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「レトルトは料理じゃないからダメ」?夫婦で家事の満足ラインがすれ違う #夫のトリセツ

家族・人間関係

 「レトルトは料理じゃない!」夫婦で家事の満足ラインがすれ違うと不幸だという話

2021.04.25

こんにちは、日本唯一の家事シェア研究家の三木智有です。仕事の関係上、色々なご家庭に伺い、家族のステージに合わせた家の模様替えや家事シェアの方法などをアドバイスしています。 最近では以前と比べて家事を夫婦で分担できている家庭が多いです。でも、それがケンカの種になることも。今日はそんな話をします。

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連載:男性から見た夫のトリセツ

夫婦で違う家事の価値観、どうすり合わせる⁉

家事シェアの悩みの中でも最も多いのが、夫婦で家事のボーダーラインが違って困っている、ということ。

たとえば、「几帳面でしっかりと丁寧に家事をしたい妻」と「だいたいできてればOKと思っている夫」であったり「10円でも節約したいと考えて商品をじっくり検討する妻」と「さっさと決めたほうが効率的と思っている夫」だったり。

夫婦の価値観が全てにおいて全く同じ、なんてことは絶対になくて、その些細な違いがケンカの元になったりするものです。

「どちらかの価値観に100%合わせる」は絶対にダメ!

価値観が違う場合。だいたい「自分のほうが正しい」と思っているものです。もしくは「相手のほうが正しい」と思っているかもしれません。
つまり、自分であろうと相手であろうと「どちらかが正しい」と思い込んでしまいがち。

「丁寧に家事をやったほうがいいに決まってる」
「小さな金額よりも絶対時間のほうが大事」

そんな風に思い込んでしまうことで、ただの価値観の違いは、相手へのプレッシャーに変化してしまいます。

「栄養バランスを考えたらレトルトなんかダメ」
「ごはんを作るっていうのはキッチンの片付けまで」
「おかずが3品あるなんて当たり前。自分の家では毎晩そうだった」
「部屋が散らかっているなんて絶対ダメ、常に綺麗な部屋でないとありえない」

すくなくとも、家族という関係の間では、一見正しそうな主張であっても、それが絶対に正しいというわけではありません。

価値観は、たとえ些細なことであっても否定されたり、違った価値観に合わせ続けるのは辛いものです。それがどれだけ正しげな主張であってもです。

「自分の方が正しい」と思ったとしても「相手の言い分が正しいかもな」と思ったとしても。
100%自分の価値観を打ち消して、相手だけに合わせるというのは、良好な関係を長続きさせるという意味において、うまくいく交渉とは思えません。

「こだわり」の負担はこだわる方が受け持つ

お互いに家事を割り振ろう出典:stock.adobe.com

もう少し具体的な価値観の違いを見ていきましょう。

たとえば、わが家では「洗濯物は各々たたむ」というルールになっています。

そもそも洗濯の担当は妻。
でも、妻は洗濯物をたたんでしまうのが面倒くさくて極力やりたくない。

全自動のドラム洗濯機を購入したとき「これでクロゼットがひとつ増えた!」と喜んだほどです。
つまり、乾燥まで終えたらそのままそこから取り出せばわざわざしまわなくてもいいよね、ということです。

でも、ぼくはきちんと畳んでしまっておきたい。
しかもたたみ方やしまい方にもこだわりがあり、引き出しの中にはちゃんと立てて収納しておきたいのです。

何度も言ってしまいますが、洗濯担当は妻です。

だけど、几帳面なぼくのやり方できちんと畳んで使いやすくしまって欲しい。つまりぼくのやり方に合わせて欲しいと思ってしまいがち。
この価値観のちがいを埋めようとしても無意味です。
面倒なものは面倒だし、かといってシワクチャな服を毎日着るのはぼくだってストレスです。

こうした「家事の質への価値観の違い」に対してわが家の解答は「こだわりを押し通すことで生まれる負担は自分でやる」ようにすることでした。

妻は洗濯をしてくれて、乾燥もしてくれる。
乾燥機にかけたくない衣類は、別にわけて洗って干してもくれる。
そうして乾いた衣類を、それぞれのカゴに入れてくれます。
ぼくの衣類はぼくのカゴへ。妻の衣類は妻のカゴへ。

その分けられたカゴの中身を、ぼくは自分の好きなように畳んでしまうのです。忙しいときは畳まないこともありますし、きちんとしまいたいときはちゃんと収納します。

自分の「こだわり」に自覚的になろう

価値観のすれ違いが起こっているときは、まずは話し合いの中でお互いが妥協できるボーダーラインを探します。

そのボーダーラインより、高度な内容が自分の「こだわりの領分」となるわけです。こだわりは、「当たり前」ではありません。

それを相手に合わせて諦める必要は全然ありませんが、それを相手に求めることの理不尽さにも自覚的であるべきです。
そして、ボーダーラインを超えるこだわりで生まれた負担については、自分でやるようにする。 

価値観の違いは埋めるのではなくて、補うのです。こうして、お互いが補い合いながら家事の心地よさを見つけていけたらいいですよね。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント 家事シェア研究家のnote:https://note.com/tomoari_miki

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