被災後すぐは非常食やカップ麺より、冷蔵庫の中身から食べて凌ごう
停電中もできるだけ開けずにいれば2日目までは保冷可能。カセットコンロやストーブなどで調理が可能なら肉や魚から消費します。
災害が起こると、つい非常食が頭に浮かびます。1日目は特に冷静さを失っているので慌ててアルファ米やカップ麺を食べる人が多いようですが、冷蔵庫の中身のことも忘れずに考えてみてください。カセットコンロやキャンプ用品、ストーブなど調理可能な道具があれば、卵や肉、魚を焼いて食べることができますし、練り製品や豆腐、もちろん生で食べられる野菜や果物もOK。真夏以外ならできるだけ開けずにいると2日ほど保冷が可能ですが、それ以降は庫内も部屋と同じ温度になってしまいます。少しでも長く保冷機能を保ちたいのなら、停電直後から冷凍庫の氷や冷凍食品、保冷剤などを冷蔵室に移して庫内の温度を保つようにします。それでも3日目以降は冷凍食品が解凍され始めます。例えば、冷凍していたご飯は自然解凍されるので加熱なしでもそのまま食べられますし、お弁当用おかずもちょうどおいしく食べられる状態になります。
自宅で避難生活を送っている限りは、数日なら冷蔵庫の食品で過ごすことができます。非常食は避難生活が長引いたときのストックと考えましょう。
避難所に向かうときはブレーカーを必ず落として
停電が長引いたり、調理ができない状態であれば、避難所の方が過ごしやすいかもしれません。その時には必ずブレーカーを落として自宅を離れましょう。通電したタイミングで火事が起こることがあります。自宅を離れるときにはたくさんのものを持ち出したくなりますが、1家族に与えられるスペースにも限りがあるので、荷物は最少に。人によって「大勢の人たちといる方が安心」と感じたり「ひとりでないと眠れない」と思う人もいるでしょう…あるご家族は、ママと子どもたちは避難所で、パパは自宅で眠るという選択をしていました。非常時には緊張感で心身ともに消耗してしまうので、少しでもゆっくり眠れるように、そこは必ずマイペースで選択をして体調維持を1番に心がけるべきですね。
3日目以降は、お店が一部再開することも
地震から数日経った頃になると、再開するお店が増え始めました。スーパーやコンビニは流通がストップしていて在庫のみの販売になるため、はじめのうちは「ひとり5品まで」などなどの制限付きですが、2週間ほどでどこのお店も営業を再開していました。もちろん長い行列です。ミネラルウォーターやお茶、インスタントなどの食料品に加えて、生野菜はすぐに無くなっていました。地震翌日の陳列棚には、甘みの強い乳酸菌飲料や激辛系スナックなどが売れ残っていました。驚いたのはスーパーやコンビニで売り切れていたミネラルウォーターが、酒屋では大量に在庫があり、手に入ったことです。
町を少し歩いてみると、定食屋さんや居酒屋などの飲食店が、店先でお弁当を販売しているのをよく見かけました。今年はコロナ騒動がきっかけでテイクアウトを始めたお店も多いので、おそらく今後は災害後にテイクアウトで早めに営業を再開するお店が増えるのでは?と思います。スーパーと同様に、おつりの用意が大変なので、震災直後はどこも100円、500円とワンコインでの買い物が主流でした。
災害はいつ起こるかも予測できず、不安は募りますが…非常時だからとすぐに非常食に手を伸ばすのではなく、冷蔵庫や缶詰など普段からストックしている食品が無事から消費するのがオススメです。
お話を伺ったのは、
子育て防災プロジェクト代表 小畑祥子さん
2012年から母親目線で被災体験を語る防災講座や防災リュックを考える子ども向けワークショップなどを通じて、多くの地域や学校、企業などで活動中。高齢者介護施設で看護師として働く2人の小学生のママ。最近は、某所にて「島クリエイト」にハマり中。
取材と文 みやむらけいこ
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