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【お悩み相談】大腿骨骨折の影響で歩き方が変わり、人目が気になり働きたくない…。

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 心理カウンセラーうさこの心を軽くする考え方

2023.11.15

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:大腿骨骨折の影響で歩き方が変わり、人目が気になり働きたくない

悩む女性出典:stock.adobe.com

(島根県 猫山 39歳)

初めまして。 独身で転職を繰り返しています。

昔、大腿骨骨折をした影響で左右の足の長さが違い、歩き方も変わりました。転職や恋愛をしたり、人前で堂々としていたいですが、人目が気になり思うように動けません。

手術して治したい気持はありますが、病院が県外だったり、何人かの整形外科の先生たちは「まだ若いから人工関節は……」とか「手術はリスクが……(内科の持病もあるため。)」と言われ、何もできません。

正社員で働いたこともなく、人と一緒に居ると疲れたり、働きたくないと感じたりします。 将来どうやって収入を得て行けばよいか、先が見えません。

本当に怖いものってなんだろう

回答

ご相談ありがとうございます。
本当は「人前で堂々としていたい」けれど、人目が気になって、「人と一緒に居ると疲れたり、働きたくないと感じたり」してしまうんですね。

猫山さんは、他の人と歩き方が違うことで、まわりにどんなふうに思われている気がして、堂々とふるまえなくなってしまうのでしょうか。

同じ体験をしているわけではないのですが、実は私もかつて、人と違うことに大いに悩み、閉じこもってしまった経験があります。

自分の話だとなかなか受け止めにくいことでも、他人の話だと受け止めやすい場合もありますので、今日は先に私の経験をお話しさせてください。

私は、生まれつきの目の病気で視覚障害を抱えています。全く目が見えないわけではなく、視野(一度に見える範囲)がとても狭いという症状があります。

ごくごく狭い範囲しか見えない目で生活をしていると、周辺の様子がよくわからないので、足元の段差を見逃したり、人とぶつかったり、まわりの人の動きを把握できなくてコミュニケーションがうまくいかなかったり、といったことが日々たくさん起こります。

以前の私は、そんな自分を知られたくないと思っていました。当時は今より症状が軽かったこともあり、本当は白杖を持って歩行すれば安心で安全だけど、そんな姿を人に見られたくなくて、なんとか注意深く慎重に行動することで、他の人と同じように見えているふりをしようとしていたのです。

ですが、そんなことをしていると、心も体もずっと緊張しっぱなしです。20代のある時、ついに人と一緒にいることが怖くて耐えられなくなり、会社に行くことも、外に出ることもできなくなりました。

「他の人と同じようにふるまえないから、こんなにつらくて苦しいんだ」ずっとそう思っていました。

でも、ある時「私と似たような症状で、白杖を持ちながら、いろんな人と関わり、とっても楽しそうに生きている人もいる。その人と私は何が違うんだろう?」 と疑問に思い、「私が本当に怖いものってなんだろう?」と考えてみたんです。

そうしたら、まず私自身が、「普通の人と同じようにできないことは、恥ずかしいこと、劣っていることだ」と思っていたことに気づきました。私が私のことを恥ずかしい存在だと思っていたので、まわりにもそう思われるんじゃないかと怖くて、必死に隠さなければいけなかったのです。

猫山さんの場合は、いかがでしょう。「歩き方が違う」ご自身のことをどんな人だと思っているから、恋愛や転職が難しく感じるほど、人目が気になってしまうのでしょうか。

ここではっきりとお伝えさせてください。たとえ歩き方が人と違ったとしても、猫山さんという存在の価値や素晴らしさには全く影響がありません。誰がなんと言おうと、猫山さんは素敵で素晴らしい存在です。

「自分のことを恥ずかしいと思って、隠そうとしてきたんだ」そう気づいた私は、今まで自分に対してなんと失礼なことをしていたんだろうと思いました。それで、私は今、白杖を持ち、まわりに理解してもらいながら、仕事や生活をしています。

人目が気になるお気持ちは、とってもわかるつもりです。そしてもちろん、私の場合とは違うことも、猫山さんにしかわからないご苦労もたくさんあると思います。ただ、そのことで、本当はたっぷりある猫山さん本来の才能や魅力まで隠してしまったら、すごくもったいないと思うんです。

なかには、普通と言われる枠の外にいることをネガティブに捉える人もいるかもしれません。でも、そんな人たちの価値観に合わせて、自分を苦しめる必要なんてありません。

歩き方がどうであろうと、猫山さんは猫山さん。その魅力をちゃんとわかってくれる人が必ずいます。その能力をいかせるお仕事がきっとあります。

ですからどうぞ、まるごとの自分を認め、愛することから始めてみてください。自分に対してやさしい目線を向けることから始めてみてください。そうすればきっと、まわりにも、冷たい目線だけでなく、やさしい目線もあることに気づけるはずですから。

自分を隠さないって、とっても勇気がいります。でも、ご自分のためにこうして相談する勇気を出せる猫山さんなら、きっと大丈夫。猫山さんらしい素敵な未来をひらいていかれることを信じて、応援しています。
 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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