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なんで大事なものをバカにされて怒らないの?【トイトイの問い 第61話】

カルチャー

2024.10.22

私たちの日常にある「あたりまえ」。「どうして?」と問われたとき、はっきりと理由を答えられるものはどれだけあるでしょうか。「あたりまえ」への疑問の答えは、きっとひとつではありません。 トイプードルのトイトイと、猫のモラ。2匹の視点から生まれた疑問に、あなたなりの答えを見つけてみませんか?
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連載:トイトイの問い

なんで大事なものをバカにされて怒らないの?

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何で大事なものをバカにされても怒らないの……?

最近、真剣に怒ったことはありますか?
怒りという感情は表に出さないほうがいいと思われがちですが、実は「自分を守る」ためにある大切な感情なのです。

トラブルに対して生き物は自分を守るために「逃げる」「固まる」「戦う」のどれかを選択するそうですが、「戦う」ために必要なのが怒りです。
向き合い方は人によってどれかに偏るそうですが、皆さんはどれが多いでしょうか。

例えば、何でもかんでも怒鳴り散らすタイプの人は主に「戦う」ことで自分を守っているんですね。これを知って、私は怒鳴る人ほど実は何かが怖いんだと思うようになりました。

今回のお話でトイトイがマコトを守るために戦ったことでマコトを馬鹿にしていた同級生は逃げていきます。トイトイは小型犬ですし、男子二人が本気で蹴飛ばせばアッサリ勝てるはずなのに。本当の怒りの感情は、相手を怯ませる力があります。

カラスが営巣期(巣作り・子育て期)に襲ってくることがありますが、あれだって本気を出せば人間の方が強いのに人間はカラスを怖がりますよね。
それは、怖がるような弱い相手しか狙わないから、なのです。

私は自分の人生で戦うことを避け続けて生きてきました。でも、カラスと同じなんです。
やり返さない相手として認識されたとき、相手はそこを狙って攻撃するのです。

私は現実でもネット活動でも、馬鹿にされたり誹謗中傷の言葉をぶつけられる機会が多く、その都度「スルー出来れば大丈夫」と自分に言い聞かせて耐え、つらい気持ちを無視していました。でも、受け続けるストレスは蓄積されていたのです。

そこでカウンセリングに行ったのですが、そこで「もう何年も戦っていなかった」ことを知りました。攻撃されてもヘラヘラ笑ったり怖がって泣くだけだった私は、多くの人にとって「やり返してこない」殴りやすい相手だったのです。

「実際に戦わなくていい。でも、相手に対して怒りの感情を持ちなさい。戦えることを相手に示すだけでいいから」と言われ、心がけるようにしたのですが……驚いたことに、その時から本当に嫌な言葉を言われる機会が大幅に減ったのです。(何も言い返したりはしていないです)

過去の私と同じように「何で自分ばかり嫌なことを言われるんだろう」思うことがある方は、自分の心が殴られ続けているのに怒りを隠して戦わず、ひたすら守りに入っているのかもしれません。
怒鳴り散らす必要はありません。その出来事に怒りの感情を持って相手に向き合うだけでいい。「戦う心」を持てたとき、少しでも楽になるものはあるはずですよ。

* * * * *

今回のコラムで書いた、私がカウンセリングを受けたときの話を漫画にしています。
ここ数年、怒った記憶がない方。また、嫌なことをされても我慢したり、笑顔で誤魔化してしまいがちな方がいたらよかったら読んでみてください。
Kindleが読める環境であれば無料でダウンロード可能です。
Amazonで「誰かのために、怒りたい。: カウンセリングで怒り方を思い出した話」を見る

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著者

水谷アス

水谷アス

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者でASD児育児中の母。 理屈っぽい変人と言われながら生きてきました。 そんな変わり者の思考をありのままに伝えることが未来の多様性理解のひとつに繋がることを願って、種まきのようにマンガ、文章、音声、様々な媒体で日々発信活動をしています。 読んだ人の心に新しい気づきが芽生えてくれたら嬉しいです。

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