情報が多いと疲れちゃうよね?
人間の世界、うるさすぎない?
「APD(聴覚情報処理障害)」というものをご存知でしょうか。
この障害は聴覚検査ではわかりません。耳の障害ではなく脳の障害ではないかと言われており、ざっくり言えば音の情報の選別が苦手な障害です。
大抵の人には「カクテルパーティー効果」と呼ばれる"自分に必要な情報だけを選んで聞き取る"ことが出来る能力を持っているのですが、APDはその能力が弱いと言われており、騒がしい環境の中で会話しようとしても"相手の声だけ"に集中出来ません。
聴覚検査で調べられないため診断を付ける事は難しいのですが、複数の人が同時に喋っているときに特定の声に集中出来ない人であれば程度に差はあれどこの障害を持っているのではないかと言われています。
私も恐らくこの障害を持っていて、昔から周りの人と比べて自分が上手に人の話を聞けないことに歯がゆさを感じていました。どんなに相手の話に集中しようとしても、テレビがついていたり、他の人が別の会話をしていればその内容も拾ってしまって集中できません。でも相手にはそれがわからず「ちゃんと話を聞きなさい」と怒られる……。
静かな環境であれば聞き取れることもあって、APDは外側から理解しづらい障害です。
先日、ちょっと大きめなお店へ買い物へ行ったら、とても疲れてしまいました。
有線放送で音楽が流れ、それぞれの売り場でも販促の音楽や放送が流れ、それに加えて買い物に来た人たちがそれぞれ口々に喋る声、レジなどの機械から出る音声があちこちから聞こえます。
私の脳は、どの情報が自分にとって重要なのかを判断出来ません。
すべての音を自分に向けられているかのように受け取ってしまうのです。
自然界の「水の音」「木々のざわめき」「鳥のさえずり」のように、それぞれ音が同時に鳴っても調和する環境音なら疲れないのですが、街中やお店の中の音は完全に独立して別な情報を発するので本当にぐちゃぐちゃして疲れてしまいます。
音が混じってしまう私には、混ざらず必要な音だけを聞き取れる世界がわかりません。
社会は多数派に合わせて作られている事が多いです。一般的には音が混ざらない人の方が多いそうですが、音が多い環境だというだけで疲れてしまう人もいるということを知っている人がひとりでも増えてくれたらいいなと思っています。