強いストレスを抱えているかも。子どもの「場面緘黙」に気づく“2つの行動”

家族・人間関係

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2024.08.08

「場面緘黙(ばめんかんもく)」という言葉を耳にしたことはありますか? 強いストレスが原因で発生することがある症状のひとつで、学校などの特定の場所で話せなくなることが特徴です。子どもの変化に気づいてあげられるために、どのようなことを知っておくとよいのでしょうか。今回は、臨床心理士・公認心理師の鎌田怜那さんに「場面緘黙に気づくきっかけになる行動」を教えていただきました。

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教えてくれたのは……鎌田怜那さん

鎌田怜那さん

一般社団法人「Mamilia(マミリア)」代表。臨床心理士・公認心理師。福岡県を拠点に、子育てのお悩み相談(カウンセリング)やアタッチメント・ベビーマッサージ、子育てに関する講義・講演などの活動を行っている。3児の母。

子どもの「場面緘黙」は気づかれないことも少なくない

前回の記事では、「場面緘黙の診断基準や考えられる要因」について教えていただきました。子どもの場面緘黙に気づくきっかけで多いのは、どのようなことが挙げられるのでしょうか。

顔を隠す子ども出典:stock.adobe.com

鎌田さん「正直なところ、親が気づくことは難しいと思われます。場面緘黙の場面に出くわしていても『人見知りが強いから』『内気だから』など、子どもの性格として症状を見ていることも多いのではないでしょうか。また、家では会話に困難さを感じないので、外で話さない我が子を見て『社会性がない子だ』とネガティブに捉えることもあるかもしれません。

一方で、幼稚園・保育園の保育者や学校教諭としては、家での様子を知らずに静かな状態のお子さんしか知らないので、その子の性格として受け止めて問題視しないこともあるでしょう。

それぞれの場面での子どもの様子のすり合わせをしない限り、子どもの場面緘黙は気づかれないままでいることも少なくありません。保育者や教諭などから聞く我が子のイメージが、家での様子とかけ離れていれば気づくきっかけになると思います。そのためには、保護者が積極的に周囲の人々とコミュニケーションをとる必要があると言えます」

子どもの場面緘黙に気づくきっかけになる「2つの行動」

そのほかに気づくきっかけとして考えられるのは、子どもの行動がヒントになっていることも多いと、鎌田さんはおっしゃいます。

以下の2つの行動が見られたら、「場面緘黙の可能性があるかもしれない」と知っておくことが大切なのだそうです。

1.家で癇癪を起こしやすい

家で癇癪を起こしやすい出典:www.photo-ac.com

鎌田さん「幼稚園・保育園、小学校などでずっと黙っているのも疲れます。やっと家に帰ってきたときに感情が爆発する子も少なくないです。

単に疲れを発散しているときもあると思いますが、子ども側からしたら、“どんな思いで一日を過ごしたのかを親にわかってもらえない気持ち”をぶつけてくることもあるでしょう。親としては、楽しいはずの場所でストレスを感じているとは思いもよらず、理解してあげられないこともありますよね。

週末や長期休暇中は穏やかなのに、通園・通学すると荒れるパターンが見られる場合は、場面緘黙の可能性もあるかもしれません」

2.ストレス反応が出てきた

落ち込む子ども出典:stock.adobe.com

鎌田さん「場面緘黙の症状を抱えているお子さんは、発表会などの行事に対して強いストレスを感じやすく、場面緘黙が表面化しやすいです。登園・登校を渋るようになったなどの様子が出てきたときには、保育者や教諭と情報共有することをおすすめします。

また、困ったことがなくても、面談などの機会に園や学校での様子を聞いてみてください。家では明るい子、元気な子、うるさい子、ひょうきんな子が、おとなしい子として捉えられていたら場面緘黙の可能性があるかもしれません。

ここでのポイントは、ストレスによって場面緘黙が引き起こされるのではなく、“ストレス反応を通じて場面緘黙に気づく”ということです。場面緘黙が他の問題行動の原因となることを理解しておく必要があります」

気づかれないことも多いからこそ、まずは「知ること」が大切です。適切なサポート体制をとるためにも、子どもの行動の変化を気にかけてあげられるとよいですね。
次回の記事では「子どもの場面緘黙を改善するためにできること」をご紹介します。

<参照元>
かんもくネット
日本場面緘黙研究会
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LITALICO発達ナビ

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著者

shukana

shukana

小学生、幼稚園児の男の子のママ。出産前まで紳士服業界に携わり、TES(繊維製品品質管理士)の資格を取得。 暮らしをより楽しく、よりラクに過ごすための方法を日々模索中です。

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