佳子さんのTwitterや『赤井図鑑』を読んで、赤井英和さん、佳子さんご夫婦の魅力に引き込まれたという方は多いと思います。今回、さらにお二人にいろいろと深堀りしたお話を聞かせていただく中で、ますますお二人の魅力が溢れてきました。インタビュー連載最終回となる今回は、お二人に「夫婦とは?」という質問をぶつけてみました。
お互いの好きなところ、憧れているところ
――お互いの好きなところを教えてください。
赤井さん:僕は、佳子ちゃんの優しいところが好きです。ほんまに、優しい心を持った女の子やと思います。
佳子さん:そう言って、優しくしてほしいということでしょ?(笑)。
赤井:いやいや。ほんまに優しくしてもらってるよ。そばにいるだけでそれが伝わってきますし、佳子ちゃんはやさしさの塊やと思います。
佳子さん:私は、すごく抽象的になりますが、太陽のようにパワーが大きいところです(笑)。私もわりとパワーがあるほうだと思っているのですが、かずくんのパワーには敵わない。大きさが違い過ぎるんです。こんな風に考えたり、こういう風に行動できたら良いな、羨ましいなと思うことがたくさんあるんです。
――具体的に、赤井さんを見ていて羨ましいと感じる部分はどんなところですか?
佳子さん:決め事をしない。目標を立てない。反省をしないというところです(笑)。反省するって、一見向上心があるようであって、ちっとも良いことじゃないと思うんですよね。なるようになる! と、全てを受け入れるってなかなかできないことじゃないですか。そうしたいとは思うけど簡単にはできないものです。だから、それができているかずくんはすごい。そうなりたいなと憧れています。
――では逆に、相手に直してほしいところはありますか?
赤井:……、あまり怒らんとってほしい。
佳子さん:かずくんは、叱咤激励型ではなくて、いつでも褒めてほしいんですよね。誰でもそうですけど(笑)。かずくんは、褒められて伸びるタイプで、褒められてこそ実力が発揮できるタイプなので、私は一生懸命そうしてきたつもりだけど、もっともっと優しくされたいんだと思います。
赤井さん:褒めてくれているのは伝わっています。
家庭円満の秘訣は、嫁さんの尻に敷かれること
――30年、夫婦として年月を重ねてきたことについて感じることは?
赤井さん:この30年で、上限関係が逆になりましたね。昔は、「俺についてこい」という感じで、僕が上からものを言うてたときもあったかもしれませんけど、知らん間に立場が大逆転していました。なので、僕は家では「イエスマン」です(笑)。
佳子さん:この変化に戸惑いはあると思います。かずくんは昔からパチンコが好きなんです。出会った頃のデートはパチンコばかり。行きたいか行きたくないかではく、かずくんと一緒にいたいという気持ちで一緒に行っていましたが、今は行きません。そういう変化に、かずくんは戸惑っていると思います(笑)。
赤井さん:僕は、今でも一緒にパチンコに行ってくれたらうれしいんですけどね(笑)
――結婚30年経っても、一緒にいたい、出かけたいと思える関係って理想ですよね。
佳子さん:今、一緒に仕事しているので、家でも現場でもずっと一緒。普通だったら、一人の時間がほしいと思ったり、こんなにずっと一緒にいるなんていやだという人が多いと思うんですが、かずくんにとってはそれが普通みたいなんです。だから、許容範囲が広いなぁと思います。
赤井さん:僕は、佳子ちゃんといる時間が多いのはうれしいです。
――そんなお二人の“仲良しの秘訣”を教えてください。
赤井さん:結婚式でスピーチを頼まれることがあるんです。そのときはいつも、「嫁はんの言うことと、茄子の花は千に一つも無駄はない。嫁さんの尻に敷かれること。それが家庭円満であり、幸せの秘訣です」ということを話すのですが、ほんまにそう思います。嫁はんの言うことは間違いがない! だから僕は、イエスマンでおらなあかんと思います。
佳子さん:「仲が良いですよね」と言われると、そうなのかな? と思うんですよね(笑)。かずくんに対して威張ってるつもりはないけど、一生懸命守っているつもりでいろんなことを言っているし、かずくんだっていろいろ我慢していることはあると思うんですよ。
――夫婦には、夫婦にしかわからないことがあると言いますが、仲良しなだけで30年過ごしてきたというわけではないということですか?
