部活の見学に行った娘
先日、娘が、「放課後に部活の見学に行ってくる」と言って学校に行った。
仲の良い友達が入っている部活に誘われているのは知っていたので、とうとう入部する気になったのかな? と思いながら送り出した。
その部活は、朝練、放課後の練習時間がかなりしっかり設けられていて、土曜、日曜もどちらかは練習で学校に行く。
私も小学生の頃はブラスバンド部に所属し、同じように放課後や週末に練習をした経験があるので、娘も部活に入り同じような経験をするのかなという気持ちで帰りを待った。
見学でいつもより遅く帰宅した娘は、「すごく楽しそうだった! でも、やっぱり練習時間が多いし、習い事の時間もあるから悩んでるの」と言う。
「やりたいと思うならやってみたら? ただ、練習時間が多いこと、土日も学校に行くということもちゃんと考えてどうしたいか考えてみて」
我が家は、娘がやりたいということはやらせることにしている。大変だとわかっていても、自分が「やりたい!」と思うことはきっとやり遂げることができる。私や夫は、娘に「どう思う?」と聞かれたときに、自分たちの考えを話すようにしている。
見学をしてきた日。家族3人で夕飯を食べながら入部についての話を聞いた。
娘が出した答えは、「やってみたい気持ちはあるけど、もっとやってみたいことがあるからそっちに時間を使いたい」というものだった。
娘の心の中にあった本当の気持ち
翌朝、「〇〇ちゃん、私が見学に行ったから入部すると思って楽しみにしてるの」と言うので、「ちゃんと、自分が出した答えを伝えておいで」と言って送り出した。
その日、学校から帰ってきてから娘の元気がない。「あ、これはお友達にうまく伝えられなかったのかな?」と思った。
おやつを一緒に食べながら、「ちゃんと言えた?」と聞くと、娘の顔がますます曇る。
その表情からいろいろ察することはできるけど、ここで質問攻めにするよりも、娘が何を話し出すのかを待つ。これは、先日インタビューした言葉がけコーチ・島谷さんのお話を参考にさせていただいた。
「あのね……。すごくやってみたいなって気持ちもあるの。〇〇ちゃんも私が入るのを楽しみにしてくれてるし……。でもね、やっぱり練習時間とか大変だなぁとも思うの。できるかなぁって思うしね……」
娘が早口で話す。きっと、この言葉以外のところに、本当の気持ちがあるんだろう。
「そっか。やってみたい気持ちがあるから見学に行ったんだもんね。でも、昨日ご飯を食べながら、入らないって言ってたけど、やっぱりやりたいって気持ちになったの? 今、娘ちゃんの心の中にあるのはどんな気持ち?」
そう聞いたら、娘が私の顔を見ながら、
「入るのやめるって言えなかったの。だって、それで○○ちゃんに嫌われたらどうしようって思ったら怖いの~!」
と言って泣きだした。その娘の言葉を聞いて、私も涙がボロボロ出てきて一緒に泣いた。
「そうだよね。大好きなお友達に嫌われるかもしれないと思ったら怖いよね。そういう気持ちだったんだねぇ。すごくわかるよ。でも、〇〇ちゃんは、そんなことで嫌うような子かな? ママ、違うと思うなぁ。それに、入れないなという自分の気持ちより〇〇ちゃんに嫌われたくないことを理由に入部を決めることは、ママ、反対。何かを決めるときは、誰かのためにではなくて、自分が1番ハッピーだと感じることを基準に決めてほしいな。これはあなたの人生だから。他の誰でもなく、あなたのハッピーが一番大事だから」
それからしばらく娘は泣き続けていたけど、「明日、〇〇ちゃんにちゃんと話してみる」と言って泣き止んだ。
私たち夫婦が親としてできることは……
この世に生まれてまだ10年。大事な大事なお友達に嫌われるかもしれないという不安は、きっと娘にとってとてつもない恐怖だったに違いない。
まだまだ小さなハートが、そんな恐怖で押しつぶされそうになっていたかと思うと涙が止まらなかった。と同時に、成長過程でとても大事な気持ちを経験できたんだなぁとも思う。
「もし、その話をして「友達やめるわ!」と言うような子だったら、友達をやめて良いと思う。何かをしてくれないから友達じゃない。何をしてくれるから仲良し。そんな条件で付き合いをする人は、本当の友達じゃないよ」
そう話した私に娘が言った言葉に感動した。
「ママにとっての、〇〇ちゃんとか〇〇〇ちゃんとかは本当の友達だよね。みんな、ママがママってだけで大好きだもんね。私もそういうお友達をたくさん作るね」
初めての子育て。「これって正解?」と、夫と確認しあいながら手探りで娘を育てている。正解も不正解もない中で、少なくとも「これでよかった!」と思えるために私たちができることは、娘にとってお手本になるような生き方をして、その背中を見せることだよね。よく夫とそんな話をしている。
娘からのその言葉に、「今見せている背中で大丈夫!」というはなまるをもらえたような気がした。