたちの中で、‟やりたいか”より‟浮かないか”で判断しやすくなっているんですね。

では、子どもたちの‟らしさ”を伸ばすために、親はどのように背中を押したらよいのでしょうか。

広告

子どもたちの‟らしさ”を伸ばすために親ができる4つのこと

「失敗しない力」よりも「空気を気にしすぎない力」に目を向ける

今の子どもたちは、かなり高度に空気を読んでいます。

「この言い方だと変かな」
「張り切ってると思われないかな」
「痛いと思われないかな」

などのシミュレーションを、頭の中で常にしている子も少なくありません。
そんな中、親が「大丈夫だからもっと挑戦しなさい」と背中を押しても逆効果。
まずは家庭の中で「人とずれても大丈夫」「空気を読まなくてもよい」と感じられる経験をするのが第一ステップです。

会話する親子出典:stock.adobe.com

「それ変かも」を、すぐ修正しすぎない

いじめや仲間外れを親が恐れすぎると、

  • 「それ言うと変に思われるかもよ」
  • 「そのノリはやめといたほうが無難じゃない?」
  • 「浮かないようにね」

など、失敗しないための調整をしすぎるときがあります。
悪いことではないのですが、そうした声かけが積み重なると子どもは「まず空気に合うこと」を優先するように。

たとえば、子どもが「このキャラまだ好きなんだよね」と言ったとき。
「周りの子はもう卒業してるよ」ではなく「ずっとお気に入りなんだね。どこが好きなの?」と受け入れる。
そうすると子どもは、「人と違っても修正しなくていい」と安心しやすくなります。

親自身も、「空気に合わせてきた話」をする

子どもが安心するのは、意外と“人間っぽい話”なんです。

たとえば、

  • 「ママも昔、好きなもの隠してたな」
  • 「浮くのが怖くてやめたこともある」
  • 「今思うと、別にやればよかったんだけどね」

と、親自身の話をしてみるのがおすすめ。

会話する親子出典:stock.adobe.com

すると子どもは、「みんな平気そうに見えるけど、実はそうでもないんだ」という感覚を持ちやすくなります。
すると“空気を気にする自分”を、少し客観視できるようにもなっていくんですね。

「成功した?」より、「自分らしかった?」と聞いてみる

今の子どもは、大人が思う以上に「どう見えたか」を気にしています。
そんなとき親まで、「ちゃんとできた?」「うまくいった?」だけを聞くと、子どもはますます“評価ベース”で捉えやすくなります。

  • 「自分的にはどうだった?」
  • 「〇〇(子ども)らしくできた?」
  • 「思ってた感じと違った?」

などと聞いてみるのがおすすめです。
‟周りからどう見えたか”→‟自分がどう感じたか”に意識を向けていくきっかけを作ってあげられると支えになります。

恥ずかしいことがあっても大丈夫。周りと少し違っても、自分の好きは消さなくていい。
自然体でいる親の姿、自由にふるまえる家庭の中で、少しずつ‟空気を読まなくてもいい経験”も積んでいけるといいですよね。

広告

著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

この記事をシェアする

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告