教えてくれたのは……糖尿病専門医・田中 祐希院長

三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック院長
「一人ひとりの幸せを応援」しながら、糖尿病専門医による治療を行う。クリニックホームページ内の院内紙にて、体験記、旬野菜の糖質オフレシピなど、お役立ち情報を公開中。
高血圧はなぜ「サイレントキラー」と呼ばれるのか
前回の記事では、「血圧にまつわる誤解と正しい理解」についてご紹介しました。高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、気づかないうちに身体へ負担が蓄積していく病気だと言われているのを知っていますか?
“サイレントキラー”とも呼ばれる高血圧は、放置すると重大な病気につながる可能性もあるそうです。田中院長に、放置した場合のリスクについて教えていただきました。
田中院長「血圧が150/100mmHgを超えてくると、頭痛、吐き気、ふらつき、倦怠感といった自覚症状が出る方もいらっしゃいますが、そうでない場合は自覚症状が出にくい疾患です。しかし、自覚症状を感じていなくても、高血圧の期間が長くなると、どんどん血管が侵されていき、最終的には心筋梗塞や脳梗塞、脳出血といった致命的な疾患につながる可能性があるため、“サイレントキラー(静かな殺し屋)”と呼ばれます。
つい放置して、『治療しなくても良いのでは』と考えてしまいがちですが、気づいたときには深刻なリスクを抱えていることもあります。心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、腎不全など、命に関わる重篤な病気を引き起こしたり、突然死につながったりすることもあるため、放置することは非常に危険です。」
40代女性は「隠れ高血圧」にも要注意
さらに、「隠れ高血圧」は自覚しにくく、気づかれにくいこともあるのだそうです。中でも、40代女性は注意が必要なケースもあるのだと、田中院長は言います。
田中院長「40代になると、はじめて高血圧を指摘される女性の方も少なくありません。これは、血圧を下げる働きを持つ女性ホルモン(エストロゲン)が徐々に減少するためと考えられています。
エストロゲンには、末梢血管を拡張し、血圧の上昇を抑える作用があります。しかし、更年期になってエストロゲンが減少すると、血圧が上がりやすくなることが知られています。また、更年期の年代はライフスタイルの変化から運動不足や肥満が進みやすく、これらも高血圧のリスクを高めてしまう要因です。」
家族に高血圧の人がいる場合、遺伝の影響はどの程度?
高血圧は生活習慣や加齢だけでなく、遺伝の影響も見逃せません。家族に高血圧の人がいると、「自分も同じように血圧が上がりやすいのでは……」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか。遺伝との関係について、田中院長に伺いました。
田中院長「高血圧には遺伝の要素があり、その影響はおよそ50%と比較的大きいと考えられています。両親のどちらかが高血圧であれば、自身も高血圧になりやすい可能性は意識しておくと良いでしょう。健診や家庭での血圧測定を続けて、変化を追っていくことが大切です。
また、遺伝の要素が強い場合、生活習慣を改善しても血圧が思うように下がらないケースもあります。そのようなときは、医療機関を受診し、治療薬が必要かどうか相談してみると良いでしょう。」
高血圧は自覚症状が乏しい一方で、放置すると深刻な病気につながる可能性も。日頃から血圧を確認し、気になる変化があれば早めに医療機関へ相談することが大切です。次回の記事では「高血圧になりやすい人の生活習慣の特徴と予防のためにできること」についてご紹介します。



