「便利なものを使わない私」に、友人が気づかせてくれたこと
「かほって、自分から便利なものを買ったり、使ったりしないよね? だから、私からのプレゼントはこれ!」

そう言って、20年来の友人が誕生日にくれたのは、圧縮トラベルバッグ。
私の友人たちは、本当によく私のことをわかっていて、そしていつだって私を楽しませてくれる。
でも、そのときは友人が言った「便利なものを使わない」という意味がよくわからず、「どういうこと?」と聞き返した。
「食洗器とか乾燥機付き洗濯機とか。あったら便利じゃん。家事がラクになると、他のことに時間を使える。でも、そういうものを全く使わないし、頼らないんだもん」と言われた。
確かに私は、そのどちらも持っていないし、ほしいと思ったこともない。
食器洗いは嫌いではないし、そもそも我が家では、夕飯後の食器洗いは夫が担当している(私は、作る担当)。洗濯物は太陽の下で乾かすのが好き。雨が続く時期はコインランドリーのお世話になることもあるけど、自宅に乾燥機がほしいと思ったことはない。
「そういう人ってたくさんいない?」。
そう聞くと、友人は笑いながら続けた。
「それだけじゃないんだよ。料理するときも、味付けの素みたいなものを使わないし、忙しい時ほど手間ひまかけた料理をしているイメージがある」
言われてみたら、確かにそうだった。私は、ストレスがたまると牛スジを煮る。1キロのスジ肉を買ってきて、柔らかくなるまで時間をかけて煮込む。
意識しているわけではなく、忙しいときや疲れているときほど手間をかけることをしている。その結果、おいしい1品ができあがると、私の中からストレスが消えていく。私にとっては、一石三鳥の時間。
手をかけることが好き。でも、“手を抜けない”とは違う
でも、最近「自分自身」としっかり向き合うということを続けている中で、友人の言葉が気になった。
私はなぜ、便利なものを選ばないのだろう。
そう自分に問いかけたとき、最初に出てきたのは、「私は、“手をかける時間”が好き」という素直な気持ちだった。
でも、その奥にもうひとつ気づいたことがある。
「手をかけることが好き」と「手を抜けない」は、似ているようで全然違うということ。私はもしかしたら、便利なものを避けているのではなく、“ラクをすること”に罪悪感があるのかもしれない。
頑張ること。
誰かのために動くこと。
手間をかけること。
そういうところを「私らしさ」だと思い込んでいた部分がある。でも、本当の私は、手をかけることも楽しめる人。でも同時に、疲れた時は便利なものに頼っていい人でもある。
新しい選択肢を受け入れた時、“本当の私”に近づいた
そんな私に気づかせてくれたのが、友人からの圧縮トラベルバッグだった。
正直、自分では絶対に買わないものだった。でも、もらったから使ってみた。そして、衝撃を受けた。
1泊旅行の荷物。今までならスーツケースを持って行っていた。でも、服を詰めて専用の機械で圧縮すると、なんと3分の1ほどの薄さになった。
「なんて便利なの!」
思わず声が出た(笑)。
これまでの苦労はなんだったのだろう、と思った。でも同時に思った。
私は、知らないうちに「今のやり方が一番いい」と決めつけて、新しい選択肢を遠ざけていたのかもしれない。
もちろん、変わらないことが悪いわけじゃない。
手間をかけること。
時間をかけること。
自分の手で作り上げること。
それは、これからも私が大切にしたいこと。でも同時に、新しいものを取り入れることも、自分を大切にするひとつの方法なのだと思う。
便利なものを使わない私も私。
便利なものに助けてもらう私も私。
どちらかを選ばなければいけないのではなく、その時の自分が心地いい方を選べばいい。
そう思えた時、私はまた少し、“本当の私”に近づいていくのだと思う。
そして、これまで使ったことがなかった圧縮トラベルバッグは、今では私にとって大切なアイテムになっている。
視野を広げるということは、何か新しいことを始めることだけではなく、今まで選ばなかったものを受け入れて、自分自身を少しラクにしてあげることなのかもしれない。


