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家事に仕事に子育て…すべてに余裕がなく「また今日もツライ1日が始まる…」と思ってしまう<悩み相談>

カルチャー

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2023.12.07

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:生きるために精一杯の日々に疲れる…

悩む女性出典:stock.adobe.com

(東京都 麻衣子 46歳)

夫と14歳の息子の3人家族。夫の収入があまりよくないのでわたしも正社員で働いています。

息子が大学までエスカレーター式で進学できる高校に入る予定で、これからの教育費に生活費、自分らの老後のお金を考えては日々溜息をついてしまいます。

さらに毎日の仕事と家事、子どものことで体も頭もいっぱいいっぱい。朝起きたとき、「また今日もツライ1日が始まる…」と悲しい気持ちから始まるようになってしまいました。

家族仲は良く、一般的にみると幸せそうな家族だと思うのですが、お金の不安と日々の余裕のなさから幸せが感じられなくなってしまいました。

このままだと、笑顔すら消えていってしまいそうで。アドバイス頂けたらありがたいです。

いったん立ち止まって考えてほしいコト

回答

毎日すんごく頑張っていらっしゃるんですね。

悲しい気持ちから始まる1日……。苦しいですね。
ご相談くださり、ありがとうございます。

ご相談文を読み、とっても責任感の強い方なのだろうなと感じました。
もちろん、責任感があることは大切ですし、素晴らしいことなのですが、もしかしたら、自分が頑張ることであれもこれもなんとかしなくてはと抱え込みすぎてしまっていませんでしょうか。

麻衣子さんが幸せを感じられない状態では、本当に幸せな家族とは言えません。大切なご家族のためにも、いったん立ち止まって、一緒に考えてみましょう。

私たちが「不安だから、心配だから、〇〇しなくちゃ」と思っている時、脳からはストレスホルモンが放出されるそうです。すると、「危険に備えよう」と体が緊張している状態になります。

一時的なストレスであれば問題ないのですが、この状態が長く続くと、心も体も消耗されます。そうすると、体も頭も本来のパフォーマンスが発揮できなくて、悪循環へ……。

もしかしたら麻衣子さんも、今まさにそんな状態かもしれません。

そんな時にオススメしたいのが、「あえて最悪の事態を想定してみること」です。

実は、私たちが心配事を避けようと何かを頑張っている時って、心配や不安が心の中にありつつも、そこにしっかりと向き合っていないことが多いんです。

たとえば、「お金がなくなったらどうしよう」と心配はしつつも、「実際にお金が足りなくて今の生活ができない事態になったら、どうする?」という具体的な対策については考えたことがない……みたいな感じですね。

最悪な事態だからこそ、あまり考えたくないと思うのも無理はありません。

ですが、実は、ストレスホルモンが出続けてしまうのって、「不安や心配はあるけど、それに対する対策が見つかってない時」なのです。だから、あえて最悪を想定して、「そうなったらどうするか」を決めておくと、心は落ち着きを取り戻して、目の前のことに集中できるようになるんです。

というわけで、麻衣子さんが今抱えている、心配なこと、不安なこと、起こってほしくないことなどを思いつくままに書き出してみてください。いったいどんな事態を避けたくて、笑顔をなくすほど自分を頑張らせているのでしょう。

たとえば
貧乏になりたくない。
子供に苦労をさせたくない。
お金に困って人に迷惑をかけたくない。
世間から見て〇〇な状態になりたくない。
などなど……。

そして、ひととおり書き出したら、万が一、それらが起こってしまった時の想像できる限り最悪の事態と「そうなったらどうするか」も考えてみてください。

こんなふうに考えてみると、「そうなったら仕方ない。その時は、腹を括ってこうしよう」と具体的な態度や対策が見えてくるかもしれませんし、「いくらなんでも、そんなことは起こらないよね」と、笑えそうになるものもあるかもしれません。
ご夫婦でこの話をしてみるのもいいですね。パートナーの考えがわかったり、一緒に対策していけばいいと思えたりして、安心できる部分があるかもしれません。

また、書き出した中には、「まわりの人にこう思われたくない」といった心配事もあるかもしれません。ですが、最悪の事態を想定してみると、「本当に大切なものってすごくシンプルだった」と気づかれるのではないでしょうか。家族が元気で心から笑っていること。それさえあれば、どんな状況になったって、誰にどう思われたって、きっと大丈夫だな。そんなふうに思えたら、頭の中も、やるべきことも、必要なお金も、どんどんシンプルになってくるのではと思います。

長い人生ですもの。きっと想定外のことだってたくさん起こります。
でも、「何があっても、きっと大丈夫」。そんなふうに思えたら、安心して自分のために休めるようになりますし、それによって、今を味わいながら、本当に望む未来に向かってエネルギーを注げるようになります。

「ツラくても頑張らなくちゃ」から、「楽しい未来のために頑張ろう」へ。同じことをしていても、感じ方は真逆になっていくはず。麻衣子さんが心から笑って朝を迎えられますように。応援しています。
 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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