モヤモヤの矛先は夫や子どもに……。仕事は焦りと空回り
「当時は毎日『早くして!』が口癖で、なぜかいつも時間に追われていました。自分一人だけ怒って焦って、その被害者は自分と家族でした。当時は、仕事ばかりに自分の存在価値を見いだしていたんです。何者かにならなきゃいけないと、思っていたんだと思います」(島田さん)
買い物にも困らず、通勤にも便利で実家も近い。それなのに毎日焦って、怒りっぽくなる自分に疲れる日々。ついに、体調を崩して入院する事態に。
「転機が訪れたのは、あと半年ほどで長男が小学校に上がるタイミングでした。もしかして、私がいつもモヤモヤしていたのは、同調圧力なんじゃないか。みんなと同じことをしなきゃいけない、苦手は克服しなきゃいけない。小学校に上がると、急に”みんなと同じ”が求められるような風潮がある……。
周りには小さい頃から習い事をたくさんしている子も多く、当時は長男も同時に4つの習い事をしていました。『やめたい』と強く希望はしていませんでしたが、子どもの希望ではなく、今振り返ると私にとっても負担でしかありませんでした。
『そもそも教育って何だろう』そんなことを考えていた矢先、偶然にも長野県にオルタナティブ教育の小学校があることを知りました」(島田さん)
長野の小学校を受験し、家族で移住するはずが……
「自律心と多様性を尊重した独自のプログラムを取り入れる長野の小学校を受験したのですが、落ちてしまったんです。当時、これを機に自分の環境を変えようと決めていた私は、このまま当時のマンションで子育てしていくことは想像できませんでした」(島田さん)
このとき11月頭。島田さんはこの現状を、多様な考えを尊重する母親中心のコミュニティで相談してみたところ、島田さん夫妻が望む子育て環境と、通勤を含めた現実的な生活環境を考えると、「鎌倉がいいのでは?」とおすすめされたのだそう。
「私にとって鎌倉は、憧れの場所。早速その週末に家族で鎌倉へドライブに出かけました。初めて鎌倉を“住む場所”として意識したとき、改めて美しいまちだと感じました。夫も趣味であるロードバイクが満喫できそうな環境ということで、かなり乗り気に。そして、ご縁あって11月末には引っ越し先を契約していました」(島田さん)
わずか半月で移住の段取りを終えた、島田さん家族。このスピードは、その後の生活に一体どんな影響を及ぼしたのでしょうか?
お話を伺った人
島田江里子さん:コミュニティデザイナー。
鎌倉や逗子のお薦めスポット、穴場カフェ、日常の風景を切り取ったInstagramや、湘南暮らしのリアルや日常の気付きを綴ったnoteを更新しています。