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”産後の恨みは一生”と言うけども、”産後の感謝も一生”だと思う。というお話

家族・人間関係

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2025.01.26

「良い花は後から」ということわざがあります。先に咲いた花よりも、後に咲いた花の方が美しいという意味を持つこの言葉。人生も同じだと思いませんか? 酸いも甘いも経験した40代頃からのほうが人生の豊かさを感じられるようになります。そんなことを意識しながら生きているkahoが日々思うことをお届けします。

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連載:潜在意識インタビュアーkahoのコラム【良い人生は後から】

SNSで話題になっていた”産後の恨み”

産後の恨み出典:stock.adobe.com

先日、Xを見ていたら「産後の恨み」についての投稿が目に入った。
妊娠中や産後にパートナーに対して感じた恨みは、子どもが20歳になっても消えていないというもの。

お腹に命を宿し、10ヶ月の間元気に生まれてくるように守りながら生活をするって、想像を絶する大変さがある。ましてや、初めての妊娠だったり、つわりがひどかったりしたら、その大変さは何倍にもなる。いや、どんな妊娠も比べることではなくてどれも大変。

そして、産後はホルモンが乱れまくった自分に戸惑いながら、一人では何もできない赤ちゃんのお世話を寝不足の中続けていく日々。
「なんじゃこれ~!」となってしまうのは当然。

そんなときこそ頼りにしているパートナーが、悠々と自分のことしか考えていない行動をとったり、横でグーグー寝ていたら恨んでしまう気持ちはわかる。

大変の連続だった妊娠から出産までの日々

産後の恨み出典:stock.adobe.com

産後の恨みは一生という投稿を見て、自分の出産のことを思い出した。

私は、妊娠がわかる前からつわりがはじまり、安定期に入るまでは文字通り、トイレに住んでいるような生活をしていた。
便座を閉めたトイレにつっぷし、吐き気が来たら便座を開けて吐く。
部屋に戻っていたら間に合わないので、1日のほとんどをトイレで過ごした。
ようやく安定期に入ったと思ったら、今度は切迫早産と診断され、張り止めを飲みながらほぼ寝て過ごす日々。
36歳での初産。ハイリスク妊婦ということで、予定日の3ヵ月前には実家に戻り、里帰り出産に備えた。

予定日の2週間前、朝方トイレに行ったら破水した。朝の5時、寝ている母に、「破水したみたいなんだけど……」と声をかけると、当時60代の母が漫画のようにベットから飛び起きた。「何分間隔? 痛みは? どのくらい?」と、ものすごい勢いで質問をされたけど、その時点で陣痛はなし。

病院についてそのまま入院になったけど、待てど暮らせど陣痛は来なくて、陣痛より先に東京から夫が到着した。

破水から3日目。朝10時から陣痛誘発の点滴開始。点滴を打ったら30分もしないうちにお腹が痛み出した。様子を見に来た主治医が、「赤ちゃんの心拍が落ちているので、このまま緊急帝王切開をします。書類にサインをお願いします」と言った。

あれよあれよという間に手術室へ運ばれた私は、「帝王切開!?」と思っているうちに、「はい、出たよ~!」と娘が目の前に登場した。

出産出典:stock.adobe.com

その瞬間、妊娠初期から続いていた吐き気が消えた。「気落ち悪くない! 先生! 私、気持ち悪くない!」。私が産後最初に発した言葉はこれだった。

手術室からベッドのまま出ると、心配そうな顔をした夫が近づいてきた。
「おつかれ、おつかれ。ありがとう」。たしか、夫はあの時そう言って、私の肩をポンポンとしてくれた。
出会って10年くらい経つけど、こんな顔初めて見たなぁと思った。

産後の感謝も一生

感謝の気持ち出典:stock.adobe.com

産後の恨みは一生と言うけども、産後の感謝も一生だと私は思う。
産後10日ほどで夫は東京へ戻り、実家での初めての子育てがスタートした。

産後は、ホルモンが乱れまくる。普段から泣き虫な私がより泣き虫になった。眠っている娘を見ているだけでボロボロ涙が出てくる。

ある日、夜中の授乳をしながらラジオを聞いていたら、同じ時期に赤ちゃんが誕生した芸人さんが奥さんの出産に立ち合ったときの話をしてきた。

「奥さんのことすごいなぁと思ったね。かなわんなって思ったよ。ほんまに」
その話を聞いていたら、突然、涙がボロボロ出てきた。

「私は、夫に娘が産まれるところを見せてあげることができなかったな……」

泣きながらミルクをあげたあと、私はその思いを夫にLINEした。
ラジオでそういう話を聞いたら、自分がすごくダメなお母さんに感じてしまったと。真夜中なのに、送った瞬間既読がついたと思ったら、夫からすぐに返信がきた。

「そんなことないよ。俺は、お前が妊娠してからこれまで頑張ってきた姿をずっと見てて、絶対お前にはかなわないなって思ってる。すごいと思ってるよ」

その返信を見た瞬間、”自然分娩で生めなかった”という私の中の後悔は浄化された。
自分の気持ちを伝えて、それに対して夫が思っていることを伝えてくれたことで、私はその後一度も生み方について後ろめたさを抱くことがなかった。

帝王切開も立派なお産。大切なのは、赤ちゃんが元気に生まれてくることであって、それ以外のことは取るにたらないことだ。
生み方にこだわることに意味はない。
今になればそう思えるけど、産後のホルモンバランスの乱れは、本当にいろいろなことを負として捉えてしまうのだ。

だからこそ、この時期のパートナーの発言や行動は、一生ものになってしまうのだろう。

夫は決してお喋りなタイプではない。大切なことだって言葉にしないことの方が多い。
でも、ここぞ! というときは、ビシッと決める。
仲良く夫婦ができているのは、この産後の感謝の気持ちも大きいなと思う。

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著者

潜在意識インタビュアーkaho

潜在意識インタビュアーkaho

フリーライター歴13年。著名人から話題の人まで幅広い方々へのインタビューライターを中心に活動中。ヒプノセラピーを学び、潜在意識の中にある大切な情報を気づくことが人生を変化させることを知り、潜在意識インタビュアーとしての活動を2022年からスタート。

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