教えてくれたのは……seaさん
家事代行マッチングサービス「タスカジ」ハウスキーパー。20年以上家事代行サービスに携わり、今まで6000軒以上の家の片づけをサポート。現在では予約の取れない家政婦と呼ばれ人気を博している。著書に『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』(ダイヤモンド社)、『タスカジ sea さんのリセット 5 分の収納術』(主婦と生活社)がある。
アクションの多さは片づけにくさに直結
棚などに蓋つきの収納かごを入れて、スッキリ片づけている方もいるのではないでしょうか。しかし、棚から収納かごを引っ張り出し、蓋をあけてから物をしまう……。物を元に戻す時に、これだけのアクションがあるだけで、人はすぐにめんどくさくなってしまうとseaさんは言います。
seaさん「同じ棚に置く収納アイテムが、上から入れるだけのワンアクションで済むものであれば、そこまでめんどくさく感じることはないんですよ」
出したものを元に戻しにくい一因は、手数の多さに直結するようです。
隠す収納から、しまいやすい収納にすることがコツ
物が外に出ておらず、いわゆる「生活感がない部屋」に憧れる人は多いかもしれません。
しかしすべてが隠れている部屋は、物を出したあとに元に戻すアクション数が多く、片づけしにくい部屋だとも言えます。
seaさん「収納で隠したいと思う人の気持ちの裏側に、”どうせ片づけられないから、少しでもごちゃつきを隠したい”というのがあると感じています。でもその選択のせいで、ますます片づけられなくなっていると思います。
一旦しまうというハードルを下げることに切り替えることが大切です。収納用品のカラーやデザインを統一することで、モノが見えていても悪目立ちしないようにできるんですよ」
その際には収納アイテムの選び方も大事だそうです。
seaさん「収納アイテムも中が隠れているよりは、半透明のもの。高さも棚に対して半分の高さまでにすると取り出しやすく、中身が把握しやすくなります。
隠すより、入れるだけ、置くだけといったアクション数の少ない単純な収納が、家族を巻き込んで片づけの習慣をつけたい方には、絶対に向いていると思いますね」
収納までの動線もスムーズに
収納するまでの動線もスムーズにすることが大切です。
seaさん「ドアを開ける・しゃがむといった動作もできるだけ減らすことが大切で、おうちによっては収納の扉を外すことも一つの手段として提案することもありますよ」
窮屈な動作、窮屈な視線はNG
物を出し入れする動作の中で、周囲の棚や壁に手が当たってしまうなことはありませんか? 窮屈さを感じてしまうと、途端に片づけにくくなってしまいます。体勢や動作が窮屈でなくなるように無理がないスペースを確保しましょう。
また、覗き込む必要があったり、中身が確認しにくい収納もストレスの原因。中を把握できなければ、どんどん物が埋もれていってしまいます。簡単に見渡せるようにし、全体をすぐに把握できることが理想的です。
【具体例】
・冷蔵庫の上の段は、奥が確認しにくい場所。引っ張り出しやすいトレイやケースを活用しましょう。また、思い切って一番上の棚板を取ってしまって、奥まで見えるようにするのも1つです。
・吊戸棚(シンク上収納)には、たまにしか使わない運動会用のお弁当セットや紙皿などを入れ、奥行きに合わせたストッカーを利用するとうまく使うことができます。
ハマるだけのシンデレラフィットは要注意!
収納アイテムがすき間にピッタリとハマったり、収納ケース同士がパズルのように組み合わせられたりする「シンデレラフィット」。ピッタリとすき間に合うと、気持ちがいいものです。
seaさん「実は収納アイテムや家具ありき、そのすき間ありきになっては迷走のもとになります(笑)。まずはこの部屋はどう使いたいのか、家族がどう過ごすのかを考えることが大切なんです」
ダイニングにスペースがあるからという理由でなんとなく収納家具を置くのではなく、家族がお茶を飲んで休憩したり、在宅ワークをする自分の姿を想像し、その目的に必要なものをどう収めていくかを考えて、アイテムを揃えていくことが大切なのだそうです。
物を隠して収納するより、片づけやすいことを第一に考え、動作の少なさ、スムーズさを優先する方がリバウンドしにくいとのこと。なるべく「めんどくささ」を排除した片づけの仕組みを作っていきましょう。
取材協力:家事代行マッチングサービス「タスカジ」