教えてくれたのは……総合家電エンジニア 本多宏行さん
テックマークジャパン株式会社業務部クレームチームエキスパート。
家電全般、住宅設備、パソコン、車などの延長保証の修理精査業務に携わっている。
多種多様な家電製品の幅広い専門知識が必要となる「総合家電エンジニア(正式資格名称:家電製品総合エンジニア)」資格を保持。
省エネ性能の優れたエアコン、扇風機を選んで
今やエアコンは、冷暖房運転にとどまらず、加湿、除湿、空気清浄、換気、さらに室内機内部自動洗浄やAI機能など、機種によって多種多様な機能が備えられています。扇風機も、製品によって機能も価格もさまざま。
「これだけ種類があると選ぶのも大変ですが、環境への配慮や電気料金の高騰を考えると、ぜひ押さえていただきたいのが、製品の省エネ性能です」と話すのは、総合家電エンジニアの本多宏行さんです。
そこで今回は、本多さんに、省エネ性能の優れたエアコン・扇風機を選ぶポイントを教わります。使っている製品によっては、買い替えた方が節約になるケースもあるそうです。
エアコンは新しくなった「省エネラベル」に注目!
2022年10月に、エアコンの省エネ目標が15年ぶりに改定されたのをご存じですか? それに伴い、エアコンの統一省エネラベルも変更されているんです。(出典:資源エネルギー庁)
上の画像の左側が一般地仕様、右側が寒冷地仕様のラベル。
下の画像は、Webサイトなど、表示するスペースが限られている際に用いられるミニラベルです。
省エネ性能は、星の数と、その横に記載される数値で表されます。
星の数は1つから5つまでで、星半分で評価される場合もあります。
数値は、省エネ性能の高い順に5.0から1.0まで、0.1きざみの41段階。
また、年間の目安料金表記が、以前の【この製品を1年間(冷暖房期間中に於いて1日に18時間)で使用した場合の目安電気料金】から、『この製品を1年間使用した場合の目安電気料金』に変わり、よりシンプルに、分かりやすくなりました。
製品を選ぶ際に、ぜひ注目してみてください。
「APF数値」も参考に!
省エネ性能ラベルと一緒に記載されることの多い、APF数値。これはエアコンの冷房能力を1年間の電力量に該当する期間消費電力で割り算した数値です。
ちょっと難しく感じるかもしれませんが、冷暖房能力と期間消費電力は、どちらも単位がkWhで、数値が高いほど、省エネ性能に優れていると覚えておけばOKです。
扇風機はモーターの種類をチェック!
扇風機は、搭載されているモーターが、ACモーターか、DCモーター(正しくはブラシレスDCモーターだが記述はDCモーターとする)かを確認しましょう。分かりやすく、1時間の電気代単価を28円として、ACモーター搭載の扇風機と、DCモーター搭載の扇風機の電気料金を比較してみましょう。
それぞれの消費電力は、ACモーターの扇風機を40W、DCモーターの扇風機を20Wとします。
ACモーター搭載の扇風機:0.040kWh × 28円 = 1.12円
DCモーター搭載の扇風機:0.020kWh × 28円 = 0.56円
となり、DCモーター搭載の扇風機の方が、電気代の節約になることが明らかです。
よって、お使いの扇風機がACモーター搭載の扇風機であれば、DCモーター搭載の扇風機に買い替えることをおすすめします。また、一般的にACモーター扇風機は、微風を作り出すことが苦手ですが、DCモーター扇風機は、それにも長けています。
微風の方が、小さなお子さんにとっても心地よいでしょうし、在宅勤務の際に、書類が飛んでしまうことも防げます。そうした意味でも、DCモーター扇風機をおすすめします。しかし、DCモーター扇風機は価格帯が高く、ACモーター扇風機に比べると3倍以上のお値段になることも少なくありません。ただ、省エネ機能はもちろん、空気清浄機能やホコリの付着を軽減させる機能などを備えたモデルもあり、魅力的だと思います。
いかがでしたか? エアコン・扇風機の機能と、使い方や使う環境を照らし合わせて、自分にとって最適な製品を選びたいですね。