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【2020年を振り返る】本来の自分と向き合い、新しい価値観に救われた|三木智有さんが得たもの、やめたこと

カルチャー

 【2020年を振り返る】本来の自分と向き合い、新しい価値観に救われた|三木智有さんが得たもの、やめたこと

2020.12.29

オリンピックイヤーになるはずだった2020年は、世界的なパンデミックにより日本だけではなく世界全体が混乱と変化の年になりました。今もまだ続く新型コロナウイルスの大流行により大きく変わった私たちの生活。 コミュニケーション方法や働き方も変わり、外出頻度は極端に減りました。季節を問わずマスクをつけ、消毒を徹底する日々。今までの生活は大きく変わり、良くも悪くも驚くほど変化せざるを得ない1年でした。 そんな2020年、saitaで活躍頂いた皆さんに「2020年を振り返って、感じたこと、変わったこと、始めたこと」を聞きました。1人目は日本唯一の家事シェア研究家であり、saita内で「男性から見た夫のトリセツ」など男性目線でパートナーシップを教えてくれる三木智有さん。

2020年を振り返って三木智有さん:NPO法人tadaima!代表/日本唯一の家事シェア研究家

2020年という年は……

自分自身を振り返ってみると、2020年という年はこれまでおぼろげに「いいな」と思っていた価値観を具体化させてくれた1年であったように思います。少し言い方は硬いですが、この1年間で自身や身の回りに起こった変化は「物質から自由になる」ということでした。

家で過ごす時間が増え、人と何かを比べたり、羨ましいと思ったりすることが減りました。
そして、3月以降は講演などの仕事も大幅に減りました。
ただ、こうした減少は自分の中に強い渇望を芽生えさせることは不思議となかったのです。

その代わりに、家族で工夫しながら楽しく過ごす時間、ゆっくり眠る時間、自分の身体と向き合う時間、本を読む時間、そして自分自身を深く見つめる時間が増えました。

これまでは無意識に「忙しいことは誰かに必要とされている証拠なんだ」と信じている節があったのです。
でもこれまで自分を縛り付けていた価値観や忙しさから突然突き放され、代わりに欲しい欲しいと願いながらも空いた時間にしか取り組めなかったたくさんのことに取り組むことで、「お互いがお互いを必要だと思いあう人たちと深く関わっていこう」と考えるようになりました。

大切な人を大切に出典:stock.adobe.com

それは家族をはじめ、仕事においても同じでした。たくさんの人に自分のリソースを少しずつさくよりも、少数でも本当に必要と思い合う人たちに全力を注ぐ。コロナウィルス対策のため、多くの人がたくさんの変化を余儀なくされました。そんな悠長なことは言っていられない、という人たちもたくさんいると思います。

ぼくも夏くらいまでは、先の見えない未来への不安がどこかまとわりついてくるような、湿度の高い部屋に閉じ込められているような気持ちでもありました。でも、家でじっと自分の手元に視線を落として見ると、今生きていくのに充分なものがあるのなら、他に必要なものなんて本当はとてもわずかなものなんだと思えるようになりました。

自分の周りを見回してみると、そう考えるようになったのは、決してぼくだけではないと感じています。

自分にとって本当に必要で、大切なものはなんなのか考えた結果、それは決して、物やお金だけではないのだと気が付き、行動を起こした人をたくさん見かけました。

辛く苦しい年だったからこそ、そこに埋もれていた自分の核をつかもうともがいた。そんな1年だったと思います。

2020年に買った満足度高めのお気に入り

マインクラフト、任天堂Switch、スマホゲームなどゲームの類です。

ステイホームになり、子どもと一緒に過ごす時間を有意義にかつストレスなく過ごすにはどうしたらいいかと考えるようになりました。実は人生においてほとんどゲームをしたことがありませんでした。家庭内ゲーム機はスーパーファミコンで止まり、スマホの中にはパズル、RPG、どんなゲームも入っていませんでした。
ゲームをする時間があるなら、本や漫画を読みたかったし、ひとりで時間を過ごすためにゲームを必要としてこなかったのです。

マインクラフトというゲームを知っているでしょうか? 世界で一番売れているゲームなので知っている人も多いかも知れません。森や砂漠など、過酷な自然が広がる世界を冒険したり、様々なブロック(木・土・石など)を使って建造物などをクラフトしていくゲームです。

