教えてくれたのは……松澤 美愛先生
精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会。
東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。
「自己肯定感が低い人」の時間の使い方の特徴
松澤先生によると、自己肯定感が低い人の時間の使い方は、「自分軸で決めない」「理由をつけて、時間を確保しようとしない」ことが特徴として挙げられるとのこと。その背景には、ネガティブな思考パターンも関係しているのだと言います。
1.自分軸で決めない
松澤先生:自己肯定感が低い人は自分軸を持てないため、生活においても、その日の状況や周りの人の影響に左右されやすいという特徴があります。毎日同じ時間に起きて寝ると身体がラクになると分かっていても、「仕事で遅くなったから」「付き合いがあったから」などと理由をつけて不規則な生活を続け、疲れを溜めてしまうことが多く見られます。
2.理由をつけて、時間を確保しようとしない
松澤先生:自分のことを大切にする意識が欠けているため、身体を労わることを優先せず、好きなだけ食べたり飲んだりしてしまうことがあります。忙しさを理由に、入浴はシャワーで済ませて身体を労わることをおろそかにし、運動や趣味に充てる時間を確保しようとしないことも。自分の生活を振り返ることがないばかりか、その時間を確保するための努力も怠りがちです。
むしろ、それらを楽しむ人たちの前で「暇でいいね」「余裕があってうらやましい」といった言葉を口にし、より一層自分を落とし込む結果になってしまうのです。このような状況から、生活の中でストレスや不満を蓄積しやすい傾向があると言えます。
「自己肯定感が高い人」の時間の使い方の特徴
一方、自己肯定感が高い人は、「規則正しい生活を送ろうとする意識が高い」「自分のためになる時間を確保する」傾向があるとのこと。そのポイントについて解説していただきました。
1.規則正しい生活を送ろうとする意識が高い
松澤先生:自己肯定感が高い人は、日常生活の多くの習慣において、自分なりのルールを決めて過ごす特徴があります。それは、いかに自分が快適に過ごせるか、パフォーマンスを上げられるかを考えてのことです。例えば、起床時間や就寝時間を一定にし、規則正しい生活を意識しています。また、食事は身体が必要としているものを意識しながら、バランスよくしっかりと摂ることを心がけており、飲酒も適度に楽しむ程度に留めています。
2.自分のためになる時間を確保する
松澤先生:自分自身を大切にする意識を持っているため、身体にも十分に配慮し、どんな状況でも粗末に扱うことはありません。一日の終わりにはシャワーではなく、しっかりと湯舟に浸かり、身体を労わる時間を確保しています。その時間を使って一日を振り返り、感謝とともに明日に備えます。十分な睡眠時間を確保することも習慣にできているのです。
忙しい毎日の中でも、時間を見つけて運動を取り入れるなど、運動習慣を身に付けていることも特徴のひとつです。また、趣味の時間も同様に大事に考え、自分が好きなことや大切にしていることのためにしっかりと時間を割いています。忙しさを理由にやらないのではなく、自分のためになる時間を確保するための努力を惜しまないのです。
自己肯定感の違いは、日々の生活習慣や時間の使い方にも大きく反映されます。心身ともに、健やかで豊かな毎日を送るためのヒントにしてみてはいかがでしょうか。