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【乳腺専門医に聞く】乳がん予防に繋がる検診の受け方と生活習慣|乳がん検診は2年に1度で本当に大丈夫?

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 【乳腺専門医に聞く】乳がん予防に繋がる検診の受け方と生活習慣|乳がん検診は2年に1度で本当に大丈夫?
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月に1度のセルフチェックで、乳がんを疑うのはどんなとき?

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――セルフチェックは月に1度がベストなのですね。なんとなく胸の周りを触っているという人は多いかもしれませんが、どのようなしこりを見つけたときが要注意なのでしょうか。

ただ触るのではなく、重要なのは「おさえて潰す」ということ。潰してみて潰れないしこりがあったら怪しいと思ってください。40代、50代の方はぎゅっとつまむと乳腺が寄って固くなりますが、その固さではなく、押して潰して形が変わらないようなしこりがあれば、一度病院に行ったほうが良いです。怖いという気持ちから病院に行くことをためらう方もいらっしゃいますが、とにかく気になるしこりを見つけたらまずは病院へ行ってください。

――そんなに固いものなのですか?

がんは基本的に固いです。あと、がんに痛みはありません。時々、胸の痛みや違和感から乳がんかもしれないと来られる方がいるのですが、その場合は乳腺炎を疑います。乳がんで痛みがでるということはありません。というか、どのがんでも、がん自体に痛みはないのです。痛みがあるとしたら、できたがんが周囲を圧迫して痛みがあることがあるということです。

検診や自己触診でしこりを発見したら、何科を受診すればいいの?

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――新倉先生の病院には、検診ではなくセルフチェックでしこりを発見して診察に来る方はどのくらいいますか?

乳がん検診で発見された方と自己触診で発見した方の割合は半々くらいですね。

――気になるしこりを発見した場合、何科を受診したらいいのでしょうか。

「乳がんについては何科に行けばいいの?」という質問は多いです。婦人科に行って紹介される方もいますが、日本では乳がんを疑った場合に受診するのは「外科」外来です。最近では、乳腺クリニックや乳腺外来というところがたくさんあると思うので、お近くにあるかを調べてみてください。もし、かかりつけの先生がいるなら、気になる症状を伝えて、どこを受診すべきかを聞いても大丈夫だと思います。

乳腺炎になりやすかった人は乳がんになりやすいの?乳がんになりやすい人とは

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――授乳中に乳腺炎になりやすかった人は、乳がんになりやすいということはあるのでしょうか。
 
全くありません。基本的に、乳腺炎になりやすかったからといって、乳がんになりやすいかもしれないと心配する必要はありません。実際、「乳腺が詰まりやすい人は乳がんになりやすい」とか、「母乳が出なかったら乳がんになる」といった情報を、インターネットで見て心配されてくる方もたくさんいらっしゃるのですが、全く関係ありません。胸の大きさも乳がんとは関係ないです。

――とても安心できるお話を聞けました。では逆に、こういう人が乳がんになりやすいということはあるのでしょうか。

乳がんだけではなく、アルコール、肥満の方はリスクファクターになります。肥満というのはどんな病気にもリスクファクターになりますし、再発リスクにもなります。とは言っても若干です。今、日本では9人に1人が乳がんになると言われていますが(※3)、アルコールと肥満で、それが倍になるということではありません。

次回は、乳がんを分かった後のことについてお話を聞きます。

参考:
※1 厚生労働省|市町村のがん検診の項目について
※2 J-START|J-STARTとは
※3 国立がん研究センター|最新がん統計「3.がん罹患」

教えてくださったのは……新倉直樹(にいくらなおき)先生

東海大学医学部 乳腺・内分泌外科学 教授
医学博士、外科専門医、乳腺専門医、がん薬物療法専門医

 

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