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夫と犬と猫と暮らす毎日はすごく平和で幸せなはずなのに、ふと不安が押し寄せるのはなぜ…?

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2023.02.17

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:毎日平和な日常。たまに「このままでいいのか」と不安になる

猫をなでる女性出典:stock.adobe.com

(東京都 シミズ 45歳)

夫と2人暮らしで、犬と猫を飼ってます。
仕事ではある程度役職を貰っており、夫とも仲良く、住んでる家も居心地が良く、なんといえばいいのか難しいのですが、とりあえず平和な日常を暮らしています。

ただ最近「このままでいいのか」というモヤモヤが心の中にあるのです。
上手く表現できないのですが、刺激がないこの日常が嫌なのか、もっと自分がすべきことがあるんじゃないのか、このままなんの変哲もない日々を過ごしていて、最期に後悔しないのか、不安が押し寄せることがあるのです。

毎日に不満はないのですが、このモヤモヤを取り払う方法ってあるのでしょうか。

大丈夫!それは人として自然なこと。

回答

なるほど。モヤモヤした感覚を感じているのですね。
確かに「モヤモヤ」や「不安」って、心地いい感覚とは言えませんし、具体的にすごく困っていることがあるわけでもないのに……と、不思議に思われるかもしれません。
 
でも実は、こうした「モヤモヤする感覚」は、自分からの大切なサインであることも多いんです。ですから、取り払おうとするよりも、自分から湧き上がってくる声を、ジャッジなく、一度しっかりと受け止めてみるのがオススメです。
 
シミズさんの場合ですと、「このままでいいのか」「もっと自分がすべきことがあるんじゃないのか」「最期に後悔しないのか」という不安が押し寄せることがあるんですよね。
 
まずは、この感覚がやってきたら、それについてのいい悪いの評価はせずに、そのまま「今、私はそう感じているんだな」と受け止めてみてください。
 
そして、自分に聞いてみてほしいんです。「じゃあ、私は何がしたい?」と。
 
人には、「自己実現の欲求」があると言われています。
 
「マズローの欲求5段階説」という、下から順に「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」と5つの階層が積み上げられたピラミッドの図を見たことがありますでしょうか。


 
一番下から、ひとつの階層の欲求がある程度満たされると、その上の欲求が順番に湧いてくると説かれている説ですが、この説を提唱したアメリカの心理学者マズローによると、人というのは、下から4番目までの欲求がすべて満たされたとしても、一番上の「自己実現の欲求」が満たされないと、どこか物足りなさやモヤモヤしを感じるようにできているのだそうです。
 
つまり、特に困ったことがなく、まわりと快適な関係を築きながら平和に安心して暮らせる状態であったとしても、モヤモヤや不安を感じるのは、人として自然なこと。シミズさんは今、この「自己実現の欲求」を満たしたいと感じているのかもしれませんね。
 
では、「自己実現の欲求」とは何かというと、「ありのままの自分として、自分の内なる可能性を最大限に発揮したい」それによって「本来あるべき自分の姿になりたい」という欲求だと言われています。
 
というと、なんだか壮大なことのようで、よくわからなくなってしまうかもしれませんが、つまり、生活のためとか、社会から評価されるためとかではなく、シミズさんが心からしたいことを楽しんでいいのだとしたら、どんなことをしてみたいでしょうか?それがきっと、ありのままのシミズさんらしさを発揮することにつながるはずです。
 
すぐに思いつかない場合は、子ども時代を思い出してみるのもいいかもしれません。
 
幼い頃、好きだったこと、得意だったことは何ですか?夢中になっていたことはありますか?誰かの役に立てなかったとしても、誰に評価されなかったとしても、それをしているだけでうれしかったことは何でしょうか?
 
もし思いつくことがあれば、今の日常の中に取り入れてみてください。ひとつ試してみて「違うな」と感じれば、また違うことを試してもいいんです。そんなふうに心が喜ぶことを見つけてみてくださいね。
 
ちなみに、他の階層の欲求とは違い、「自己実現の欲求」によって自分が心からしたいと感じることをしていると、自分がうれしいだけでなく、自然とまわりにもいい影響を与えていくのだそうです。「もっと自分がすべきことがあるんじゃないか」というモヤモヤからのサインは、そのことを教えてくれているのかもしれませんね。マズローの欲求5段階説

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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