風邪やインフルエンザの予防には口腔ケアが重要
冬になると、気温の低下や空気の乾燥、免疫力の低下などにより、インフルエンザや風邪などの感染症が流行しやすくなります。特にコロナ禍の今年は、例年以上に注意が必要です。
感染症対策には、手洗いやうがい、バランスのよい食事、体を温める、などが大切ですが、実は、口腔ケアも感染症予防に深い関係があると言われています。
口腔ケアと聞くと、虫歯予防や歯周病予防を思い浮かべる人が多いと思いますが、それだけではないんです。
呼吸器感染において、風邪やインフルエンザのウイルスは、まず鼻や咽頭、口腔の粘液層に潜伏し、さらに粘膜細胞内に侵入すると増殖し、発症します。つまり、ウイルスが粘膜細胞内に侵入する前の、「粘液層」が、感染対策の水際となるのです。
ポイントとなるのは、「唾液」と「舌」です。
まず、唾液は99%が水分、残りの1%は免疫物質でできています。代表的なのが、IgA(アイジーエー)と呼ばれる免疫物質です。口腔内に細菌やウイルスが侵入すると、IgAがくっついて粘膜への付着を防ぎ、唾液によって洗い流すことにより、ウイルスや細菌が、粘膜細胞に侵入するのを防ぎます。しかし、IgAから逃れたウイルスや細菌は、粘膜に侵入してしまいます。
次に、舌は健康のバロメーターとも言われていますがポイントは、表面の「舌苔(ぜったい)」という、細菌や汚れの塊です。健康な人の舌苔は薄い白色ですが、これが厚くなったり、茶色や黄色くなったりしていると、細菌が多いということ。そして口の中の細菌数が増加すると、感染症のリスクが高まります。舌は歯よりも意識されにくいため、特に注意が必要なのです。
プロによる口腔ケアで、インフルエンザや風邪の発症率が低下したという報告もあり、日本歯科医師会は、口腔ケアをインフルエンザ予防として推奨しています。また、新型コロナウイルスでは、受容体が舌に多いと言われており、一部では舌磨きも推奨されています。
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