子育ては母親がメイン?
子育てしていると社会からの母親、父親に対する一般的なイメージを体感することがあります。
例えば「母子手帳」に始まり、子どもの診断書や幼稚園入園手続き書などに記載される「お母さんから見たお子さんの様子」などの文言。お父さんは子どもの様子を見ないというイメージなんでしょうか。
実際に一時保育をお願いするために手続きをしに行った際、子どもの名前、体重など基本的な事項を記入する用紙を渡され「わからなかったら、家に帰ってからお母様に聞いてくださっても大丈夫ですよ」と言われたこともあったものです。
「おい、こっちは「保護者」として来てるんだよ。「お母さんに聞いて」なんて無責任な逃げ道を用意してくれなくて結構。わからなければ自分で調べます。自分の子どものことなんだから」
なんて口には出さなかったけれど、心では毒づいたことも。でも、この「帰ってからお母さんに聞いてもいいよ」の一言にほっとする父親も大勢いるのだろう。いや、もしかしたら一時保育の手続きに来る男性すら珍しいのかもしれないですよね。
父親になってから、社会からはたくさんの「子育ては母親がメイン」というメッセージを受け取ってきました。つまり、このメッセージは母親はもっと多い量を日々受けていると推測できます。
「父親の産休」案が国会で議論される時代。これだけ「男性の育児参加」を推奨していながらも、まだ社会では無意識に「子育ては母親の仕事」というバイアスで満ち溢れているように感じるのです。
つまり、今の日本で「母親」になるということは「父親」になることの何倍ものプレッシャーを背負うということになるのでしょう。
無意識というところがクセモノで「決まり文句だし」「これまでそうだったし」という思考停止が起きているように感じるのです。こうしたバイアスは、母親・父親という実際の立場だけに限らずパートナーの呼び方にも現れています。
パートナーの呼び方問題にも
あなたはパートナーのことを人になんと言っているでしょうか?
「うちの主人が」
「うちの旦那が」
「うちの嫁が」
「うちの奥さんが」
きっと「主人」と呼んでいるからと言って、本当にご主人さまと崇め奉っているということはないですよね。他の呼び方についてもしかりです。
もちろん呼び方がどうであれ、対等なパートナーシップを結んでいるご夫婦はいらっしゃいます。
いちいち目くじらを立てるほどのことじゃないって思う人もいるかもしれません。でも呼び方という日常的な言葉だからこそ、大切にしたいとも思うのです。
「ご主人さま」と呼ばれるのも微妙な気持ちになる
女性から「”奥さん”と呼ばれたくない」という話を聞くのはそう珍しくありません。
一方で男性から「”ご主人さま”って呼んでほしくない」という話はあまり耳にしません。でもぼく自身はかなり違和感を感じてしまいます。
「ご主人さま」なんて、偉そうなもんじゃないんだよなと。そもそも結婚当初から「妻を養ってやるんだ」なんて気持ちがなかったので、結婚をしたからといって「主人」になった気もしていませんでした。
ぼくだけじゃなく、男性の中にもこうした呼び方に違和感を覚えている人もいるのです。
言葉は、本人にその意図がなくても傷つけてしまうことはたくさんあります。
こうして夫婦関係が主従関係ではなく、パートナーシップというふうに変わってきた現在において無自覚に「ご主人」「奥さん」と呼んでしまうことが違和感を感じさせてしまうこともあるかもしれません。
人のパートナーをなんと呼ぶか問題
そう、パートナーを何と呼ぶか問題、一番の問題は「他人の」パートナーを何て呼ぶのか、っていうところが一番難しいですよね。自分のパートナーのことであれば「妻」「夫」と呼べば、なんの違和感もありません。
でも問題は他人のパートナーの呼び方。
「あなたのご主人は」
「おたくの旦那さんは」
「君の嫁さんは」
「あなたの奥様は」
などと言うことはあっても「あなたの夫」「あなたの妻」とは、なかなかどうして言いにくいです。
そこでぼくは目上の方には「ご伴侶さま」。それ以外の人には「パートナーさん」と呼ぶようにしています。
男女で呼び名を使い分けるのではなくて、このように自分より目上の方には少し昔ながらの言葉を使い、同世代の人にはもう少しライトな言葉を使うことで言い方に迷うことがなくなりました。
それに「言霊」なんて言葉もあるくらいですから、毎日「主人」「旦那」「奥さん」なんて使っていたら、少しずつやっぱり夫婦間の古い考えに戻ってしまいそうじゃありませんか。
「パートナーさん」という言葉に耳が慣れるまで時間がかかるかもしれませんが……参考になれば幸いです。