移住のきっかけは、子供の学校
移住をする理由として、「子供の生育・教育環境」をあげる人は多くいます。今回お話を伺った櫻井さんもそのひとりなのですが……驚くのは決断と実行のスピードの速さ! case2の奥村ご夫妻の1年を大幅に短縮し、想定から実行までわずか「4ヶ月」というスピード移住を実現した決め手やその背景について、お話を伺いました。
「東京で住んでいたのは杉並区。教育環境としては決して悪くはない地域でしたが、実際に子供を公立の小学校に入学させてみて、違和感を感じたんです」と言う、妻の麻美さん。
櫻井さん夫婦の教育方針として「その子の個性や好きなことを認めて伸ばしてあげたい」と言う想いがあり、その学校は合わないとすぐに思ったそうです。確かに、中学受験が当たり前の都心の学校では、一番大切にされるのは「偏差値」などに偏ってしまう傾向が。同時に、それを望む保護者が多いことも、その教育方針に拍車をかけているのかもしれません。
長野に新設校を発見!
麻美さんが「時代にそぐわない」と感じた違和感は、お子さんが1年通ってみても拭われることはありませんでした。そこで、櫻井夫婦は子供の転校を考えます。
「本当にたまたまだったんですが、ネットで検索したところ長野にちょうど小学校が新設されることを知って。その教育方針がいいなと思ったのと、都心からのアクセスも良かったので」(麻美さん)
麻美さんは、まず夫に相談すると、即「いいじゃん!」。次に息子さんに打診してみると「いいね!」と、家族満場一致。さらに、双方の親に報告してみても、誰一人反対する人はいなかったそうです。
ただ、この学校のことを知ったのは11月。すぐに受験し、合格後の引っ越しは2月というスピード移住。移住生活を行う上で、一番重要な「収入源」を確保するため、麻美さんはどう動いたのでしょうか?
平日は離れて暮らし、週末は一緒に過ごす
元々麻美さんのお仕事は、フリーランスのヨガインストラクター。夫は、都内の病院で理学療法士をされています。そこで二人の選んだ選択は?
「私は、都内に住んでいた頃と同じ働き方はできないので、まず東京での仕事を大半辞めて、長野でオンラインレッスンでヨガを教えることにしました。夫もこちらで働けるのですが、彼のやりたいことを叶えるには、今の環境の方がいい。だから、夫の仕事は変えず、週末に長野に帰ってくる生活スタイルにしました」(麻美さん)
わずか4ヶ月で、これだけのことを決めるのに、ご夫婦で一体どれくらい話し合ったのでしょうか?
話し合ったことは数回だけ
前回登場いただいだ、中島夫妻、奥村夫妻とも定期的に夫婦の話し合いの場を設けていました。でも、櫻井夫妻は話し合いたいことがあるときだけ、という単発スタイル。
「夫婦共通して『お互いやりたいことはした方がいい』と基本的に思っています。移住に関しては、二人とも旅行好きで『ここ(東京)じゃないところに住むのもありだよね』とは、以前から、ぼんやりとは話していたので。元々持ち家の概念がお互いないんです。今回移住した長野にだって、一生住もうとは思っていないし、子供が中学生になって、進学したい場所がここではない場所だったら、また移住すると思います」(麻美さん)
「何かに縛られたくない」という、麻美さん。そんな気持ちや行動は、定期的に話し合わなくても分かり合える、夫婦の共通認識のようです。でもそれができるのは、おそらく櫻井夫妻が高校の同級生で、その時代からお付き合いをして結婚に至ったから。お互いの成長や失敗、人生経験をすぐそばで見続けてきたからこそ、多くを語らなくても分かり合えるのでしょう。
「夫は、私が言うことを否定しないんです。だから私も夫の言うことは否定はしないです」(麻美さん)
お子さんの転校が決まり、さらに週末婚スタイルを取り入れた櫻井家。家族それぞれの意思を尊重した、新しい移住の形はどうなったのでしょうか?
後編は、移住後の長野での生活についてお話を伺います。
取材協力:櫻井麻美さん
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