佳子さん:良いことだけということはないですよね。いろんなことがありましたから。こんなに長く結婚生活が続くと思っていなかったというか、かずくんの性格を考えたらもたないかもしれないなと思っていたときもあったので。大阪の実家に押しかけて行って、子どもができて結婚することになって、思いがけず親になって……。すごく仲良くルンルン♪と過ごしてきただけではないので、振り返ったら30年経っていたという感じです。
――その時々あったいろんなことを乗り越えてきたからこそ、絆が深まっているというのはありますよね。
赤井さん:はい。それは絶対にあります。
佳子さん:かずくんは、大ケガをしてボクシングができなくなったという経験を乗り越えています。同じような境遇の人からアドバイスや励ましがほしいという連絡をもらったときに、「自分は、石ころに躓いたから立ち上がったという感覚だった」と言ったんです。「石ころに躓いたら誰でも立ち上がるでしょ? いつまでも躓いてそこに横たわっている人はいないでしょ?」って。私は当時のことを知らないけど、「しゃーないやん。ケガしたし、ボクシングはもうできないし」と乗り越えてきたという話を聞いたことがあるんです。
――どんなときも、前向きに乗り越えていく赤井さんの存在は大きいですね。
佳子さん:私たちは、子どもを亡くすという経験をしました。それまでの人生でもいろんなことを乗り越えてきたんだから……と思ったけど、それを乗り越えるのは簡単なことではくて、ものすごくつらかったんです。落ち込んでばかりいられないと思ってもそうはいかない……。でも、かずくんは、乗り越えなくていけないような一大事が起きたときは、めちゃくちゃ前向きなんです。前を向けないくらい落ち込んでも、「いや、大丈夫」と言うんです。何の根拠もないけど、「大丈夫!」と言って、1歩前に進んでいく強さはものすごい。その強さに家族はひっぱられて、進んできました。
赤井さん:僕がそうできたんは、佳子ちゃんや家族の存在があったからです。
30年の間に、離婚の危機が!?
――このインタビューで必ず聞く質問があります。それが「夫婦とは?」という質問なのですが、お二人にとって、夫婦とは?
赤井さん:夫婦とは……。佳子ちゃんと夫婦としている今、「夫婦とは?」と聞かれたら、生涯ずっと、一番大切なものです。今の僕があるのは、佳子ちゃんのおかげやと思うんです。できれば、「佳子ちゃんのおかげです」という番組をやりたいくらいの気持ちです。生まれ変わっても、また一緒になってください。という気持ちです。
佳子さん:私は、こう思えたらいいなと思うのは、「夫婦とは、鏡」。なんですけど、現実的に答えると、夫婦とは、忍耐ですね。私にとって、夫婦って全く知らない忍耐の世界でした。大好き! という気持ちではじまりましたけど、夫婦になってからは忍耐の連続です。
――忍耐の連続……。これまで離婚の危機ってありましたか?
赤井:ないですね。一度もないです。
佳子さん:そんなことないですよ。
赤井さん:えっ!?
佳子さん:忍耐の連続ですから(笑)。私の場合は、「やめる」というのが辞書にないだけというかね。かずくんのお義父さんとお義母さんが仲良かったから、かずくんがとても優しくて、私が育った環境にも「夫婦をやめる」というものがなかったから続いてきたというところもたくさんあります。
――良いことばかりではないというのはリアルな言葉だと思います。最後に、10年後、結婚40年を迎える頃はどんな夫婦になっていると思いますか?
赤井さん:うちの両親や佳子ちゃんのご両親のような、年を取っても仲良しの夫婦になりたいと思います。
佳子さん:きっと、今と同じような感じのまま過ごしていると思います。
――ありがとうございました。このお話を読んだうえで、『赤井図鑑』を読むとさらに楽しめそうですね。
佳子さん:本を読んで、泣いたという感想をくださる方がけっこういるんです。みなさん、いろんな思いをしているんだなと思ってみています。『赤井図鑑』を通して、何かを伝えたいということはないのですが、ひでくんのおもしろいところや、人情深いところがみなさんに伝わればいいなと思っています。
赤井さんの嫁として「私がしっかりしなくては」という気持ちが溢れる佳子さん。佳子さんが振り返る30年は、結婚生活、夫婦のリアルがたくさんつまっていました。良いことばかりではないと言いながらも、見ていて素敵だなと思われるご夫婦であり、何より佳子さんを大好きな赤井さんの姿を見ていたら、やはりとても素敵で憧れのご夫婦だと感じました。たくさん、素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
前編:“自分の力では這い上がれない穴に落ちたような一目惚れ”だった。赤井英和・佳子夫妻が語る衝撃的な出会い
中編:赤井英和・佳子夫婦が語る。結婚30年「夫婦喧嘩は一度も無い」裏にある“意外な理由”とは
後編:(当記事)「あまり怒らんとって…。」赤井英和・佳子夫婦が語る“家庭円満の秘訣”
『赤井図鑑』は扶桑社より発売中です。