今回お話を伺ったのは、平島利恵さん(40歳)
大学時代から「いつか起業をしたい」と、就職後マーケティングを学びます。そして結婚、第一子を出産。育休中に在宅で副業の「布おむつ屋」を起業。そして、第2子を出産後、夫の転勤へ帯同し、ニューヨークへ。多くの人が憧れる人生を順調に進んでいるように見えますが、その華やかな生活の裏側で、大きな挫折を味わっていたそうです。
大学時代から、胸に秘めていた起業の想い
──起業はいつ頃から考えていましたか?
平島さん:大学在学中に、会社は永遠に存在するものではない、というニュースを見てから「いつか起業したいな」と思っていました。でも卒業までには叶わず、就職し、転職。そこでマーケティングの仕事をしたのですが、充実していたものの、こんなふうにいつまで男性と肩を並べてハードに働き続けられるのかな? と思っていたんです。
そして平島さんはご結婚、出産を経験。育休中、ついに夢だった「布おむつ屋」で、起業を果たします!
──なぜ「布おむつ」を選んだのでしょうか?
平島さん:マーケティングの知識があったからこそ、既に人気の商材には、手を出さないと決めていました。人気のあるものは、すぐにマネされてしまいます。子どもを抱えながら、それを巻き返す時間と労力はなかったので、男性が手を出さないニッチな商売ってなんだろう? と思って「布おむつ」に辿り着きました。
念願の起業を果たし、第2子を出産した平島さん。そのころ(当時の)夫の転勤が決まり、一家でニューヨークに引っ越しをしました。周りからは、順調な人生に見えますが、ここで、彼女は自分の生き方を変える、大きな挫折感を味わうことに……。
自分の力でこの場所に住んでみたい……
──ニューヨークで感じた挫折感とは?
平島さん:たまたま、(当時の)夫の会社が用意してくれた社宅が、セレブエリアだったんです。周りは、自家用ジェットかファーストクラスでしか移動しない、という超セレブも(笑)
私、関西生まれでこんな性格なので(笑)。こんな機会はないし、せっかくだから、どうやってリッチになったのか、セレブなママ友たちに聞いてみたんです。そうしたら、代々お金持ちの家系か、自分で成功した人の2パターンに分かれました。
象徴的だったのは、お金の使い方です。当時の私は、まだ自分の収入が少なかったので、何かを買うときは、その都度夫に「これ買ってもいい?」と聞く生活でした。なのにママ友は、自分で稼いだお金を、自分の判断で自由に使っている。私も、自分の力で、自由に生活できる、そんな人生を送りたいな、と思いました。
その後、平島さんは離婚し、お子様二人を連れて日本へ帰国します。当時は、すでに立ち上げていた「布おむつ屋」で、ギリギリ生活するだけの収入があったのが幸いしました。
そして、もう1つ大きな希望があったのです。
落ちない汚れを簡単に落とす洗剤を作りたい
──帰国して、洗剤「Rinenna」を開発したきっかけは?
平島さん:ニューヨークに住んでいたころ、布おむつの汚れが取れないという悩みが、お客様から届いていました。実際自分で試してみると当時、アメリカで一番落ちると謳われてる洗剤でも、つけおき洗いだけは落ちなくて。どうしても、もみ洗いが必要だったんです。
だから、つけおき洗いだけで汚れが落とせる洗剤を作れば、それってすごいことになるんじゃない!? って(笑)。日本に意気込んで帰国して、布おむつ屋、マーケティングのスポット案件の請負、育児をしながら、「Rinenna」を開発しました。
──発売当初トラブルに襲われたとか?
