成人したと同時にスタートした下戸人生
私は下戸だ。お酒が飲める年齢になったとき、友人たちと居酒屋でお酒を頼んだことがある。
確か、オーダーしたのは「カルーアミルク」。初めてでも飲みやすいお酒だと教えてもらった。
乾杯をして、2口ほど飲んだら、ものすごく気分が悪くなった。そして、ゾクゾクと寒気を感じた。
お酒を飲むと人は赤くなるのに、その時の私は真っ青だった。
「私は、アルコールがダメなんだ」。
祖父も祖母も、母もお酒が強い。飲み屋をやっていた母は、毎晩のように飲んでいたから、家系的に弱いというわけではなさそうだけど、その不調を機に私の下戸人生がスタートした。
とは言え、何年かに1度、「飲んでみよう」というタイミングがくる。
30代になったばかりの頃、アルコール度数が低い缶チューハイを時々家で飲むようになった。結婚したばかりの頃も、家で夫と一緒に弱いお酒を何度か飲んだことがある。
弱いお酒でも、続けていれば強くなっていくのでは? と思っていたけど、妊娠を機に、また飲まない生活になった。
梅酒を飲みはじめたきっかけ
「飲みたい!」という気持ちになったことがないので、お酒を飲まないことに対して不満を感じることはないし、飲めるようになりたいという気持ちもないまま47歳になった。
そんな私が最近、寝る前にロックの梅酒を飲んでいる。コップに1杯。あっという間に飲み干してしまうくらいの量だけど、私にとっては適量だ。
きっかけは、ここ1年近く悩んでいる首の痛み。右の首が何をしても痛い。一時は、首を横に向けることも痛いくらいだった。
年末に通った病院で、血流が原因だろうと葛根湯を処方されて飲んでいた。けど、1日に3回、忘れずに漢方を飲むという習慣がどうにも身につかず、飲み切ったタイミングで次の処方をもらいにいかなくなってしまった。
その首が最近また悪化して、寝ていても痛い。マッサージに行っても、首だけは改善しない。
先日、オールハンドで全身を根本メイキングしている方に痛むところを見てもらったら、「後頭部がこんなに凝ってるなんて信じられない。これ、骨じゃなくて凝りだからね」と押されたところが、まさに痛みの場所だった。「これは、血流の悪さが原因。滞ってるね」と。
そのマッサージでかなり首が楽になったものの、やはり数日後には痛みを感じる。
数日快適だったので、より苦痛に感じる。
「血流を良くするためには、何をしたらいいんだろう」と考えた。運動はしている。相変わらずまじめにフィールサイクルに通っているので、運動不足ということはないはず。
そこで閃いたのがお酒を飲むことだった。今年の年末年始に実家で飲んだ地元富山の立山酒造の梅酒がすごくおいしかったので、1瓶買ってきたものの、普段からお酒を飲む習慣がないため半年放置していた。
それを思い出し、小さめのコップに5センチほど注ぎ、氷を入れて飲んだ。
アルコールの力を借りて力を抜く
飲み始めてすぐに、全身がものすごく痒くなった。血流がよくなったことで生じる痒み。そして、体がポカポカしてきた。
昔は、お酒を飲むとゾクゾクと寒くなったけど、今はポカポカ・フワフワを感じられる。
とは言え、お酒を飲む人からしたら、「それだけ?」と驚かれる量を、ちびちびとロックで飲む。
そうすると、だんだん首の痛みを感じなくなる。首を左右に痛みなく向けられる。首を動かしても痛みがないというのは、今の私にとって極楽のような時間なのだ。
年齢的に、体のどこかが痛いというのは受けいれなくてはいけないことなのかもしれないけど、痛みから一瞬でも解放されるとうれしい。
首の痛みが消え、顔が真っ赤になった頃、私はベッドにもぐりこむ。そうすると、すぐに眠りに落ちる。
寝る前の梅酒を続けて一週間、気づいたことがある。
お酒を飲んで寝ると食い縛りがない。寝ている間の体の緊張がないから、副交感神経がきちんと働いている気がする。アップルウォッチで記録している睡眠の質が目に見えてよくなっている。
そして、普段から感じていた体の硬さが抜けて柔らかくなってきている。
ずーっと下戸で生きてきたけど、その分、ずーっと気を張ったまま力を抜くタイミングもなかった。
毎晩飲むと言っても、少しの量をちびちび。そのちびちび飲みが、「交感神経しか働いていない!」と言われ続けてきた私の副交感神経を働かせてくれて、力を抜いてちゃんと休むという体にしてくれた。
「お酒は飲めないの」という思い込みで、お酒を飲むことを避けてきたけど、ふとしたタイミングではじめたちびちび飲みの寝酒で、私はまた1つ、自分が楽になるための方法を見つけることができた。