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本当にただしいこと、まちがっていることってある?【トイトイの問い 第60話】

カルチャー

2024.10.19

私たちの日常にある「あたりまえ」。「どうして?」と問われたとき、はっきりと理由を答えられるものはどれだけあるでしょうか。「あたりまえ」への疑問の答えは、きっとひとつではありません。 トイプードルのトイトイと、猫のモラ。2匹の視点から生まれた疑問に、あなたなりの答えを見つけてみませんか?

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連載:トイトイの問い

本当にただしいこと、まちがっていることってある?

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何で戦争なんてするんだろ……

アンパンマンの作者、やなせたかし先生は「正義は立場によって変わる」と言っていたそうです。

やなせ先生は戦争経験があるのですが、戦争している国の領土で活動していると、どちらの国に入ったときもそれぞれ自分の正しさと相手の間違いを主張していたのだと。
立場変われば片側の正義は相手にとって悪。だから正義と悪を決めることに意味などないと感じたそうです。
(余談ですが、どんな立場に立とうともこれだけは正義! と言えるものは「お腹を空かせた人に食料を渡すこと」と思ったことから、アンパンマンというヒーローが生まれたのだそうですよ。)

戦争はとても悲しい命の奪い合いですが、どちらの国にも双方言い分があって争っています。これは戦争という大きな規模のお話だけではなく家庭や学校、社会でもしばしば起こることなのではないでしょうか。自分のことばかりで、相手のことを考えられなくなったとき争いが起こるのだと私は思っています。
『どちらかが悪い』と決めつけてしまうことを続ける限り、争いというものは止まらないことでしょう。

当事者はどうしても視界が狭くなりがちです。今回のお話のように、客観視出来る立場の人が「こっちはこういう言い分がある」「でもこっちにはこういう理由がある」と気付いて、お互いの気持ちを尊重しながら仲裁することが出来るようになっていけば、小さな争いぐらいなら穏便におさめられるかもしれません。

そうやって他者の気持ちを推し量っていける人が増えたらもっと大きな争いも止められるようになるかもしれない。私は、みんなが自分のことばかりでなく相手の事情も考えることが当たり前になっていったら、いつしか世界から戦争が無くなる日が来るかも…とまで夢見てしまったりしています。

小さな争いが目の前で起こったとき、何が悪いのかを追求するのではなく、双方の視点で眺めお互いが納得するかたちを模索すること。
みなさんも、身近なところから始めてみませんか?

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著者

水谷アス

水谷アス

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者でASD児育児中の母。 理屈っぽい変人と言われながら生きてきました。 そんな変わり者の思考をありのままに伝えることが未来の多様性理解のひとつに繋がることを願って、種まきのようにマンガ、文章、音声、様々な媒体で日々発信活動をしています。 読んだ人の心に新しい気づきが芽生えてくれたら嬉しいです。

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