教えてくれたのは……松澤 美愛先生
精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会。
東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。
「自己肯定感が低い人」の友人関係の特徴
自己肯定感が低い人の友人関係は、「目的のある人間関係であり、広がりが持てない」ことが特徴として挙げられると、松澤先生は言います。その背景には、思考パターンが関係しているのだそうです。
松澤先生:自己肯定感が低い人は、自分に自信が持てず、「自分には価値がない」「誰の役にもたっていない」とネガティブな思考に陥りやすい傾向があります。そのため、“人のために頑張る”ということが苦手です。
また、物事や感情を素直に受け入れられない思考から、他人に嫌なことをされたり、理不尽な出来事などに直面したりした際には、感情的になり怒りをぶつけてしまうことがあります。このような怒りや否定的な感情は、せっかく築いてきた人間関係を壊してしまうことも。そのため、良好な人間関係を継続的に構築することが難しくなることがあります。
こうした背景から、自分や相手のどちらかの利益や得のために寄り集まった人の中で、友人関係を築く構図になりやすいと考えられます。
「自己肯定感が高い人」の友人関係の特徴
一方、自己肯定感が高い人は、「良好な人間関係を築き、ポジティブな人が集まる」傾向があるとのこと。その理由について、解説していただきました。
松澤先生:自己肯定感が高い人は、ありのままの自分を受け入れているので、物事に対して常にポジティブな姿勢を持っている特徴があります。たとえ苦手なことや不得意なことがあっても、それを理由に自分を劣っていると考えることはありません。周囲の人に対しても同じようにありのままを受け入れて優しく接することができるので、コミュニケーション能力が高く、良好な人間関係を築くことができます。
また、相手の悪い面よりもよい面を見つけ出し、その存在を尊重する行動をします。褒められたら素直に感謝し、失敗をしたときにはそれを素直に受け入れ、人のせいにすることはありません。集団生活の中でも、「自分は誰かの役に立てている」というポジティブな実感を通じて、大変なことに対しても前向きに努力を継続できるのです。
人のために前向きな努力を惜しまない姿勢は、その姿に共感する同じようなマインドの人を持つ人たちを自然と引き寄せます。その中で良好な人間関係を築き、さらに強固にしていくため、夢や目標を実現しやすくなります。このようにして、おのずとウィンウィンの友人関係が形成されていくのです。
よりよい人間関係を築くためには、自己肯定感を育んでいくことが大切です。それぞれの特徴を知り、自分自身や周りとの関係を見つめ直すきっかけにしてみてくださいね。