平島さん:そうなんです。販売初日、サイトのカートが不具合を起こして、購入予定だった100名の方のうち70名の方が買えないという事態に! さらに諸経費を払う段階になって、今までの売上を全部持ち逃げされてしまったんです(涙)。同時に元夫から養育費の減額と、親権取り戻しの裁判を起こされました。
人生の大きなピンチに陥った平島さんですが、ここで心が折れずに踏ん張れたのは、少し悲しい理由がありました。
──心が折れなかった理由を教えてください
平島さん:依頼していた弁護士さんが突然亡くなってしまったんです。本当に急な出来事でした。もし私が依頼していなかったら、こんなことにならなかったのかも。なくなった弁護士の旦那さんに言ったら、もっと重い案件があるからあなたのせいではないですよと、逆に励ましのお言葉をいただいて。。亡くなった弁護士さんのために、この人の分まで人生を巻き返そう、私は死んでばダメだ! とパワーが湧いてきたのを覚えています。
──その後、うれしい悲鳴があったそうですね!
平島さん:そうなんです。当時はまだ売上も少なく、本当にお金がなくて(苦笑)。それをみかねた知人の方が、別荘を無料で貸してくださったんです。それで気分転換にと、家族旅行に行っていたんですが……とあるインフルエンサーの方が「リネンナ」を取り上げてくださり、急に注文が殺到して!
そのころはまだ、私が自分で発送作業をしていたので、旅行を中断して、慌てて家に帰りました(笑)。
事業が徐々に波に乗り始めたと思ったら、平島さんの元へ、さらなる幸せが舞い降りてきました!
母親として後押しできた、息子の進学先
──再婚して、第3子、第4子に恵まれたそうですね
平島さん:はい。離婚したときはもう再婚しないと決めていたんですが、仕事を通じてこの人と人生を共にしたいというパートナーと出会い、第3子、第4子に恵まれました。
──ご長男の進学先で、悩まれたとか?
帰国後彼は、インターナショナルスクールで学んでいたんですが、私が中学受験をさせたいと公立中学に転校させいたのが、失敗でした。それまで自由な考え方や表現の仕方が授業にあるインターナショナルスクールと違い、彼が転校した公立小学校は先生の言うことをじっと聞く、そして先生と私が言っていることも全然違う、僕は一体どうしたらいいの?
そこで息子に「自分のやりたいことを、信じなさい」と。息子は今、自分で選んだ海外の寄宿舎学校で学んでいます。
──昨年、念願の書籍を発行されたそうですね!
平島さん:洗濯って、家事カーストの下位。好きじゃない人が多いんです。そんな方たちに、この本を通して洗濯の楽しさを知っていただければ、うれしいです。saitaでも洗濯に関する記事を書いていますので、よかったらぜひ参考にしてください。
書籍 洗濯を見直すだけで人生が変わる!新・お洗濯メソッド (レタスクラブムック)
saita読者へメッセージ
そんな彼女から、saita読者にエールをいただきました。
平島さん:私が人生で一番落ち込んでいた時は「今は、折れてるのじゃなくて、しなっているだけだ!」と、自分に言い聞かせていました。しなりは、強く戻りますから。
そして、人生は一度きり。人は絶対死にます。だから私は「どうしようかな」と迷いが出てきたときは、自分の死に際を想像するんです。死ぬとき「あれやっとけばよかった」じゃなくて、「やり切って死にたい」って思える選択をするようにしています。
できない言い訳って、すぐにごまんと思いつきますよね。だから自分への戒めとして、言い訳をしない。自分の人生に腹を括ること!
……なーんて言ってる私も、ダイエットに関しては、できない理由が、すぐに出てきてしまうんですが(苦笑)。
会社員時代に培った、マーケティング能力を、今のお仕事でも十分に発揮している、平島さん。もし、起業を考えている読者がいるなら「誰かと戦わなくてはいけない、既に人気のジャンルではなく、ニッチな商売がおすすめ」だそうです。今はスタートアップもかなり身近な働き方になりました。何かアイデアを秘めている・ひらめいたら、後悔しないようチャレンジしたいですね!
Rinenna公式ページ https://rinenna.jp
平島さんのInstagram https://www.instagram.com/riehirashima/