地域で活動20年!大人気のママ劇団。
劇団にのいちは、主婦がボランティアで演じる地域で大人気の劇団。発足から20年を迎え、コロナ禍も乗り越え、ますます元気に活動中です。実は10年ほど前にも1度取材をしましたが、その時の座長のコメントが今も忘れられません。「今後の目標?現状維持かな。」その言葉の通り、劇団にのいちは当時のスタンスを崩さず、今でも幼稚園や小学校、市内のイベントなどさまざまなところから出演依頼が舞い込みます。
中には大きなホールでの有料イベントのお誘いも。「気持ちはありがたいけど、チケットを売るノルマとか、そういうのはしんどい。しんどいことは続かないし、続けられないことはやらない。」自分たちのフィールドをよく理解し、その中で無理の無い活動を続ける…仕事を持ち、主婦業を続けながら子育ても経験したチームならではの「継続の秘訣」はここにあるようです。
結成のきっかけは「絵本の読み聞かせ」
結成のきっかけは、当時2年1組の保護者だったママたちが、週に1度の絵本の読み聞かせボランティアに参加したのはいいけれど、手を挙げた人が多すぎて!1学期の間に全員が読み聞かせ当番が回ってこなかったことから「じゃあ、全員で何かをやろう!」という声が上がったのがはじまり。
劇団にのいちが20年、多くの公演機会に恵まれているのは、人形劇やペープサート、紙芝居などのグループはあっても、交通費やお弁当程度の負担で呼べる「人が演じる劇団」が他にあまり無い…というのも、理由のひとつかもしれません。照明や音響の設備や舞台が無くても、少し広い教室で同じ目線で繰り広げられる物語に、子どもたちは時にツッコミ、大笑いしながら楽しんでいました。劇団にのいちのお芝居には、昔話の中に旬のニュースや話題が散りばめられていて、大人が見ても楽しい、というのも人気の秘密かも。
お芝居をしたい!でもどうすれば?
冒頭にも書いた通り、読者の中には演劇経験者や「お芝居をやってみたい」と思う方はきっとおられるはず。そんな方のために「仲間を作る方法」について、笑顔がチャーミングな座長の金子真佐美さんにお話を伺いました。
演技の経験はありません。
──読み聞かせのボランティアで知り合ったママたちと知り合ったのが、劇団のきっかけということですが、ご自身の演技経験は?
金子さん:演技を教わった経験はなくて…でも小学生の頃、クラスの「お誕生会」を率先してやる子でした。最初はひとりで手を挙げたんですが、そのうちクラスの活発な女の子が「私もやりたい!」と集まって、6年生の時はハゲかつらをかぶってステテコを履いてホームコメディのお父さん役をやりました(笑)。
地域で育つ子どもたちと同じエリアで
──小学校の活動で出会ったということで、団員は同じ地域に住む方々が多いですよね。地域で活動をすることの良い点は?
金子さん:子どもが小学生の時には、劇団の活動で学校に出入りをすることで、学校の様子を知ることができたり、先生とお話しする機会が持てたのが良かったです。私はPTAにも参加していましたが、どちらも学校に行く口実ができるので、自分の子どもだけでなくクラスの様子も見れました。
市報や地域のお祭りは情報の宝庫
──子育て中でも「お芝居をやりたい」と思っている人は、きっとたくさんいると思います。仕事や家事、子育てを続けながらも、そんな夢を持っている人に「どうすれば仲間を作れるか、出会えるか」のアドバイスを。
金子さん:子どもは地域で育つので、同じエリアでママが仲間や趣味を持つことは、人脈や情報を得れるなど、メリットになることが多いのでオススメです。市報や公民館、地域のお知らせなどに目を通して会員募集をチェックしてみるとか、実際に地域の劇団やお祭りで活動するチームを見に行って「仲間に入れますか?」と聞いてみるといいですよ。実際に公演を見て「私もやりたい!」と言われると、とってもうれしいです!
旗を振る人を見つける!
──子育て中は、なかなかママが趣味のために遠くへ出かけることは難しいですよね。地域の活動で趣味を続けることは、メリットが多そうです。
金子さん:この地域に引っ越してきたときに、マンション内の子育てサークルを紹介してもらいました。その後、読み聞かせボランティアをするために下の子を、サークルの友だちに預けていたんです。友だちは「人前に出ることは苦手。」と言ってたのですが、いつの間にか?一緒にお芝居をすることになって(笑)今では役者さんとして活動中です。あ、そう、地域の活動に参加して、旗を振る人を見つける!というのも、きっかけに繋がる第一歩ですね。
──そんな、劇団にのいちと金子さんの今後の目標は?
金子さん:10年前に目標を「現状維持」と言った時には気づきませんでしたが、コロナ禍での公演中止を乗り越えた今、「現状維持って最高!」と思っています。その時には、何気なく言ったものの、意外と「いいこと言ったな。」(笑)と。やっぱり、今も変わらず現状維持で、ゆるく楽しく続けていくのが目標です。
劇団にのいちを取材して
お稽古、本番を見学して、また金子さんのお話を聞いて「地域でママが趣味を始める」ことの大きなメリットを感じました。団員の中には自身の子どもが「にのいちのお芝居に出て欲しい」と言ったのをきっかけに仲間に入る人もいたそうです。
そんな団員の子どもたちは、もうすでに成人していますが、今の小学生たちに「また来てね!」と声を掛けられることも多く、中には「明日は、にのいちが学校に来るのが楽しみすぎるから、早く起こしてね!」とお母さんにお願いする子、そして「私もにのいちに入りたい!」と言ってくる子までいるのだとか。
これからもたくさんの元気と笑顔を…そして何よりも「ワタシ」自身が楽しいお芝居を、多くの人に届けて欲しいです!
劇団にのいち:ninoichimasami@yahoo.co.jp
※公演依頼は吹田市内限定で受付中。