なぜ、そこまで「こだわる」のか。
・お気に入りの服を何度も着たがり、他の服を嫌がる
・電車のおもちゃを綺麗に並べ続け、遊びを終われない
・砂場遊びをやめられず、公園から帰れない
・用事があり普段のルートを変更すると、「なんで?」と聞いてくる
・大好きなぬいぐるみと一緒じゃないと眠れない
子どもの「こだわり」は、ときに「執着」や「頑固」と捉えられることもありますよね。
どうして一つのことをやめられなかったり、同じものに固執するのでしょうか。
子どもにとっての「こだわる」意味
不安を解消するために「こだわる」
”いつもの場所”、”決まったやり方”が落ち着く気持ちは、誰しも少なからず持っていますよね。
子どもにとっても、”その子の世界でのルーティン”があるようです。
ルーティンによって自分を落ち着かせ、その子自身の世界を守っているんです。
子どもは上手に説明できないため、ルーティンを妨げられたとき、怒ったり泣いたりします。
大人からすると、ときに”癇癪”と見えることもありますよね。
子どもの視点では、「自分の世界を壊された」と感じてしまうのかもしれません。
切り替えがうまくできず「こだわる」
社会で他者と生活する中では、「切り替え」が大切なスキルとなってきます。
・状況の変化を理解して対応を「切り替える」
・他者の求めに応じて行動を「切り替える」
・自分の不機嫌な気持ちを「切り替える」
何をしても許されていた赤ちゃんの時とは違い、大きくなるにつれて、「切り替え」を求められます。
”大きくなったんだから、気持ちを切り替えてほしい”という親の思いと、子どもの成長にずれがあるケースも多いです。
「切り替える」というハードルが乗り越えられないと、ひとつの遊びにこだわりやすくなります。
大人の曖昧さが理解できず「こだわる」
日常の変化が苦手な子にとって、人ほど曖昧で不確実な存在はありません。
日によって態度が様々。人によって言うことが違う。次の瞬間何をしだすかわからない。
「人」や「集団」に対する不安は、お気に入りの物や自分の決めた遊びへのこだわりに繋がることも。
「わからない世界」への不安を解消するために、「知っているもの」へ安定を求めるのです。
子どもの「こだわり」への対応
こだわるポイントを観察する
どんなにこだわりの強い子も、すべてにおいてこだわりが強いわけではありません。
時間帯によってこだわりが強くなる。”お気に入りの感触”にこだわっている。嫌なことを経験したあとはお気に入りの遊びにこだわる。
子どもをよく観察すると、”こだわりポイント”は意外と限定されています。
本人特有の傾向を見つけるのが第一歩です。
一貫した対応を心がける
「こだわることはおかしい、よくない」と言われると、余計に固執しやすくなります。
親や家族が許容できる範囲を決め、子どものこだわりへの一貫した対応を心がけていく必要があります。
- 1回の外出に持って行っていいのはおもちゃ「1つだけ」。
- 「ママと二人のときは」お気に入りのルートを歩いてよい。
- 「5時までは」好きな電車やおもちゃで1人で遊び続けてよい。
「今日はいいけど、明日はだめ、明後日は状況による」といった許可の出し方では、理解しにくいようです。
子どもと話し合いながら一緒にルールを決めるのがおすすめです。
スケジュールや状況の変更は早めに伝える
予定の変化が苦手な子に対し、”事前に言うと不安になるから”という理由で直前に伝える方も多いかと思います。
しかし、直前に言われると、先の見通しを持てず、癇癪やパニックに陥ることも。
- 来週の月曜日は病院に行くよ。緑の電車に乗って行こうね。
- 明後日は病院に行くの覚えてる?前にも会った眼鏡の先生に会うんだよ。
- 明日は病院だから、待っている時間に使うおもちゃを選ぼうね。
度々リマインドしながら、どのようなスケジュールになるのかを伝えると安心できます。
スケジュールが変わるからこそ、お気に入りのぬいぐるみや普段使っているタオルなど、「変わらないもの」をお守りとして持つのも有効です。
「こだわり」は、受け止められることで和らいでいく
子どものこだわりに振り回されていると、”これがずっと続くんだろうか”と気が滅入りますよね。
ですが、成長していくにつれて、「気づいたらこだわらなくなってた」と変化していくケースも多いです。
こだわりは、認められる・許される・受け入れられると、次第に「こだわらなくても大丈夫なんだ」と思えてくるものなんです。
少しずつ手放していけるように、温かく見守っていけるといいですよね。
参考:「子どものこだわり」(2015)宮岡等・本田秀夫・青木省三(著) 日本評論社