危機感を覚える若者言葉。不安はどこから?
「エモい」「終わった」「しんだ」
一言で完結させてしまう10代の子に、大人が危機感を覚えるときもありますよね。
また、突飛な発想や結論への飛躍に驚く場面もあるのではないでしょうか。
年齢を重ねると、言葉の豊かさに触れたり情緒や風情について関心を持ち、内面が豊かになってきます。
一方、子どもらしさを残す世代では「良い-悪い」を短絡的に決めたり、簡単にまとめあげてしまう傾向があります。
いわゆる”若者言葉”は、いつの世代も大人には理解しがたい言葉。
「複雑で曖昧な情報を簡潔にまとめてしまう未熟さ」や、「結論を急ぐ若さ」が、大人にとっては歯がゆく感じるのかもしれません。
今必要な「国語力」とは
「国語力」を考える中では、親子間での世代差や社会の変化も無視できません。
会うための時間を作り、顔を合わせなければ人と繋がれなかった時代は過ぎ、手元の操作で簡単に会話できる時代となりました。
幼児期からタブレットに触れている世代にとって、”とりとめのない会話”や”相手と関係性を築く時間”は、煩わしいのかもしれません。
しかし、相手の立場や気持ちに配慮するための想像力、自分の考えを適切に伝える語彙力、互いに寄り添うための共感力は、本当にもう必要ないのでしょうか。
一人では解決できない問題に遭遇したとき。
相手を心の底から信用したい、そして信用してもらいたいとき。
互いに譲り合えない条件を抱えながら妥協点を見つけたいとき。
AIでは答えが見いだせないとき、「対話するスキル」こそが何よりの支えとなります。
「対話スキル」を伸ばすために。親子で始めたい3つの交流。
文部科学省では、国語力を構成する能力を「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の4つに分類しています。
それぞれの力を伸ばすために親子でできる交流を考えていきます。
子どもの興味を中心とした会話のキャッチボール
ゲーム以外に興味がない。親が示す本や教材には目を向けない。
多くのご家庭の悩みとなっているのではないでしょうか。
そんなときはまず、子どもの興味に大人から歩み寄るのが第一歩。
子ども向けのゲームやアニメでも、大人が学び、楽しめる点は多くあります。
大人から寄り添い子どもに質問を投げかけることで、子どもは筋道の通った説明ができるようになり「考える力」を養っていけます。
体験や感覚を味わう経験
最近はプログラミングや、ロジカルに筋道を立てて考える課題が増えています。
そのため、合理的に考えたり矛盾を素早く指摘するなど、論理的に考える力が伸びているように感じます。
今問題となっている”ファスト映画”や”作品を倍速で見る傾向”はまさにその賜物ですよね。
「結局何が言いたかったのかだけ」を求める合理的思考と結びついているともいえます。
一方、「どうしてこんな展開になったのか」「なぜ主人公はこんな行動を取ったのか」「自分だったらどうする?」など、作品を味わい、登場人物に思いをはせ、自然の魅力を感じ取ったりする時間は削られているのではないでしょうか。
「味わう力」「豊かな感性」を育てるためには、新しい発見・体験が大切。
水族館や動物園、博物館など、体験を通して知識に触れると、「感じる力」・「想像する力」を身に着けていけます。
非難でなく、批判する力をのばすための会話
「普通はそんなことしないでしょ。」「ルールだから。」
子どもの過ちを指摘するときや、要求を飲み込めないとき、つい一言であしらってしまうときもあると思います。
ですが、「どんなところからそう思ったの?」「ママ(パパ)はこう思うけど、どうしたい?」など、問いかけるのも重要。
”自分の考えを言葉にして受け取ってもらう体験”、そして”会話を発展させていく機会”となるからです。
お互いの意見を批判的に見て、折り合いを探していく中、言葉で「表現する力」を身に着けられます。
効率化、合理化だけでは得られない知見がある
長い目で考えたとき、相手に寄り添い考えられる力、気持ちや考えを汲み取り言葉を選んで伝える力は、とても大切なスキルとなります。
ITには取って代われない、対話によって育まれる「国語力」に目を向けていく必要があるのではないでしょうか。