教えてくれたのは……総合家電エンジニア 本多宏行さん
テックマークジャパン株式会社業務部クレームチームエキスパート
家電全般、住宅設備、パソコン、車などの延長保証の修理精査業務に携わっている。
多種多様な家電製品の幅広い専門知識が必要となる「総合家電エンジニア(正式資格名称:家電製品総合エンジニア)」資格を保持。
Q:シャワーが冷たくなることがあります。故障でしょうか?
本多さん「使用状況によって自動で温水温度を下げる節電機能が働いている可能性があります。
節電機能を解除して、温水温度の設定を高めに変更しても改善しないようであれば、購入した販売店、またはメーカーサービスまで問い合わせましょう」
Q:ノズルの手入れを怠りがちです。適切な手入れの頻度を教えてください。
本多さん「ノズルのお手入れは、月に一回が目安です。使用頻度に関わらず、取扱説明書に従って、正しくお手入れしてください」
Q:掃除しているものの、十分に清掃できているかわかりません。定期的に清掃すべき部分があれば教えてください。
本多さん「日常的には、温水洗浄便座の本体や便座、便蓋のお手入れをしましょう。
月に一回を目安とした定期的なお手入れが必要な箇所は、各種フィルターやノズル、電源プラグです。
基本的にこれらの部位をしっかりお手入れしていれば、問題ありませんが、取扱説明書に念入りなお手入れ方法などが記載されていることもあるので、確認してみましょう」
Q:便座を温かくし続けると、どれくらい電力消費するのか気になります。
本多さん「便座を温めるための電力以外にも、消費している電力があるため、正確な数値を導き出すのは難しいのですが、年間の電気代は以下の計算式で求められます。
1年間の電気代(円)=年間消費電力量(kWh)×電気代単価
電気代単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が発表する目安の27円(税込)を適用してみましょう。
年間消費電力量とは、「4人家族で8時間OFF設定の節電を効果的に利用して平均的な気温のもとで平均的に使用した場合」、省エネ法の測定方法に準拠し、標準品を測定して求められた目安で、製品カタログや取扱説明書に記載されています。
まず、使用している温水洗浄便座の年間消費電力量が、取扱説明書で70kWh(節電機能を有効とした場合)であったと仮定します。その場合年間の電気代は……
70kWh×27円/kWh=1,890円
さらに、取扱説明書に95kWhの数値も記載されており、この数値は節電機能を無効とした場合の数値であったと仮定します。
95kWh×27円/kWh=2,565円
節電機能を有効とした場合と無効とした場合で、これだけの金額差が生じるのです。
従って、節電機能を無効として便座を温め続ければ、必然的に後者の金額に近づき、場合によっては超過することも考えられるでしょう。
このことからも、温水洗浄便座に備わっている節電機能は有効活用すべきだと思います」
本多さんには4つの疑問にお答えいただきました。解説を参考にしながら、温水洗浄便座を安心して、快適に使っていきたいですね。