教えてくれたのは……福田 頌子先生
愛知医科大を卒業後、大学病院での診療をしながら、同大学にて博士号を取得。現在は愛知県尾張旭市にて「あさひの森 内科消化器クリニック」を開業。消化器病専門、消化器内視鏡専門医でありクリニックでは胃カメラ、大腸カメラも行い、「便秘下痢外来」を開設し多くの方の診療を行っている。
赤い便が出ているときに考えられる「6つの病気」の前兆
前回の記事では、赤い便が出ているときに考えられる病気の特徴について教えていただきました。
早期発見・早期治療のためには、病気のサインを見逃さないことが大切です。赤い便が出る以外に見られる前兆のポイントも、併せて押さえておきましょう。
1.痔
肛門がかゆい、むずむずするといった症状が出る場合もあります。痔は便秘の方にできることが多いです。排便時にいきんだ後に、ポタポタと血が出た場合も痔の可能性が上がります。
2.憩室出血
目立った前兆の症状はありません。一度できた憩室は治ることはないので、過去に憩室が指摘されたことがある方で、特に痛みもなく赤い便が出た場合には憩室出血の可能性が考えられます。
3.虚血性腸炎
もともと便秘の方で強い腹痛があり、トイレへ駆け込んだときに血が出るのが特徴的な経過です。
4.感染性腸炎
焼肉、BBQ、鳥刺しなどを食べた後に、カンピロバクターやサルモネラ菌に感染することが多くあります。心当たりのあるものを食べた場合、同じものを摂取している方がいるようであれば、同じような症状がないかを確認するのも重要です。下痢や血便より先に吐き気や高熱が出る場合もあります。
5.潰瘍性大腸炎
なんとなくお腹が痛い、下痢が出る、お腹がいぶっているといった症状も出現します。便に白いモヤモヤが混ざることもあります。
6.大腸癌
大腸癌の中でも、直腸など肛門に近い癌の場合は前兆がある場合があります。便が細くなることも前兆のひとつなので、自分の便の色や形を日常的にチェックすることが大切です。
赤い便が出ている場合のNG行動
さまざまな病気の可能性が考えられる「赤い便」。大ごとだとは思わずに放置していたところ、癌が進行しているケースも多いのだと、福田先生はおっしゃいます。
福田先生「赤い便が出たときには、放置をしないことが重要です。
『痔だと思っていたから』と受診しないでいたら、大腸癌がかなり進行していた患者様はたくさんいらっしゃいます。その反対に、赤い便が数回出ただけでも大腸カメラを行い、大腸癌が見つかるケースも多くあります。
赤い便が出た場合は痔と決め込まず、勇気を出して大腸カメラを受けましょう。特に40歳を超えると大腸癌の方が右肩上がりに増えます。症状が軽くても『40歳を超えたら大腸カメラ』を合言葉に、ぜひ大腸カメラを受けることを検討してください」
「日常的に便をチェックする」「いつもとは違った色の便が出ているときには医療機関を受診する」「定期的な検診を受ける」の3つを心がけられるとよいですね。“まさか自分が”と、決めつけないことが大切です。