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53歳女性「ガンで経験した闘病生活をいかした社会貢献をしたい」のお悩みに心理カウンセラーうさこさんが回答

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 「ガンで経験した闘病生活をいかした社会貢献をしたい」という53歳女性のお悩みに、

2022.12.02

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:ガンで経験した闘病生活をいかした社会貢献をしたい!

病院出典:stock.adobe.com

(神奈川県 53歳 ひろこ)

20年前に、ガンにかかり1年程の大変な闘病生活を経て、今は元気に暮らしています。

社会復帰後は、闘病体験を活かして、何か社会貢献したいとずっと思っていましたが、再発の不安や、後遺症などで、心も不安定な時も多く、何をどのようにしたら良いか全く分かりませんでした。
しかもこんなにメンタルが弱い私が、闘病体験を生かせるはずもないと考えたり、なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えたまま、結局年数だけが過ぎてしまいました。

一般の方でも、自分の闘病を全て公表し、今は患者を支える活動などを大々的にされている方を見ると、本当に素晴らしいと思うし、生き残った者として、こうあるべきだなあと心から思います。

が、それに引きかえ、あの辛かった闘病を公にする勇気もなく、ガンの辛さも心に抱えたまま、結局、闘病体験を生かした社会貢献が何もできてない自分が本当に情けなくて、たまらない気持ちになります。 
結局、やはり私は何らかの形で、闘病体験をいかした社会貢献をしたいし、するべきだと思っているんだと思います。

が、何をしたら良いか、どこから手をつけるのか、メンタルが弱くてもできるのか、さっぱり分かりません。何かヒントを教えていただければ嬉しいです。
 

思い出してほしい大切なこと

回答

大変な闘病生活を乗り越えてこられたのですね。
「その経験を生かして社会貢献をしたい」というひろこさんの想い、素晴らしいなあと思いながら読ませていただきました。

一般の方でも、自分の闘病を全て公表し、今は患者を支える活動などを大々的にされている方を見ると、本当に素晴らしいと思うし、生き残った者として、こうあるべきだなあと心から思います。

そうなんですね。
もしひろこさんの心の中に、「こんなふうになりたい」と思っている具体的な方がいらっしゃるのでしたら、ぜひその方の活動だけではなく、心の中にあるものも想像してみてください。
 
「自らの闘病を公表して、患者を支える活動する」。そこにはどんな理想があるのか。どんな願いがあるのか。どんな覚悟があるのか。どんな葛藤があるのか。そして、どんな喜びがあるのか。
 
いかがでしょう。
もうすでに大々的に活動されている方を見ると、「あんなすごいこと、私には無理」と感じてしまうかもしれませんが、心の中を想像してみると、もしかしたらひろこさんと似ている部分も見つかるかもしれません。
 
それに最初から今のように活動されていたわけではなく、きっと小さな小さな一歩を積み重ねてきた結果、今の姿になっているのではないかと思うのです。
 
そしてもうひとつ、思い出してほしい大切なことがあります。
 
それは、ひろこさんはもうすでに社会貢献をしている、ということです。
辛い闘病生活を経験し、再発の不安や後遺症を抱えながら、20年も生きてこられたのです。
そのひろこさんの姿に、ご家族や近しい人たちは、どれほどの喜びや幸せを感じてきたでしょうか。勇気をもらってきたでしょうか。
 
「大きなこと、すごいことをしようとしなくてもいい」と思ってみてください。自分と自分の半径ほんの数メートルの範囲を笑顔にできれば、きっとそれが波紋のように広がっていきます。それだって、立派な社会貢献です。
 
そうやって今の自分を認めた上で、誰のどんな力になりたいのかな?ともう一度自分に問い、今のひろこさんに無理なくできることを見つけてみてください。自分が辛かった時に欲しかったものの中で、今の自分に提供できることはなんだろう?そんなふうに考えてみるのもいいかもしれません。
 
その時、今だって辛い気持ちがあるし、メンタルが不安定になる時もある。闘病を公表するのに怖さもある。そういう自分を否定するのではなく、そんな気持ちを抱えたままの自分で、ほんの少し勇気が出せることを探してみてください。
 
たとえば、匿名でブログやSNSアカウントを持ち、自分とはわからないようにすることで心の安全を確保しながら、体験やお気持ちをシェアしていくこと、といったことなら、始めやすいかもしれません。
 
私たちは、助ける側と助けられる側に明確に分けられるわけではありません。助ける側だって、弱気になって助けてもらうことがあってもいいし、助けられる側だって、助けてもいい。そんな隔たりのない世界を自由に行き来するつもりで、「社会貢献したい」というひろこさんの気持ちを大切に育ててみられたら、と思います。
 
メンタルが弱いと感じているひろこさんだからこそ、共感できる。私も頑張ろうと思える。きっとそんなふうに受け取ってくれる人がいます。ありのままのひろこさんが誰かの勇気になります。ひろこさんの想いが、必要な方に届きますように。
 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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