35日連続の雨。ノアの箱舟か、平将門さまの祟りか
「もう、雨に飽きた」。
8月の終わりから続く雨。9月は、毎日雨が降った。1日も欠かさず雨が降った9月を過ごしたのは、人生で初めての経験だ。
そして、このコラムを書いている日で、35日連続の雨を記録した。こんなことも、人生で初めて。
30日を過ぎた頃、「このまま雨が降り続くことってあるのかな? ノアの箱舟みたいに、東京が水浸しになるなんてことあり得るかな?」と夫に話した。
すると夫は、真顔でこう言った。
「いや、これは平将門さまの祟りだ」
なぜそうなるのか。お互い、自分が信じる説について語り合っていたら、1時間が過ぎていた。きっと……、そのどちらでもないのだけど。
でも、そんなことを1時間も語り合える自分たちが、私はけっこう好きだ。
それにしても、35日も雨が続くと、心から太陽が恋しくなる。
この期間、昼間に太陽が顔を出した日もあった。そのときのうれしさといったら!
青空に太陽が出ているのを見ただけで、どこまででも歩いて行けそうな気がする。用事なんてないのに、外に出たくてたまらなくなる。
太陽の力って、こんなにすごかったんだ。
太陽は、私たちの体にも心にも必要だった
人間にとって、太陽の光は欠かせない。
太陽の光を浴びることは、体内時計を整え、睡眠や覚醒のリズムにも関わっている。また、皮膚ではビタミンDの生成にも関係している。
だから、太陽が恋しくなるのは、単なる気分の問題ではないのかもしれない。
そして今回、私が感じたのは、体だけではなく、心にとっても太陽は大切なのではないか、ということだった。
雨が続いていると、少しずつ行動が鈍くなる。
外に出るのがおっくうになる。
なんとなく家にいたくなる。
「今日はいいか」と、やりたいことを先延ばしにする。
何か大きな問題があるわけではない。
ただ、気づかないうちに、自分の中の明るさが少しずつ小さくなっているような感覚がある。
ところが、太陽が出ると、急に動きたくなる。
歩きたい。
人に会いたい。
何かしたい。
そのとき私は、「元気って、自分で無理やりつくるものじゃないのかもしれない」と思った。
太陽の光を浴びる。
外の空気を吸う。
誰かと笑う。
好きなものを食べる。
そんなふうに、自分の外側から届くものを受け取っているうちに、いつの間にか元気になっていることもある。
雨の日に、無理に晴れなくてもいい
40代を過ぎて、「もっと頑張らなくちゃ」と感じている人も少なくない。もちろん私も、色々考える。
仕事のこと。
家族のこと。
健康のこと。
これからのお金のこと。
やるべきことを数えれば、きりがない。
だから、ちょっと元気が出ないと、「こんなことでへこたれていてはいけない」「もっと頑張らなきゃ」と、自分で自分を奮い立たせようとする。
でも、本当に必要なのは、頑張ることではなく、少し休むことだったり、誰かに話すことだったり、外に出て太陽を浴びることだったりするのかもしれない。
雨の日に、無理に晴れようとしなくてもいい。
雨が降っているなら、今日は雨の日を過ごせばいい。
そして、いつか太陽が出たら、そのときは思い切り喜べばいい。
35日も雨が続いたからこそ、私は太陽が出た日のうれしさを、これまでになく強く感じた。
人生も、きっと同じなのだと思う。
ずっと晴れている必要なんてない。
雨の日があるから、晴れの日がうれしい。
そう思ったら、今日の雨も、少しだけ悪くない気がしてきた。
……とはいえ、そろそろ太陽には本気で会いたい。
明日のお天気は晴れ予報。青空が広がったら、目的もなく歩きに行こうと思う。



