専業主婦でも家事シェアを提案していい?
こんにちは、 知的家事プロデューサーの本間朝子です。
家事シェアのお話をすると、「私は専業主婦だからこの話は関係ない」と思われがちです。でも、専業主婦だから、家のことを全部やらなければいけないかというとそうではないと私は思っています。家事を一手に引き受けていると、家族の家事能力がゼロになってしまい、あなたが入院でもしたらその家は何もまわらなくなってしまいますよ。
家事をすることは生きること。最低限の家事能力を家族全員が身に着けることは、その人のためにもなります。
そこでまず提案したいのは「自分のことは自分でやってもらう」ということ。大人だけでなく、子どもも同じです。自分の身の回りのことができるような年齢になったら、必定以上にやってあげるのをやめて、自分でやってもらう方向にシフトしましょう。
「一日の終わりに必ず自分のいたところを片付ける」程度でもOK。これだけでも家事が分散されて負担が減りますよ。それでは、実際に家事シェアを進める方法をこれからお伝えします。
1:家事を一覧化して、全体像をシェアする
家事が上手くまわらず、忙しい毎日にイライラが溜まっている方も多いですよね。でもそこで「家事をしているのは私ばっかり!」と、夫への不満をそのままぶつけるのはNG。ストレートに言ってしまうと「こっちだってやっているよ」と言い返されてしまうかもしれません。
まずは、いつも行っている家事を箇条書きでいいので書き出してみましょう。そうやって全体像をみせることが大事です。
夫と妻では、どのくらい家事をやっているかという認識が異なることが多いです。妻からみると、我が家の家事配分は8:2と思っているのに、夫は6:4くらいと思っているなど、ずれが生じています。
それは視点の違いから生まれるもの。夫は目の前の家事しか見えていないけれど、いわゆる名もなき家事というものが無数にあります。それを言葉でいってもわからないので、まずは全体図を見せましょう。
その上で、家事分担を均等にしようというわけではなく、配分を見直せるところはないかを相談してみて。「この中からひとつでもいいからやってもらえるとうれしい」という風にもっていくと、お子さんの場合は特にはりきって「僕はこれもできる!」など、進んでやってくれることが多いです。一方的にこれをやってと指示されたものよりも、自分から言ったことのほうが責任感を持ってやってくれます。
2:家族に担当の肩書をつける
特にお子さんにおすすめなのは肩書制度です。これは私のアイデアではなく、NHKの「あさイチ」という番組に出演したときに視聴者さんの投稿で教えてもらったもの。例えば麦茶が残りわずかなのに家族の誰も新しい麦茶を作ってくれない……、そんなことありますよね。そういう場合、子どもに「麦茶大臣」という肩書を与えるのだそう。
「麦茶大臣、もうすぐ麦茶が切れそうであります!」などと言うと、肩書を与えられることによってその仕事に責任感がわくので、その後も自分から動いてくれるようになるんだそう。
これはお子さんだけでなくても、大人にも有効です。例えばご主人が料理はそんなにできないけれどチャーハンだけは作れるとしたら「チャーハンの匠」というニックネームをつけてみるとその気になるかもしれません。
かけ声制度というものもおすすめ。「日曜の午前中は片付けの日」などとあらかじめ家族と決めておき、終わったら報告しあったり「ナイスプレー!」とお互いかけ声をかけてみたり。そうやって盛り立てていくのはおすすめですよ。
3:「Iメッセージ」を使う
相手に不満を伝えるとき、つい「なんであなたはいつも家事をやってくれないの」など、主語を「あなた(YOU)にしてしまいます。そうすると相手は自分のことを否定されたように感じ、険悪になってしまうことも。
そこで主語を「私(I)」にした「Iメッセージ」を使うことをおすすめします。「私はこうやってほしいんだけど」という言い方に変える。たったそれだけで、相手を責めたり相手の間違いを指摘するのではなく、自分の願望を伝えることになるので、行き違いや無駄な喧嘩がおきにくくなります。
4:苦手な部分だけお願いする
