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人と話すのが苦手な人へ。「会話テクニックを学ぶ」前に試してみてほしいこと

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2023.07.30

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:人と会話するのが苦手。会話が長続きせず、むなしい……。

悩む女性出典:stock.adobe.com

(愛知県 はな 43歳)

私は他人とコミュニケーションをとるのが 苦手です。

学生の頃から友人は少なく、周りからは もっと頑張って話さないと! とかもっと明るく振る舞った方がいいよ! とか言われ続けて辛かったです。 就職してからもやはり他人と話すのが 苦手なのは変わらなかったので、職場では 人間関係がうまくいかず3~5年ほどで 転職を繰り返してきました。

今の会社に入って、勇気を出して周りの人に 話しかけるようにしていますが会話が長続きせず何だかむなしくなってしまい、話しかけるのが怖くなってしまいました。 どうすれば他人とうまく話せるようになるでしょうか?

「会話テクニック」の前に大切なこと

回答

人と話すことに苦手意識を感じているんですね。

学生時代に「もっと頑張って話さないと!」とか「もっと明るく振る舞った方がいいよ!」と言われ続けて辛かったのは、そのままのはなさんを否定されているように感じてしまったからかもしれませんね。
 
そして、その言葉のままに、ご自身でも「うまく話せない自分はダメ」と思い続けてきてしまったのかもしれません。
 
これまでの経験から、「人間関係がうまくいかないのは、人と上手に話せないからだ」と考えるお気持ちはとってもよくわかります。
 
でも私は逆に、もしかしたら、その「人と上手に話さなくては!」と思いすぎているところが、はなさんのコミュニケーションを難しくしているのかも?と感じました。
 
なぜなら、「そのままの自分はダメだ!」と思っていると、「本来の自分を隠して人と関わらなくては」と思ってしまいますよね。本当は話すことが苦手なのに上手く話さなくてはと思ったり、本当はそんなに楽しくないのに楽しそうに振る舞わなくてはと思ったり。
 
私たちは、直接話している言葉以外でも、表情や仕草、体の動き、声のトーンなど、無意識のうちにたくさんの情報をキャッチしあってコミュニケーションをとっているので(非言語コミュニケーションと言います)、無理をしているのって、なんとなく相手にも伝わってしまうもの。
 
そうすると、コミュニケーションがお互いにとって心を通い合わせるものではなく、どんどん表面的なものになっていく。
 
会話が続かないのも、心が虚しくなってしまうのも、そんな理由かもしれません。

世の中には、「人と上手に話せる会話術」などのテクニックを教えてくれる本や記事、動画などがたくさんありますよね。
 
でも、テクニック以前に大切なのは、自分が自分のことをどんな人だと信じているか?なんです。
 
ですからまずは、「うまく話せる人は素晴らしくて、うまく話せない自分はダメ」なんていう考えをやめてしまいましょう。

そして、ぜひ今日から、ご自分のことを「いるだけで、なんだか心地がいい人」と思ってみてください。
 
と言っても
「いやいやいや。そんなはずない!」
という反応が最初は出てくるかもしれません。
 
でも、「もしも私が、いるだけでなんだか心地がいい人だとしたら、どんなふうに過ごすだろう?」と想像してみるところから始めてみてほしいんです。
 
きっと今より、落ち着いて、相手の言葉を受け止められるのではないでしょうか。相手の話に関心を持って、耳を傾けることができるのではないでしょうか。
 
実は、人とのコミュニケーションにおいて大切なのは、「聞くこと」だったりします。

「どう話すか?」に気をとられすぎていると、相手が話している時にも「次に自分がどんな話をするか?」ばかりを考えすぎて、相手の話がうわの空になっていたり……。

でもそれって、話を聞いてもらいたい人にとって、あまり心地のいいものではありまんよね。

誰かに話しかけられたら、その人の話に耳を傾けて「そうなんですね」と受け止めてみてください。
 
言葉に詰まっても、テンポが遅れても、「私はいるだけで心地いい人だから大丈夫」と、そのままの自分を出してみてください。
 
そうしているうちに、人と一緒にいる時のはなさんの緊張がゆるんで、自然とまわりの人にとっても居心地のいい人になっていきます。
 
それがまさに、「いるだけで、なんだか心地がいい人」ですよね。

たとえ上手に話せなくても、明るく振る舞えなくても、はなさんは本来とても素敵な人です。なぜなら、これまで何度も転職をしてきたり、新しい職場で勇気を出して自分から話しかけてみたり、きっととっても一生懸命な方だと思うのです。
 
そんなはなさんの本来の魅力がまわりにどんどん伝わり、楽しく心地がいい人間関係を築いていけますように。応援しています。
 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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