珍缶1:あのお店の味が缶詰でよみがえる
2019年5月、缶界(缶詰業界)に衝撃が走った。吉野家が「缶飯」シリーズを発売したのだ。具だけでなくごはんまで入っているのが驚きだった。
2番目の画像、塩焼さば丼を見ていただきたい。さばの下に、確かにごはんが見えている。これはただの白米ではなく玄米で、それも「金のいぶき」という高機能玄米。白米に比べて食物繊維が約7.8倍もあるそうな。
柔らかめに炊いてあるから常温でも食べられ、玄米ゆえぷちぷち食感が楽しめる。もちろん、吉野家を代表する牛丼缶飯もあり、玄米の上には例の甘辛い牛肉がちゃんと乗っております。
珍缶2:保存食のたくあんの缶詰
これは宮崎県の道本食品が造る「たくあんの缶詰」。宮崎産干し大根を漬け込んだ本物のたくあんを使ってます。
「もともと保存食のたくあんをなぜ缶詰に?」と思った方も多いでしょう。実は道本食品は漬け物のプロなのだ。しかし米食が減ってきた現代、たくあん需要も減りつつある。そこで缶詰にすることで、より手軽に食べてもらえるだろうと商品化。匂いが絶対に漏れない利点もあり、宮崎の新たなお土産として人気商品になった。食感が素晴らしく、噛むと「カリッ」と快音が!
珍缶3:戦国武将が食べた料理を再現
これはデアゴスティーニ・ジャパンと国分がコラボした歴史読み物(冊子)付き缶詰。戦国武将の織田信長と明智光秀が、当時食べたとされる料理を史実に基づいて再現している。
織田さんのほうは山椒と生姜を利かせた肉みそ缶。いかにもパワーが出そうな味で白ごはんが欲しくなる。明智さんのほうは豚の三枚肉とねぎ、蓮根、ぎんなんの煮物。甘辛くてだしも利いており、普通に美味しい。
冊子付きの缶詰は、少なくとも日本で初めての発売。これ、海外物も出したら面白いかも。イギリスのアーサー王が食べた騎士メシ缶詰とか、どうでしょ?
珍缶4:自分で焼いて仕上げるパイの缶詰
ロンドンで見つけたこの缶詰。中身は肉と腎臓のパイ(いわゆるキドニーパイ)なんだけど、缶に「フタを開けてオーブンで焼いてくれ」と書いてあった。
事実、フタを開けると生焼けのパイ生地が入っていたのだ(2枚目の画像)。
指示通りに焼くと、3枚目の画像のように香ばしい焦げ目が付いて、ちゃんとしたパイになったのだった。
缶を調理器具として使う缶詰は、他で見たことがない。実にユニーク!
珍缶5:スールストロミング
大トリはスウェーデンのスールストレミングであります。一般には“シュール”ストレミングと表記されるが、同国出身のタレントLiLiCoさんがこないだ「スールのほうが近い発音です」と教えてくれた。なのでこれから先の人生はスールと言うことにした。
世界一臭い缶詰、どころか世界一臭い食べ物として知られるこの缶詰。中身はニシンを発酵させたものだ。なぜ臭いかと申せば、加熱殺菌をしていないから。
缶詰は中身を詰めて密封した後、殺菌のために缶ごと高温加熱する。でもこれは発酵食品なので、殺菌したら中の菌類が死んでしまう。「そうはさせじ!」と、スウェーデン人は加熱殺菌せずに仕上げてしまったのだ。ゆえに密封され、空気を遮断された菌類は異常な発酵を始め、激臭が発生するのであります。
一体どんな匂いか。腐った玉ねぎ、下水、ガス漏れしたときの刺激臭などなど、およそ食べ物とはかけ離れた匂いなのだ。味は非常に塩辛く、そのまま食べると「うっ」となる。
といっても、発酵食品特有のうまみは確かにありますぞ!
今回は世界の珍缶ファイル・パート2をお届けしました。最後のスールストレミングは、日本に正規代理店があるので通販で買えます。勇気のある人はぜひどうぞ!