家事シェアというのは勘違いしている人も多いと思いますが、夫などパートナーと家事を半々にすることではありません。自分と同じ分量の家事を担ってもらわなくても、自分が苦手としているところ、どうしても滞ってしまうところだけやってもらえると、精神的にもとても楽になります。
例えば自分にとって得意な家事、好きな家事が料理だった場合、料理に手を出されると「私がやってほしいのはそこじゃない……」と思ったりしますよね。また、好きな分こだわりも強いことが多いので、「そこはそうじゃない!」とつい言ってしまったりと、衝突する可能性大! 逆に自分が嫌いな家事にはそこまでこだわりがないことが多いので、そういった点からも苦手な家事だけお願いするのはおすすめです。
5:タイプ別にアプローチする
ただやみくもに頼むのではなく、夫や子どものタイプに合わせて接し方を変えるのも一つの手です。活用するのは「Will×Skillマトリクス」という考え方。これはやる気(Will)×と能力(Skill)で相手を4タイプに分けて、効率的なかかわり方を示すビジネスの思考法を元に、私が家事を組み込んだものです。
もちろんすべての人がきれいに4タイプに分かれるわけではありませんが、傾向をイメージでとらえるのは大事です。
やる気があり家事能力も高い→「委任する」
口出しせずにまかせた方がいいタイプ。全面的にゆだねて、自由にやってもらいましょう。
やる気はあるが、家事能力は低いタイプ→「指導する」
このタイプは家事のやり方がわからないだけ。ていねいに教えれば戦力になります。一緒にやってみて、お手本をみせながら真似をしてもらいましょう。
やる気はないが、家事能力は高いタイプ→「やる気を出させる」
このタイプはとにかくやる気を出させることがポイント。「〇〇して!」など命令口調はやる気を下げるのでNG。「食器を洗うのと洗濯物干すのだったらどっちがいい?」など、自分で選択できる形にすると、やらされた感がないので◎。すぐ動かないタイプの人には、待っていてもイライラするだけとつい自分でやってしまいたくなりますが、そこはこらえて「〇時までにお願い」と制限時間を伝えるようにしましょう。
やる気がなく、家事能力も低いタイプ→「相談する」
このタイプの人は、もともとのビジネスでの「Will×Skillマトリクス」でいうと、強制的にパワーで動かすしかない人という扱いになるのですが、家庭内でそれをやると関係が崩壊してしまいます。そこでおすすめなのは、あなたの大変な状況を伝え、「相談」してみること。家事シェアが難しそうなら高性能な家電の導入や家事サービスの利用を相談してみるのも手です。夫が単身赴任で家にいないといった、そもそも家事シェアできないタイプもここに入ります。
家族の家事スキルと意欲を見ながら、接し方を工夫してみましょう。それが平和的家事シェアの近道です。
PROFILE
知的家事プロデューサー本間朝子さん
自身が仕事と家事の両立に苦しんだ経験から、家事の効率化に役立つメソッド「知的家事」を考案し、メディアや講演等を通じて提案している。TV、雑誌、ラジオ出演、講演多数。著書に『写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(青春出版社)『ゼロ家事』(大和書房)『ムダ家事が消える生活』(サンクチュアリ出版)ほか多数
NEWS
この秋、新たな試みとしてオンラインサロン「家事トモSALON」をスタート。オンライン上で仲間と交流を深めながら、一緒にアイデアを実践したり、情報交換ができるような会を10月1日から期間限定でオープン予定。詳しくはHPのお知らせに掲載。オフィシャルサイトhttp://honma-asako.com/
家事シェアというのは始めるまでが大変ですが、一度みんなが家事に参加しやすい仕組みを作ってしまえば意外とスムーズにまわりだします。例えばリビングなど、共有スペースの片付け。一人でやろうとせずに、家族分のカゴを用意し、自分で持ち込んだもの、散らかしたものは自分で片づけてもらうのです。そういうところから各自できることをふりわけて、少しでも楽にスムーズに家事がまわるようにしていきましょう。
TEXT:長谷川真弓
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