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夫がバツイチで付き合っていたときは既婚者だったことが発覚。子どものために許したいけど。<人生相談>

家族・人間関係

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 心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

2022.06.03

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:結婚2年目で夫がバツイチで付き合っていたときは既婚者だったことが発覚。子どものために許したいけど…。

ケンカする夫婦出典:stock.adobe.com

(埼玉県 34歳 melody)

先日夫の嘘が次々と発覚し、離婚か再構築かで悩んでいます。
私34歳、夫38歳、結婚2年目です。付き合って1年で同棲し、同棲して半年後に結婚しました。
現在11ヶ月の子どもがおり、現在2人目を妊娠中です。(夫の嘘が発覚した後、妊娠が発覚しました)

先日、夫がバツイチ子持ちであることがわかりました。理由があって元々私は「バツイチ子持ちの人とは付き合うのも結婚するのも無理」と断言していました。それを知った上で故意に隠して付き合い(しかも付き合った当初はまだ既婚者だったことも判明)、結婚する際には婚姻届の初婚欄にチェックをつけるという悪質さ。

その他にも、借金や結婚前には前妻と私以外にも関係を持っていた女性がいたことも発覚。結婚後は浮気はしていないと断言していますが、そんなの信用できるはずもなく。事実だとしても私の夫への信頼は完璧に崩れ去った今、何をどう信じていいかもわかりません。

何より一番許せなかったのは、前妻との子ども達の名前と私の息子の名前に同じ漢字を使っていたことです。どうしてもこの漢字を入れたいと言った夫の意見を汲んでつけた名前。それが前妻との子ども達にも使われていて。ゾッとして、吐き気がして、こうなって初めて取り乱し、泣き崩れました。息子は私が何ヶ月もお腹の中で大事に大事に育てて、想像を絶する恐怖と痛みに耐えて産んだ私の子なのに。大事な大事な私の子どもなのに。

今は抵抗する夫を半ば強制的に追い出し別居中です。
子どもに会いに毎週日曜日にこちらに夫が来ますが、息子はとても喜び、夫が帰る時には泣きます。その姿を見る度に辛くなって。でもどうしても許せなくて。別居して距離を置けば落ち着いて考えられると思っていましたが、毎日同じことを繰り返し考えるだけです。やり直すには?許すには?無理だ、絶対に許すなんてできないと。

ただ心穏やかに過ごしたいだけなんです。毎日息子の成長を見て心から喜ぶ日々を送りたいんです。
私がただ一言夫に「許す」と言えば、きっと夫は戻ってきて、一見今まで通りに戻るんだろうなと思います。でもその生活を想像するだけで吐き気がするんです。もう二度と私にも子どもにも触ってほしくないし、這い上がれない程どん底に落ちればいいのにと思ってしまいます。

私の気持ちだけでいえば100%離婚なんです。でも正直、子ども達から父親を奪う覚悟がまだできていません。許せるものなら許したい。もうこんな負の感情に支配される毎日に疲れました。こんな状況で、私は夫を許すことはできるのでしょうか?許す方法、やり直す方法はありますか?切実に悩んでいます。よろしくお願い致します。

※実際のご相談文章から抜粋させて頂いています。
 

本来のあなたに戻るために。

回答

元のご相談文も含めて、全文を読ませていただきました。長期にわたり、たくさんの嘘があったことへの憤り、拭い去れない嫌悪感と不信感、どうしても許せないのに子供達のことを考えて離婚へ踏み切れないジレンマ。melodyさんの苦しいお気持ちが伝わってきました。
 
とっても傷ついたのですよね。「許せない」「どん底に落ちればいいのに」と感じるほどに。
ただ、その一方で「負の感情に支配される」状態を抜け出して、冷静に判断したいと思っている自分もいる。その葛藤がとても苦しいのではないでしょうか。
 
負の感情に支配される=相手を憎むことしかできなくなる時、それは、無意識のうちに自分のことを「傷つけられ、大切なものを奪われ、幸せを取り戻すことができない、無力な存在」にしてしまっている時かもしれません。だからこそ、憤りや嫌悪感でしか自分を守れない気がして、ますます憎悪を膨らませてしまうのかもしれません。
 
でも、melodyさんは、無力な人なんかではありません。どんなことがあっても、何度でも、自分の幸せを自分で創っていける人です。どうぞ本来のmelodyさんを思い出してくださいね。
 
そしてもうひとつ、「許せない」は、「理解できない」からきていることがあります。自分の価値観や常識の外側にあることだからこそ、それを悪意としか受け取れない。これも苦しさを生んでしまう理由のひとつかもしれません。
 
とすると、「許したいのに許せない」という気持ちは、実は、「理解したいのに理解できない」に近いのかもしれません。だとしたら、彼を許すためではなく、本来のmelodyさんに戻るために、彼の背景にあるものを理解してみようとしてみるのはいかがでしょうか。
 
たとえば、彼はどうしてこんなにも大きな事態になるまで、嘘をつき続けてしまったのか。その背景には、彼のどんな不安や弱さ、苦しさがあったのか。母親の違うそれぞれの子供の名前に同じ文字を入れたいと思う、それは、家族や恋愛に対して、どんな価値観や当たり前を持っているからなのか。
 
確かに。彼がしたことは、とてもとても残念な嘘でした。結果的に、愛する人を大きく傷つけてしまいました。melodyさんの幸せを心から望むなら、最初から誠実に本当のことを伝えるべきだったと思います。
 
でもそれができなかったのは、「バツイチ子持ちの人とは無理」と言うmelodyさんを失いたくない一心からだったのかもしれません。melodyさんにも、前のご家族にも、ご実家にも本当のことが言えなかった。そこには、彼の心の癖や弱さがあるのかもしれません。
 
そして、きっと、彼には彼の、大切にしている恋愛や家族に関する価値観があるのでしょう。たとえそれがmelodyさんにはまったく理解できないものだとしても。
 
もちろん、ここまで読んで「彼のことなんてわかりたくない!」と心が暴れるなら、無理にわかろうとする必要はありません。ただ、こんなにも心が傷ついているのは「愛した相手だから」だと思うのです。「許したいのに許せない」のは、お子さんのためだけではなく、愛した相手だからこそ、本当は愛したいのに愛せなくなってしまった、その苦しさもあるのかもしれません。
 
そして、理解しようとするのは、夫婦関係を修復するためではありません。
 
自分とは全く違う価値観や常識や愛情表現を持ち、彼なりの愛と弱さゆえに大切な人を傷つけてしまった。そんなありのままの相手を直視してみた上で、改めて一緒に生きていきたいと思うのか。それともお互いの価値観や生き方を尊重して別々の道を歩こうと思うのか。あるいは、第3の道を模索するのか。「何があっても、何を選んでも、幸せな未来を創っていける自分なら、本当はどうしたいか」をゆっくりじっく時間をかけて見つめてみてほしいのです。
 
どの道も、これまでのmelodyさんの常識や価値観を大きく超える、覚悟がいるチャレンジングな選択になると思います。でも、「負の感情に支配される自分」を抜け出し、本来のmelodyさんとして力強く未来を選択をしていく時、きっとそれはお子さん達とmelodyさんご自身にとって、最善の道となっていくはずです。たくましく未来を切り開いていくmelodyさんを心から応援しています。

 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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