教えてくれたのは……船越真木子(ふなこしまきこ)先生
2005 年神戸大学医学部卒。基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん罹患数の第
一位である大腸がん、第三位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。
梅雨から夏に注意すべき菌「2選」
1: 冷蔵庫でも増える菌
梅雨から夏にかけて特に注意すべき菌の一つが、冷蔵庫でも増える菌です。例えば乳製品・食肉加工品・サラダ・魚介類加工品などの食材に潜むと考えられているリステリア菌があります。リステリア菌は、冷蔵庫内(4°C以下の低温)でも増殖することが知られています。
<対処法>
冷蔵庫を過信することなく、購入後は早めに消費し食品の管理方法に従い正しく冷蔵保存することが大切です。
2: 加熱しても死なない菌
梅雨から夏にかけて特に注意すべき2つ目の菌は、バチルス・セレウス(枯草菌属)やクロストリジウム・ペルフリンゲンス(ウェルシュ菌)などの加熱しても死なない菌です。これらの菌は加熱した後も生き残る可能性あります。例えば焼き飯・パスタ・焼きそば・調理肉など、加熱後に室温で長時間放置することで繁殖しやすいと考えられています。
<対処法>
加熱後は室温で長時間放置せずに、速やかに冷蔵保存しましょう。再び食べる際は、十分に加熱することが重要です。
BBQなどで必ずやるべき食中毒対策
BBQや焼肉で注意すべき菌は食中毒の原因でもあるサルモネラ菌や大腸菌O157です。サルモネラ菌や大腸菌O157 は、生の肉に存在すると考えられています。
生肉と調理済みお肉はきちんと区別
使用するトングやお皿などは生肉用と調理済み肉用に必ず分けるようにしましょう。
生の肉を取り扱った後のトングで焼き上がったお肉に触れたり、生の肉を乗せたお皿に焼き上げたお肉を置くことは絶対にNGです。
食中毒かも?と思ったら…
食中毒と熱中症の違いとは
熱中症と食中毒の違いは、腹痛・下痢・嘔吐などの症状があるかどうかです。熱中症は高温下での活動後に起こることが多く、頭痛やめまいなどの症状があります。一方で、食中毒は主に腹痛とともに嘔吐や下痢が食後1 時間~数日後に症状として現れます。
食中毒でも軽度の発熱が見られることもありますが、熱中症ほどの高熱になることは少ないと言われています。
すぐに医療機関を受診して!
食中毒が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。特にお子さん、高齢の方、妊娠中の方、免疫力が低下している方は食中毒の症状が重症化しやすいとも言われています。自己判断することなく、適切な治療を受けるために医師の助言を早急に仰ぎましょう。また、腹痛・下痢・嘔吐などの食中毒の症状が重度である場合には、救急車などを呼ぶこともご検討ください。
いかがでしたか? 気温が高くなるこれからの季節、冷蔵保存や加熱処理だけを過信せずにきちんとした食中毒対策を心がけたいですね。皆さんも、もう一度食中毒対策について見直してみませんか?