キャンディに期待されるさらなる効果とは!?
呼吸器感染するウイルスは、粘液層に潜伏したのち、粘膜細胞内に侵入して増殖し発症しますが、ウイルスが体内に侵入するためには、口や喉で、ウイルス表面たんぱく質が、「セリンプロテアーゼ」という物質によって活性化されることが必要です。つまり、セリンプロテアーゼの働きを止めることで、感染が防止できると考えられるのです。
口の中には細菌が多く存在しており、プロテアーゼは、口の中の細菌や粘膜細胞が作ります。
そこで、キャンディに着目し、実験を行なったところ、アロマ成分複合体(DOMAC)入りキャンディで、トリプシンとプロテイナーゼKの2種類のセリンプロテアーゼの活性を抑制することが確認されました。一般的なのど飴では、この効果は確認されませんでした。
これまで、アロマ成分複合体(DOMAC)に関する臨床試験論文では、口臭減少や、要介護高齢者における口腔内細菌数の低下、口腔炎症症状緩和、風邪様症状改善といった報告がなされていますが、これらにも、DOMACのセリンプロテアーゼの活性を阻害する作用が関係していると考えられます。
また、最新の研究では、舌、口腔粘膜、咽頭にセリンプロテアーゼが多く存在するという報告もあり、舌苔が多い人は、免疫力が弱いことが多いと言われています。
DOMACに感染防御力の回復効果があるのか、今後の研究によって明らかになることが期待されると同時に、キャンディの商品開発が待たれます。
教えてくれたのは、石原新菜先生、上田貴之先生、安部茂先生
石原 新菜(いしはら にいな)先生
イシハラクリニック副院長
帝京大学医学部卒。同大学病院で2年間の研修医を経て、現在は父・石原結實さんのクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
上田 貴之(うえだ たかゆき)先生
東京歯科大学 老年歯科補綴学講座教授
東京歯科大学院卒。専門分野は歯科補綴学老年歯科医学。口腔機能低下症やオーラルフレイルに関する研究、情報発信を行っている。日本老年歯科医学会常任理事、日本補綴歯科学会代議員などを務める。
安部 茂(あべ しげる)先生
帝京大学 医真菌研究センター 客員教授
東京大学薬学系大学院卒。専門分野は医真菌学・微生物学。医真菌研究センター所長など歴任。現在は、トランスレーショナル・リサーチとして感染症学の基礎知見を予防・治療法開発に応用している。食品による健康増進法の開発、抗菌アロマセラピーを研究テーマとしている。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。