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掃除しない人が文句を言う…。「なんでやらないことに文句を言うの?」【トイトイの問い 第75話】

カルチャー

2025.01.11

私たちの日常にある「あたりまえ」。「どうして?」と問われたとき、はっきりと理由を答えられるものはどれだけあるでしょうか。「あたりまえ」への疑問の答えは、きっとひとつではありません。 トイプードルのトイトイと、猫のモラ。2匹の視点から生まれた疑問に、あなたなりの答えを見つけてみませんか?

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連載:トイトイの問い

なんでやらないことに文句を言うの?

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別にとーちゃんキレイ好きじゃないでしょ?

私は学生時代、コンビニでバイトをしていたことがあります。最近のレジはお客さん側でセルフレジで会計出来るようになっていたり、電子マネーでおつりのやり取りが無くなっていたりして店員さんもお客さんも双方で楽になりましたね。
しかしコンビニ業務というのは多岐にわたり、レジが楽になった代わりに増えたものも多いだろうなと思います。おでんを仕込み、揚げ物を揚げ、食品の賞味期限を管理し、店内を清掃し、宅急便を受け付けたり公共料金の支払いを受けたり……。

私が働いていたコンビニはあまりお客さんが来ない田舎のコンビニだったこともあって、基本ワンオペでした。わからないことが発生しても誰にも聞けません。なので予期せぬ珍しい仕事が入ったときはパニックになってマニュアルをひっくり返していたため、お客さんによっては怒り出す方もいました。
他にも接客業はいくつか経験しましたが、臨機応変さが求められ、どれも大変でした。

一度その仕事を経験して大変さがわかっていると、レジが遅いとか、ちょっと店が汚れているということがあっても「新人さんなのかもな」とか「掃除に手が回らないのかもな」とか色んなことを想像します。
そうすると多少の不満を感じることがあったとしても、私は、文句を言いたい気持ちになんて到底ならないのです。

「こっちがやったことあるか無いかなんて関係ない。仕事としてお金をもらってやってるんだから出来て当然だろう」というようなことを言う人もいますが、仕事としてやったからといって誰もが当たり前にすべてのことを出来るようになるわけではありません。
文句を言っているその人だって、仕事として取り組んでいることならすべてを完璧にやれているなんてことはないはずですよね。

お店の人や、農家さん、漁師さん、工事業者さん……自分が関わったことのないあらゆるお仕事があります。自分が出来ない仕事をその人たちがやってくれているおかげで生活出来ていると考えれば、あらゆる人に感謝したいと私は思っています。
先日カフェに行って食事をしたあと、お店の人に「ごちそうさま、美味しかったです」と声をかけたら、表情がパッと明るくなりました。誰だって文句を言われるより感謝される方が嬉しいですよね。

やってもらえて当たり前のものなんてありません。誰かの頑張りがみんなの生活を支えている。自分が関わらない仕事をやっていくれている人へ、日々こまめに感謝の気持ちを伝えてみませんか。

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著者

水谷アス

水谷アス

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者でASD児育児中の母。 理屈っぽい変人と言われながら生きてきました。 そんな変わり者の思考をありのままに伝えることが未来の多様性理解のひとつに繋がることを願って、種まきのようにマンガ、文章、音声、様々な媒体で日々発信活動をしています。 読んだ人の心に新しい気づきが芽生えてくれたら嬉しいです。

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