教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
「7日間」で自己肯定感を自然に高める方法
自己肯定感は、残念ながら1日でつくられるものではありません。ですが、“最初の7日間”を目指して自己肯定感を高める方法を実践してみると、その先にぐっと生きやすい日々が待っています。
新しい習慣を脳に定着させるためには、21日間続けることが大切です。そのために、最初の7日間で何をするとよいのか、5つのポイントをご紹介します。
1.好きなことに新しいスキルを追加する
7日間、自分の好きなことに「新しいスキル」を追加してみましょう。
例えば、コーヒーが好きな人はより美味しく淹れるための温度をリサーチして実践してみたり。美容に興味がある人は、気になっているエクササイズを取り入れてみたり。どんな分野でも大丈夫です。
私たちは新しい活動に取り組むことで自己成長を感じ、それが自己肯定感の向上につながることが示されています。好きなことと組み合わせることで、ワクワクをさらに増やすことができるのです。
2.「ポジティブ文章」に置き換える
文章には「ネガティブ文章」と「ポジティブ文章」があるのを知っていますか?
仕事でプレゼンを控えているときの不安な気持ちを例に挙げて、その違いを考えてみましょう。
- ネガティブ文章の場合……「失敗してはいけない」
- ポジティブ文章の場合……「伝わりにくそうな図の説明と受け取る成果の部分は、ゆっくり説明しよう」
前者は「〇〇してはダメ」と否定的なイメージを与えますが、後者は「〇〇すればよい」という肯定的なイメージになる文章です。
子どもに対して「転ばないようにね」と言うのと「ゆっくり歩いてね」、「お水をこぼしたらダメだよ」と言うのと「まっすぐ持ってね」と言うのでは、子どもが受け取るイメージに違いが出るのがお分かりでしょうか。
思考で出てくる言葉がネガティブ文章かポジティブ文章かを確認して、修正するクセをつけていきましょう。
ポジティブ文章は自己肯定感アップに大きく役立ってくれるだけでなく、何をすればよいのかが明確になるので、行動に移しやすくする秘訣でもあります。
3.身体を動かす時間を増やす
身体を動かすことは、心身の健康には欠かせません。毎日少なくとも30分間の散歩や軽い運動をすることは有益です。身体活動はセロトニンのレベルを高めるため、抑うつ症状の改善だけでなく不安やストレスの緩和があり、自己肯定感の向上に貢献してくれることが分かっています。
2020年に発表されたWHOのガイドラインに「長時間座っている場合は、定期的に立ち上がって活動することを推奨する」とあります。リモートワークなどで自宅で座っている時間が長い人は、タイマーをセットして散歩やストレッチする時間を意識的にとりましょう。
私たちの身体は、毎日を支える大切なツールのひとつです。感謝の気持ちをもって、大切にケアしてあげてくださいね。
4.寝る前に感謝できることを探す
寝る前に、お風呂の中でも布団の中でもよいので、今日を振り返って感謝できることを3つ探してみてください。些細なことでもOKです。
お風呂が気持ちいいこと、当たり前の日常を送れたこと、家族が健康なこと、昨日よりも自分が成長できたと思えたこと。さまざまなことが見つかると思います。
「なにか大きなイベントがないと幸せではない」といった思考は、幸せを遠ざけてしまいます。感謝できることを見つけ、実際にその気持ちを表現することは、幸福感を高める効果があることが研究でも分かっています。
日々のポジティブな出来事に目を向けて意識的に感謝すると、自己肯定感は自然と向上してくれるのです。
5.成功状態をキープする
これまでに挙げた1~4のポイントを、どれくらい達成できたのかをチェックして維持しましょう。自分で表を作ってチェックしてみると、さらに素敵です。
成功体験の記録は、自己肯定感に密接に関連する“自己効力感”を高めることが示されています。
脳科学者によると、人間の脳は「始めてから21日間経っていない行動」には拒否反応を示すのだそうです。ということは、21日間続けさえすれば、新しい習慣として脳が受け入れてくれるということ。
最初の7日間、成功状態を維持しやすくするために改善しながら、次に14日間、その後に21日間を目標にしてみましょう。そうすることで、自己肯定感を自然に高める毎日を過ごせるようになります。
まずは7日間チャレンジを楽しんでくださいね!