子どものいる家庭で、当たり前にある「危険」
小さな子どもは、イタズラするから「割れやすいもの、壊されたくないもの」は、手が届かないよう棚の上や家具の上に置きがちですよね。でもこれ、子供のいる家庭では、当然だと思いますが……。
「高いところにモノを置くことに、違和感を感じる人は少ないと思います。でも大地震になると、上に置いた花瓶や割れ物は、恐ろしい勢いで飛んでくるんです。それが幼い子どもに当たったらと思うと……怖いですよね」というのは、NPOプラス・アーツ理事長の永田宏和さん。国内外で防災を広めるイベントや、防災情報をまとめた「防災イツモマニュアル」(ポプラ社)の著者でもあります。
「『触ったらダメ』ではなく『落ちたら死ぬ』と言う意識を持って、危険物になりそうなものは、『置く』のではなく、扉のある場所に『収納』してください。でも、部屋の中でもっと注意してほしいものがあります」(永田さん)
地震で家具は倒れ、水害で家具は浮く
「それは『家具』です。リビングやキッチンの大きな家具には、転倒防止グッズをつけている人も多いですが、見落としがちなのが『子ども部屋』」(永田さん)
ですが、子ども部屋は軽量でコンパクトな家具が多く、固定が必要なほど、危険があるとは思えないのですが?
「それは大人目線で考えているからです。例えば机の引き出し。地震で勢いよく開いた時、大人なら足に打撲程度ですみますが、子供なら頭部や腹部に直撃し、それが死因になることもあるんです。特に、睡眠時に頭の上にモノが落ちてこないようにするのは、徹底して欲しいです。さらに、入口を塞いでしまうような家具の配置は、すぐに変えてください」(永田さん)
実際、過去の大地震の際、家具の下敷きになったことが原因で、お亡くなりになった方も多数いらっしゃいました。また水害時は、重くて動かないはずの家具が水に浮き、ドアを塞いだため、逃げ遅れてしまったという報道もまだ記憶に新しいものです。
後悔をしないために、今できること
「日本ではもう、いつ・どこで災害が起こってもおかしくありません。そのため防災は『イザと言う時に備える』のではなく、普段の生活=災害に備える状況、『いつも備えている』状態であって欲しいと願っています」(永田さん)
「大切な人を守る」と言うと、ドラマティックな展開を想像しますが、現実は家具を固定したり、配置を変えたり、備蓄を切らさないなど、とても地味で目立たないものばかり。でも、これこそが災害時、大切な人を守る命綱になることを、しっかり覚えておきたいものです。
避難所生活もままならない、コロナ禍の防災対策としての知識も合わせて確認し、平常時にできることをしっかり備えていきましょう。
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防災イツモマニュアル
編/防災イツモプロジェクト
絵/寄藤 文平
監修/NPO法人プラス・アーツ
ポプラ社
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●教えてくれたのは:永田宏和さん
永田宏和さん
NPO法人プラス・アーツ理事長。デザイン・クリエイティブセンター神戸 副センター長。日本や海外の行政、企業と連携し「イザ!カエルキャラバン!」「地震ITSUMO」「レッドベアサバイバルキャンプ』など、多くの防災イベントを実施。著書「防災イツモマニュアル」は、被災者・被災関係者からの声を元に、何度も最新情報に改訂し続けている。
Text:池田ゆき
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