これまでぼくは、恥ずかしながらゲームは「時間をつぶす」ものだと思っていました。空白の時間を、なんとなく埋めていくためのものだと。
子どもにも外に出て遊ぶ気力を損なわせてしまったりと、悪影響だってあるのかな、と偏見を持っていた部分もあります。

でも、実際にマイクラをはじめ色んなゲームをやってみてそんな偏見は吹っ飛びました。

夢中になれる楽しさはもちろん、思考的学びもある、空想の世界が広がる面白さがあり、成長する達成感も、上手になるために調べていく探究的学びにもなる。要はバランスだと実感しました。

包丁やノコギリも「危ない!」と避け続けていればいつまで経っても、「便利な道具」になりません。道具に翻弄されるのではなく、道具を使いこなすことで、生活の豊かさが広がっていく。今年は、ゲームを通してそんな当たり前を見つけた気がしています。

2020年 心に残った書籍、映画、ドラマなど

今年一番のおすすめは伊坂幸太郎著『逆ソクラテス』(集英社)です。

逆ソクラテス

昭和の教育感をぶち壊しながら描かれる学校教育の物語。
軽快で小気味よく教育に関するこれからの価値観をインストールすることができます。もちろん、アチコチに張り巡らされた伏線を「ここでつながるのか!」と回収していく伊坂節で、5つの短編を呼吸もせずに一気読みできてしまいます。

子どもとの向き合い方、接し方、教育で悩んでいる親はもちろん、自分の生き方に勇気が欲しい人は必読の一冊です。

2020年始めたこと

今年は、来年以降の仕事や生活に大きな変化を起こす1年になりました。

それに伴い、新しい挑戦のための一歩を踏み出しました。具体的に言うと「子どもたちのこれからの学び」への関心が深まり、とくに不登校という問題で行き詰まりを感じてしまわないために、新しい学びの形を取材しています。取材をし、ノンフィクションを書くというぼくにとっては未知の分野への挑戦を、今年スタートさせました。

40歳になり「このまま安定した人生の中で娘の成長を楽しみに生きていく」かと思ったら、そうもいかないようです。まだまだやりたいことがたくさんあり、年齢とともにやりたいことに向けてチャレンジする身軽さを身に着けてきていると感じます。

2020年辞めたこと

今年は、とにかく「時間」と向き合い続けてきました。

「買ってよかったもの」で触れるかどうか迷ったものの中に、夫婦で「時間」をプレゼントし合ったということがあります。2泊3日で旅館に引きこもりひたすら読書する時間はすてきなプレゼントでした。
ゲームも「時間」の使い方に関わる買い物です。総括でも書いたように「物質」に対するプライオリティが低くなりました。そして「時間」とはなんと贅沢で、大切なものなのかということを実感してきました。

なので、やはり今年辞めたことも、時間の使い方に直結してくる気がしています。

たとえば「移動」を辞めました。
オンラインで済むことは、なるべくオンラインで行うように。逆説的ですがリアルで会うことの価値も同時にグッと高まりました。

「マルチタスク」を辞めました。
家で仕事をしていると、隙間時間に家事をしたり、子どもの相手をしている合間にメールを返したりしたくなります。
でも、隙間時間を見つけて一生懸命なにかを詰め込んで、つぶすような時間の使い方をしていたのを辞めました。仕事の時間は仕事。家事の時間は家事。子どもと遊ぶ時間は子どもと向き合う。

シンプルに、目の前の大切なことに集中することで、隙間時間を探すこともなくなり、何かに追われているようなストレスが減りました。

2021年への期待、どんな2021年になればいいと思いますか?

「働き方の進化を退化させない」といいなと考えています。
今年は、多くの人が働き方や暮らし方の変化を余儀なくされてきたと思います。辛いことも多かった中、進化と呼べる変化もありました。

たとえば、オンライン化が進み、ワーケーションが広がりました。同時に東京から、地方へと移住し、どこにいても仕事をすることができる環境を手にしやすくなり、そうしている友人もかなり増えました。

いまだ続くコロナの猛威ですが、それらがなくなったときに、すべてが2020年以前に戻ってしまうのではなく、今年生まれた新しい価値観をより進化させた世界が続けばいいと思います。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント 家事シェア研究家のnote:https://note.com/tomoari_miki

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