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「やらない後悔」より「やる後悔」ほんとうにそうですか?【トイトイの問い 第79話】

カルチャー

2025.02.01

私たちの日常にある「あたりまえ」。「どうして?」と問われたとき、はっきりと理由を答えられるものはどれだけあるでしょうか。「あたりまえ」への疑問の答えは、きっとひとつではありません。 トイプードルのトイトイと、猫のモラ。2匹の視点から生まれた疑問に、あなたなりの答えを見つけてみませんか?

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連載:トイトイの問い

やりたくない事をやらないことも大事だよね?

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やりたくないならやらなくていいのにね?

『行動した後悔』と『行動しなかった後悔』だったら、行動しなかった後悔の方が強い……という話をよく聞きます。
確かに「あ~やっとけばよかった……」と思うときって本当に悔しいんですよね。ただ、多分コレは自分自身の決断する勇気が不足していた場合の行動しなかった後悔ではないかと思っています。つまり『本当はやってみたかった』ときの話ということ。

今回のお話のように『やりたくない事をやらされそうだけど、断るか、断らないか』という状況の場合は、そもそも『やりたくない』ことなんですよね。

私は飲み会が基本的に苦手です。それでも、若い頃は誘われたとき「行かなかったことで後悔したら悔しいし」……と、頑張って行っていました。が、大抵は楽しむことが出来ませんでした。
むしろその場に居ることがしんどくて「何で苦手なのに来ちゃったんだろ…」と行動したことを後悔したものです。でも、きっと行かなかったら「行っておけばよかった」と後悔していたに違いない。その後悔は行った後悔より大きいはずだと自分に言い聞かせていました。

しかし毎回参加してはしんどくなっていたので、ある時、誘われたときに思い切って行かない選択をしてみました。
もしかして行ったら楽しい時間なのかも……と後ろ髪を引かれる自分もいましたが、行かなかった時間を自分のやりたい事をする時間に当てられたとき「行かない方が楽だな」と思えたのです。

そこでようやく気が付きました。
自分が後悔していた行動は『飲み会に行くか、行かないか』ではなくて『飲み会に行くことを断るか、断らないか』だったことに。
【断る】ということが、立派なひとつの行動だったのです。私は若い頃ずっと、嫌な飲み会を断らずに参加して『やらなかった後悔』を重ねていたんです。

人生で何か選択しなければいけないときは『勇気が必要な方』を選べ、という言葉をどこかで見たことがあります。飲み会に誘われたときの選択肢が『行くこと』『断ること』ならば、後から自分がその仲間から浮くかもしれないことを思えば、断る選択の方が勇気が必要でした。参加する選択の方がむしろ空気に流されるだけで出来てしまう簡単なことだったんです。

行動するかしないかを決める軸は、そうやって踏み出す勇気が必要な『自分の意思』を中心に考えなくてはいけなかったんですね

皆さんも『やらなかった後悔』を避けているつもりで、流されてやっていることはありませんか?それは【拒否する】という行動をしていないだけかもしれません。
迷ったときは、どうぞ後悔のない選択をしてくださいね。

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著者

水谷アス

水谷アス

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者でASD児育児中の母。 理屈っぽい変人と言われながら生きてきました。 そんな変わり者の思考をありのままに伝えることが未来の多様性理解のひとつに繋がることを願って、種まきのようにマンガ、文章、音声、様々な媒体で日々発信活動をしています。 読んだ人の心に新しい気づきが芽生えてくれたら嬉しいです。

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