避難所は快適ではありません
「当たり前なんですが、実際には想像できていない人がとても多いんです。避難所生活を送った方、避難所で働く多くの関係者は、皆口を揃えて『避難所に行かなくていいなら、行かない方がいい』と、言います。それだけ避難所生活は、不便なことや不快なことが多いんです。その結果、心身ともに疲弊し多くの悲惨な出来事が起こっています」(永田さん)
避難所でのリアルな苦痛や、衛生面の不快さなどは、メディアではあまり多く語られません。そのため「避難所での生活」を合宿のようなものと勘違いしたり、食事と寝る場所があるなら自分は大丈夫、と楽観的な考えを持つ人も。しかし、現実は想像以上に過酷。そこで注目されているのが「在宅避難」です。
「コロナでの自粛生活中、極力外出を控え、お家キャンプなどをされた方も多いですよね。『在宅避難』は、その生活の中から『テレビ・電気・水道・ガス』がなくなったものに、とても近いです。災害時を冷静に乗り切るためにも、今から家族で『在宅避難』の練習をしておくと良いと思います」(永田さん)
練習をすることで、普段は感じられない不便さ・不快さを知ることは、とても重要です。実際に体験してみると、一般的な防災情報には書かれていない、自分たちに本当に必要な備蓄品や、その量を知ることができるし、不快に感じたことへの対処法も、事前に取ることができます。地震・水害、コロナのような危険は、対岸の家事ではなく、明日は我が身の出来事。もう防災意識を高めるのではなく、自分で防災するのが当然・必須の時代です。
より詳しい『在宅避難』や、最新の防災情報を知るなら
編/防災イツモプロジェクト
絵/寄藤 文平
監修/NPO法人プラス・アーツ
ポプラ社
●教えてくれたのは:永田宏和さん
永田宏和さん
NPO法人プラス・アーツ理事長。デザイン・クリエイティブセンター神戸 副センター長。日本や海外の行政、企業と連携し「イザ!カエルキャラバン!」「地震ITSUMO」「レッドベアサバイバルキャンプ』など、多くの防災イベントを実施。著書「防災イツモマニュアル」は、被災者・被災関係者からの声を元に、何度も最新情報に改訂し続けている。
TEXT:池田ゆき
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