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【不器用な妻とダメ出しばかりの夫】家事が苦手な私は、いつも夫から同僚の妻と比較される…。

家族・人間関係

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2023.05.24 更新

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:同僚の妻と私を比較する夫にもう限界

悩む女性出典:stock.adobe.com

(埼玉県 ミカコ  45歳)

高校1年生の娘と夫、3人家族です。共働きをしています。
正直私は器用ではなくて、洗濯や料理など家事の手際が悪く、年中夫に文句を言われます。

夫は古い考えのタイプの人で、家のことや子どものことはほぼ妻の私にまかせっきり。
そんな夫から先日「同僚の嫁さんはバリバリ働いてるけど料理も完璧にやってお弁当まで作ってるぞ、それに比べて……」と言われました。

私は私なりに精一杯がんばってきたつもりでしたが、この言葉で心の中で何かが限界をこえてしまい、もう何もやる気がおきません。

最近では料理はほぼせず、総菜を買ってきています。
こんなこと娘には相談できないし、もうどうしたらいいのでしょうか。

夫が「妻はこうあるべき」と考えるワケ

回答

「自分の仕事に加えてほとんどの家事まで担当しているミカコさんに対して、本来なら毎日感謝してもおかしくないくらいなのに、文句を言うだなんて」
これを読むどれだけたくさんの妻たちが、そう憤慨していることでしょうか。
 
ミカコさんは「妻」である前に、一人の人間です。人は誰もが得意不得意を持っていますから、家事が得意な妻もいれば、家事が苦手な妻もいる。当然ですよね。
 
誰だって得意でないことをするのは、大変です。それをお仕事をされながら、十何年も続けてこられているんですもの。どう考えたってミカコさんはすごいです。
 
その頑張りや背景にある思いを受け取ることなく、文句を言ったり、誰かと比べたり。悲しくなってしまいますね。
 
大切にしたいと思いあって結婚したはずなのに、どうしてこんなことが起こってしまうのでしょう。
それはもしかしたら、「母子一体感」という心理的な状態に関係があるかもしれません。
 
「母子一体感」とは、本来は、幼い子どもが母親に対して「お母さんは私の気持ちを満たしてくれて当たり前」と甘えている(依存している)心理状態を言います(幼少期にこの感覚を持ち、満たされることは、心の発育にとって大切なプロセスです)。

やがて子どもは成長するにつれて「私は私。お母さんはお母さん。お母さんは、常に私の思い通りになるわけじゃない」と学び、大人の心理を身につけていくのですが、実際には、この「母子一体感」を大人になっても持っている場合がけっこう多くあります。
 
たとえば夫婦間でも、夫が妻に対して(あるいは、妻が夫に対して)この感覚を抱いていると、「相手が思う通りに動いてくれて当たり前」と思い、期待通りでないと不機嫌になったり、批判や非難をして思い通りに動かそうとコントロールしたり、ということが起こってしまうんですね(心理的な子どもがえりとも言われています)。
 
もしかしたらミカコさんご夫婦にもこうしたケースが当てはまるのでは?と感じたのですが、いかがでしょうか。

つまり、「妻とはこうあるべき」というステレオタイプの考え方を持ち続けることによって、実は夫さんは、「自分の期待通りに動いてほしい」とミカコさんに対して心理的に甘えている状態なのかも、と感じました。

その場合、残念なことに、ミカコさんが「文句を言われないように」と、「察する妻」や「期待に応える妻」を無意識に頑張ってしまうと、彼の依存心をますます促してしまうことに。

今回の「同僚の嫁さんは……」発言に対して、「心の中で何かが限界をこえてしまい」と感じたのは、これまで知らず知らずのうちに「察する妻」を頑張ってこられたミカコさんが、本来の心理的に自立した大人の関係性を取り戻そうとされている感覚なのかも、と感じました。
 
だとしたら、今のミカコさんに大切にしてほしいのは、パートナーとの間に「彼は彼。私は私」と心の境界線を引き、精神的に自立した大人の女性として、ご自身を大切にしていくことです。
 
●パートナーからの文句や批判と自分の価値をつなげないこと。
●文句を言われないために相手の期待に応える等、パートナーに対する感情のお世話をやめていくこと。
●気持ちや意見は、「察してもらう」のではなく、言葉で伝えること。
●自分の気持ちを受け止めて、自分の一番の味方になっていくこと。
●心地よさを大切にして、自分をご機嫌にしていくこと。
 
こんなことを心がけてみてほしいのです。
 
実は私たちは、適度に「思い通りにならないこと」があるほうが心の成長につながります。これを機に「察する妻」を卒業することで、健全な距離感を保ちつつ、お互いを思いやれる、精神的に自立した大人同士の夫婦関係を目指してみてくださいね。
 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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