若い頃の私は、誰かのために生きていた
私は、このコラムを通じて、”40代からの人生は、若い頃には見えなかった豊かさを感じられるようになる”ということをずっと伝えている。
ただそれは、年齢そのものが私たちを変えてくれるということではない。
これまで必死に生きてきた時間、抱えてきた悩み、乗り越えてきた出来事。そのすべてが、自分自身を深く知るための経験となり、40代からの人生を彩る力になっていくということだ。
20代や30代の頃は、目の前のことに精一杯で、自分が何を感じているのかよりも、「こうしなければ」「こうあるべき」と、まわりの価値観を優先してしまうことも多かった。
誰かに認められるために頑張ったり、期待に応えようと無理をしたり……。今思えば、いつも自分の本当の気持ちを置き去りにして、自分以外の誰かのために生きていたように思う。
でも、人生の中でさまざまな経験を重ねていくうちに、少しずつ見えてきたものがある。
それは、幸せや豊かさは、外側から与えられるものではなく、自分自身が何を大切にしたいのかを知った先にあるものだということ。
うまくいかなかった経験も、遠回りした時間も、その時は意味がないように感じた出来事も、すべてが今の自分につながっている。
40代という年齢は、何かを失っていく時期ではなく、これまで積み重ねてきた経験が、自分らしさという形になって表れてくる時期なのだと、私は思っている。
「友達が多い=幸せ」ではなくなった理由
「友達はいらない」
40代後半になった私が感じていることのひとつ。こんなことを自分が感じるなんて信じられない気持ちもあるし、これを聞いた人は、寂しい言葉に感じるかもしれない。
でもこれは、「誰とも関わらなくていい」という意味ではない。
今の私が思うのは、人生に必要なのは“たくさんの友達”ではなく、“本当の自分でいられる関係”なのだということ。
若い頃は、友達が多いことや、いつも誰かと一緒にいることが、人生の豊かさのように感じていた。
嫌われないように合わせる。
場の空気を読んで、本音を飲み込む。
本当は違和感があるのに、「付き合いだから」と無理をする。
そんな経験をした人、今現在、そういう生き方をしているという人も少なくないと思う。
でも、人生を重ねていく中で気づく瞬間がある。
”大切なのは、誰かとつながっていることそのものではなく、自分自身と深くつながっていることなのだ”と。
ひとりの時間を心地よく感じられるようになると、寂しさを埋めるための関係はいらなくなる。
「一緒にいなければ不安」
「嫌われたくないから合わせる」
そんな関係ではなく、ありのままの自分でいられる人との時間を選べるようになる。
40代からは、自分を偽らない人間関係を選ぶ
小学校に入学するとき、「友達100人できるかな~」という歌を歌った。
子どもの頃は、友達がたくさんいるということが楽しかった。でも、人生の中には、友達がたくさんいることで幸せを感じる時期もあれば、少ないつながりの中に深い安心を感じる時期もあるのだと思う。
なぜなら、40代からの豊かさとは、何かを新しく手に入れることだけではないから。
これまでの人生で抱えてきたものをひとつずつ見つめ直し、「本当はどうしたかったのか」「私は何を大切にしたいのか」に気づいていくこと。
誰かに合わせて作った自分ではなく、自分の心に正直な自分で生きられるようになること。
そして、無理をしてつながる関係ではなく、自然体の自分を受け入れてくれる人との時間を大切にできるようになること。
それは、若い頃には見えなかった人生の深みであり、40代だからこそ味わえる豊かさだ。
人生は、年齢を重ねるほど何かを失うわけではない。経験を重ねたからこそ見える景色があり、やっと出会える自分がいる。
40代からの人生は、ここからさらに、自分らしく彩っていける時間なのだ。



