おちんちんを触ったり、「大人になりたくない」と言ったり…子どもの言動に戸惑ったら、どうする?
ーー「3歳や4歳くらいの男の子で、おちんちんをいつも触っている」というお母さんのお悩みを聞くことがあるのですが、そんなときはどう対応したらいいでしょうか?
直井先生:多くのママは、おちんちんのこととなると、「わーっ、恥ずかしい!」となってしまうようですね。まず大事にしたことは、「おちんちんを触ることは恥ずかしいこと」「人に嫌な思いをさせること」というネガティブな伝え方をしないようにすること。もしおちんちんを触っていたるのを見たら、「大事なところだから、手を洗ってから触ったほうがいいよ」とサクッと伝える程度でいいと思います。
付け加えるとしたら、「パンツの中は人に見せるところじゃないよ。トイレのときにドアを閉めるのと同じだよ」と伝えることで、人前ではおちんちんを触らないように教えることができます。
ーー子どもが「胸が膨らむことが気持ち悪い」「ひげが生えるのが嫌だ」など体の変化を嫌がっている場合は、どんな言葉をかければいいですか?
直井先生:そういうこともあるでしょうね。そのときは、いったん子どもの意見を受け入れたうえで、「ママはそう思わないな。大人になるってかっこいいって思うけどね」と伝えるのはいかがでしょうか。
わたしは小学校で第二次性徴についての授業をするときに、このようにお話するようにしています。「みんなの体には、そろそろ大人スイッチが入ります。男の子は声が低くなったり、ひげが生えたり、筋肉がモリモリになったり、おちんちんのまわりに毛が生えたりします。そして女の子は、おっぱいが大きくなったり、体に丸みが出たり、生理が始まります。
誰かを好きになったり、自分について悩むこともあります。これが『大人スイッチ』が入るということですよ」と、あくまでポジティブに伝えるように心がけています。「大人スイッチ」や「お兄さんスイッチ」、「お姉さんスイッチ」という言い方は、子どもたちもイメージしやすいですよ。
ーー精通について、子どもに事前に教えたい場合は、どんな風に言うのがいいですか?
直井先生:母親から息子に伝えるのは戸惑いますよね。「精通」については、父親などまわりの男性に伝えてもらうことをおススメします。親戚でも近所の人でも、信頼している男性なら誰でもOKです。子どもが10歳くらいになったときに、その方からこのように伝えてもらうのはいかがでしょうか。
「もう少ししたら、体が大人に変わっていくよ。おちんちんが硬くなったり、パンツに白いものがつくことがあるかもしれないけれど、これって大人の男に近づいている証拠で、すっげえかっこいいことなんだぜ。もしそうなったときにはオレに言ってこいよ」のように。そう伝えておけば、実際に精通が始まったときに子どもが不安を抱えず安心していられるし、母親としても息子の体の変化を知ることができるのではないでしょうか。
ーーでは、子どもがアダルト動画を見ているのを知ったらどうすればいいですか?
直井先生:これについては、人ごととして話すのがいいかもしれませんね。
たとえば、「中学生くらいになるとアダルト動画見る子もいるって聞いたんだけど、友だちに見てる子いる?」のように。「いるんじゃない?」と答えてきたら、「そうなんだ。あれって全部作りもので実際にはありえないことらしいよ。現実とはかけ離れているって友だちに教えてあげてね」と伝える方法です。
「そんなもの見ちゃだめ!」と、頭ごなしにネガティブに言うのではなく、子ども自身がジャッジできるように導くことが大事だと思います。
子どもと話すきっかけは、どこにでも転がっている!
ーー自分はこれまで、子どもと性の話をすることから逃げてきたので、子どもも何も聞いてこなくなってしまって…その状態から抜け出す方法はありますか?
直井先生:話すきっかけは、いろいろなところに転がっていますよ。たとえば、「学校の授業」をきっかけにすることもできます。「そういえば最近、学校で生理について習ったんだって? ママさ、今までちゃんと話したいと思ってたんだけど、うまく話せる自信がなくて、本を読んで勉強してたんだ。いい本があるけれど一緒に読んでみる?」のように、明るい雰囲気で話せば難しくないですよ。
ーー他にはどんなことがきっかけになりますか?
直井先生:中学生くらいになれば、テレビドラマもきっかけにつながると思いますよ。キスシーンやベッドシーンを見ると逃げ出したくなってしまいますが、客観的に考える機会にもつながるんです。
たとえば、ドラマで性的な描写を見たときに、優しいラブシーンだったら「素敵だねー」とコメントしたり、もしも暴力的なシーンであれば「うわっ!あれはないよね」とコメントするように。性的な行為にはすべて「人の気持ち」がありますから、それを考える機会につなげたいですね。
ーーどんなチャンスをつかむかは、親しだいということですね。
直井先生:その通りです。日常の何気ないことの中にこそ、チャンスが転がっているかもしれません。「性」は特別だと構えることなく、気軽に考えてみてくださいね。
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