お話を伺ったのは…住田直子さん
1968年生まれ、大阪出身の54歳。地元の高校を卒業後に設備関係の会社に就職し、22歳の時に社内結婚。ふたりの息子さんはすでに独立され、現在は滋賀県大津市で夫とふたり暮らし。ここ数年は実父の介護と自身が経営する雑貨店との両立に奮闘し、多忙な日々のスキマ時間に育てていた「多肉ちゃん」に元気と癒しをもらう日々。奥田民生ファン。
以前は雑貨店を営んでいました。
以前はアパレルや雑貨のお店を営んでいた直子さん。ビーズアクセサリーや雑貨作りが得意で、自作の木工作品やステンドグラスも販売していました。
直子さん「子どもが中学生になった頃、時間ができたので友だちとふたりで洋服の移動販売を始めました。やがて、店舗の空きスペースや飲食店の営業時間外の駐車場スペースなどの移動ショップを経て、コンテナハウスを借りて店舗をオープンすることになりました。特にお店を持とう!と努力していたわけでもなく、ご縁がつながって…といった感じでしたが、ありがたかったですね。」
学費のためにパートにも
自ら買い付けた洋服や自分の手で生み出した雑貨を、対面で販売するお仕事にやり甲斐を感じていた半面、子どもたちの学費のためにお店と掛け持ちで飲食店の仕込みのパート勤めをしたこともあったそうです。
直子さん「好きなことをしているので満足はしていましたが、生活費や教育費に充てるほどの金額には届かず…パートに出ていたこともありました。現実問題として、子育てはお金がかかりますものね。」
離島出身のお父さんの影響で
そんな直子さんが多肉植物にハマるきっかけは、長崎の離島出身のお父さん。小さいころから大阪の自宅の庭にたくさんの花を育てたり、時には古い洗濯機の洗濯槽を庭に掘った穴の中に沈めて池を作り、釣ってきたフナや亀を飼っていたんだとか。
直子さん「父は自然の中で育ったため、植物の世話の仕方の知恵をたくさん持っていました。特に父の作るイチゴはとってもおいしくて…。そんな環境で育ったので、私自身にも草木の世話が身についていました。」
介護が始まり、雑貨店を閉店
雑貨店をひとりで営みながらの介護生活はとてもハードだったようです。
直子さん「母が先に亡くなり、父は離島でひとり暮らしをしていました。ある日親戚から『ひとり暮らしを続けるのは厳しいのでは?』と連絡もあり、一旦は弟が父と同居しましたが、その後は父本人の意向で私と暮らすことに。父には近所のサービス付高齢者住居に住んでもらい、雑貨店を終えた夕方に迎えに行き、平日は夕飯とお風呂、土日は一日中私の家にいてもらいました。」
日々の生活に少し疲れてしまった直子さん、ちょうどお店が入居していた建物のオーナーさんがこの物件を処分する…というお話を聞き、お店を閉店する決意をしたそうです。
スキマ時間でお世話ができる多肉ちゃん
直子さんが多肉植物(以下、多肉ちゃん)にハマるきっかけになったのが、このシャビアナという品種。
直子さん「シャビアナはエケベリアと言ってお花のような形の種類の多肉ちゃんで、色味も紫がかったバラのようで気に入りました。以前のようにビーズアクセサリー作りに何時間も集中する時間は無くなってしまったので、家事の合間、介護の合間に5分程度で枯れた葉を摘んだり、水をあげたりのお世話ができる多肉ちゃん栽培に夢中になりました。」
ズボラさんに超オススメ!
多肉ちゃんはサボテンの仲間なので、毎日お水をあげなくてもいい!というのが忙しいsaita世代の女性たちに人気を博している理由の1つのようです。
直子さん「ホームセンターや100円ショップでは、普及種と言って丈夫な品種が売られているので安心してお迎えしてみてください。購入後は室内の日陰、室内のレースカーテン越しの日なた、室外の日陰、室外の日なた…と、日の当たり方に徐々に慣らすといいですね。」とのこと。
梅雨時でも大丈夫!
この時期の多肉ちゃんは夏に近づくにつれ、全体が緑色になり、大きくなるにつれ外葉も枯れてきます。
梅雨時は暑さがまだそれほどでもないので、雨で濡れてしまっても、葉に溜まった水滴を息でフッと吹きかけるかブロアーで風を送って飛ばしてあげるといいようです。しっかりと水を吸って大きくなった苗は、真夏の暑さにも負けない株に育ちます。
直子さん「真ん中から新しい元気な葉が出るので、外側の葉がくたびれてきます。まだ元気なうちに外側の葉を摘んで、土の上に並べておくといいですよ。葉挿しの時は多肉やサボテン用の土ではなく、お花用の培養土を使うと発根しやすいです。」
梅雨時は多肉ベビちゃん成長期!
湿度が味方をしてくれるので、この時期には葉挿し多肉のベビちゃんがぐんぐん成長するようです。
直子さん「葉挿しのコツは葉っぱをもいだらすぐに土に挿すことです。ネットの情報や本では『土に並べる』と書かれたものもありますが、私は『お花用の培養土に挿す』ことにしています。」
新たな命を愛でながら…
その後、草木を愛するDNAを授けてくださったお父さまを見送られ、共に介護生活を乗り切った多肉ちゃんを増やしつつ、寄せ植えを作ってはプレゼントにしたりイベントへ出品するなどの活動をされています。雑貨店は残念ながら一旦休止中ですが、その時に培ったセンスとクラフトのスキルはまさしくプロレベル。
直子さん「介護中は時間に追われて自分のしたいことが何も叶わない時期もあり、すくすく育つ多肉ちゃんに本当に救われました。日々のお手入れはとても簡単ですが、増えたり咲いたりふくらんだり(笑)とても楽しいので、忙しい方や趣味の無い人にはぜひお迎えしてもらいたいです。」
※ 次回は直子さんに教わった『100円ショップで多肉ちゃんデビュー』をお伝えします。