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お昼ごはんの時間。寝る時間。「もっと感覚で生きてもいいよね?」【トイトイの問い 第68話】

カルチャー

2024.12.07

私たちの日常にある「あたりまえ」。「どうして?」と問われたとき、はっきりと理由を答えられるものはどれだけあるでしょうか。「あたりまえ」への疑問の答えは、きっとひとつではありません。 トイプードルのトイトイと、猫のモラ。2匹の視点から生まれた疑問に、あなたなりの答えを見つけてみませんか?

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連載:トイトイの問い

もっと感覚で生きてもいいよね?

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なんで人間は、自分の感覚じゃなく時間に合わせて生きてるんだろ?

朝起きる時間、ご飯を食べる時間、夜眠る時間……。
私たちは大体おおまかな生活のリズムを時間の枠で決めて生きています。

『規則正しい生活』をすることが身体にいいということはよく言われていますが、果たしてそれは本当にそうなのでしょうか。一日の大まかなスケジュールを決めて、お腹が空いていなくても時間になったからと食べたり、眠いのに無理して起きていたりするとしたら?
それはむしろ身体に良い行動ではないように思えます。

もちろん暴飲暴食や連日徹夜などのひどく不規則な生活をするのは良くないだろうとは思いますが、"ちょうどいい"時間は人によって違うのではないだろうかと思うのです。
早寝早起きは朝型人間には向いていますが、夜型の人間には向いていません。

「起立性調整障害」という障害があります。
この障害がある方は午前中に活動することが困難で、昼過ぎあたりからだんだん調子が良くなり、夜は遅い時間まで眠れません。朝、一般的な時間に起きられないために学校に行けなかったりするため、甘えなのではないか? という扱いを受けてしまったりします。
しかしその障害がある人はどんなに頑張っても夜なかなか眠れないし、朝はどうしても起きられないのです。

その障害を持つ方が社会で生きていくことが困難なひとつの理由として「始業時間・就業時間」がある程度社会で画一的に決められてしまっていることも挙げられるでしょう。
もしも「勉強、仕事は一日で一定の時間やることができたらOK」という社会であれば、生活時間をずらすだけで社会生活上での困難はだいぶ軽くなるはずです。

私はこの起立性調整障害の逆で、夜は8時過ぎぐらいから眠くなり、朝は5時台に目覚めてしまいます。この体質が今の社会とたまたま相性が良いために普通に過ごすだけで「早起きして偉い」と言われたりしますが、私にとってこれは単なる体質です。

そして恐らく、こういう体質の人が若干多いからこの「早寝早起き」が理想になってしまっているのでしょう。社会は多数派に合わせて作られます。
それに合わせられない少数派が「生活習慣が悪い」などネガティブな印象で捉えられてしまうことがあるとしたら、それは悲しいことです。

食事も、1日3食より2食、もしくは4食の方が調子がいい体質の人もいるそうです。

何時に寝て、何時に起きて、何時に食べる…など、多数派にちょうどいい時間ですべてのひとの活動を枠にはめるのではなく「その人にとって活動しやすい時間」で活動して良い社会になるといいですよね。
 

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著者

水谷アス

水谷アス

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者でASD児育児中の母。 理屈っぽい変人と言われながら生きてきました。 そんな変わり者の思考をありのままに伝えることが未来の多様性理解のひとつに繋がることを願って、種まきのようにマンガ、文章、音声、様々な媒体で日々発信活動をしています。 読んだ人の心に新しい気づきが芽生えてくれたら嬉しいです。

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